従業員40名の食品加工会社。年に1〜2回、新商品が出るたびに地元紙の県版あてにリリースを郵送していました。結果はほぼ全敗。たまに小さく載る年もありましたが、何が良くて何が悪かったのかは分からずじまいです。
社長の認識は「うちみたいな規模だと相手にされない」でした。実際には、受け取る側の事情は少し違います。地域面を担当する記者は、同時に事件も行政も高校スポーツも追っています。初めて名前を見る会社から、封筒で新商品の案内が届いても、確認に使える時間がない。悪意ではなく、優先順位の問題です。
そして冒頭のような紙の縮小が進むほど、限られた枠は「確実に記事にできる相手」から埋まっていきます。確実というのは、内容が良いという意味ではなく、裏が取りやすく、連絡がつき、話が早い相手という意味です。
誤解されやすいので先に書きます。接待や個人的な付き合いの話ではありません。記者にとって価値があるのは、その地域で何が起きているかを教えてくれる相手です。
地域の記者は、担当エリアの動きを常に探しています。ところが取材網が縮んでいる以上、自力で拾える範囲には限りがある。そこに、業界の内側にいる人が定期的に情報をくれるなら、それは相手にとっての戦力です。自社の宣伝ではなく、業界の動きとして渡す。この関係ができてから自社の話をすると、扱いがまったく変わります。
この会社が最初に地域面に載ったのは、関係を作り始めて半年後でした。しかも載ったのは新商品ではなく、原料高のなかで地元農家との取引を続けているという話。自社が売り込みたかった内容とは違いましたが、記事の中で会社の姿勢は十分に伝わりました。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。地域で商売をしていると実感するのは、地元メディアに載ることの価値は、集客より信用の側にあるということ。取引先の担当者が社内で稟議を書くとき、金融機関が評価するとき、求職者の家族が会社名を検索したとき。第三者が書いた記事は、自社サイトの100ページ分より重いことがあります。
紙の縮小は今後も続きます。ただ、取材する人が地域からいなくなるわけではない。媒体が減るほど、そこに載る一本の価値はむしろ上がります。枠が減る時代に効くのは、うまいリリースではなく、先に作っておいた関係です。
事例・実績・伝わり方の観点から、貴社の発信がいまどこでつまずいているかをレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
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※背景データは、産経新聞社が2026年8月6日に東北6県での産経新聞およびサンケイスポーツの発行を2026年11月30日で休止すると発表したこと、輸送コストの上昇などを理由に挙げつつ取材拠点は維持する方針であること、同社が2024年に富山県での発行を休止し2025年に夕刊フジなどを休刊していること=各社の報道を参照しました。本文中の会社・人物は、よくある状況をもとに構成した想定事例です。