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#業務効率化#意思決定#数字・見える化
Operation Column · 2026.08.26

作業1時間、待ち3日
── 決裁の渋滞が現場を止めていた(想定事例)

失注の理由をたどっていくと、『他社のほうが先に見積を出してきたから』に行き着くことがあります。
営業力の問題に見えますが、中身を追うと違うことが多い。見積を作る作業そのものは1時間、承認を待つ時間が3日。動いていないのは営業ではなく、社内の承認プロセスのほうです。
しかも渋滞の原因は、たいてい承認の段数ではありません。10年前の単価水準のまま放置された金額基準にあります。以下は想定事例です。

1.【before】負けた理由が、値段ではなかった

従業員35名の設備工事会社。ここ半年、相見積もりでの勝率が落ちていました。社長は価格が高いのだろうと考え、原価の見直しに着手しようとしていました。

ところが失注案件を営業に一件ずつ確認すると、様子が違いました。『金額の話になる前に、他社が先に出していた』という案件がいくつもあった。実際、客先から『もう決めてしまいました』と言われた例が複数あります。

社長は最初、営業の動きが遅いのだと思いました。そこで見積依頼を受けてから提出するまでの時間を、1か月分だけ記録させました

負けていたのは価格ではなく、提出の順番だった。

2.測ってみたら、待ちが大半だった

1か月分の記録を集計すると、平均で3.8日かかっていました。その内訳がはっきりしていました。

営業が図面を見て積算する作業が約1時間。上長の確認が半日。そして部長承認の待ちが2日以上。作業時間は全体の1割にも届いていませんでした。

部長は現場に出ていることが多く、社内に戻るのが夕方。承認は翌朝になります。さらに部長が出張の週は、そこで丸2日止まる。誰も怠けていないのに、案件は動かない

そして決定的だったのが、承認が必要な金額の基準でした。50万円以上は部長承認。この基準が決まったのは10年以上前で、当時は50万円が大きな案件だった。いまはほとんどの案件が50万円を超えます。つまり実質的に、全件が部長を経由していました。

3.渋滞の正体は、段数ではなく基準の古さ

承認プロセスの改善というと、段数を減らす話になりがちです。3段階を2段階に、といった具合に。もちろん効きますが、この会社の場合、問題はそこではありませんでした。

段数は2段階しかない。それでも詰まっていたのは、2段目を通る案件が多すぎたからです。基準を100万円に上げるだけで、部長を通る案件は半分以下になります。段数はそのままで、待ちだけが消える。

金額基準は、物価と単価が動けば実質的に厳しくなっていきます。決めた時点では妥当でも、放っておけば毎年少しずつ渋滞が増える。見直しの機会を作らない限り、静かに悪化します

4.組み替えるための、四つの手順

段数ではなく、待ち時間を測る
改善の議論を始める前に、各承認ステップで何時間止まっているかを1か月測る。作業時間と待ち時間を分けて記録するのがポイントです。感覚では、たいてい作業のほうが重いと思われています。測ると逆であることが多い。ポイント:作業と待ちを分けて測ると、直す場所が変わる
金額基準を、いまの単価水準に合わせて引き上げる
いつ決めた基準かを確認する。5年以上前なら、ほぼ確実に実態と合っていません。全案件の何%がその基準を超えているかを数え、3割程度に収まる水準まで上げる。基準の目的は全件を見ることではなく、大きいものだけを見ることです。ポイント:全件が引っかかる基準は、基準として機能していない
不在時の代理を、役職ではなく名前で決めておく
『部長不在時は次席が』では、誰も動きません。◯◯さんが不在のときは△△さんが承認する、と名前で決めて全員に伝える。あわせて何時間以内に返せなければ代理に回るという時間の基準も置く。これだけで出張週の停止がなくなります。ポイント:代理は役職ではなく、名前と時間で決める
止める承認から、見える承認に変える
全件を事前承認にする必要はありません。基準未満は現場が出して、承認者には自動的に控えが届く形にする。問題があれば後から言えばいい。承認の目的は止めることではなく、把握することです。ここを切り替えると、速度と管理の両立ができます。ポイント:把握したいだけなら、事前に止めなくていい

5.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。承認の設計は、どのグループ会社でも一度は揉める論点でした。

やってみて分かったのは、承認を厳しくしても、事故は思ったほど減らないということです。金額の大きい案件で問題が起きるのは事実ですが、問題の原因は承認の有無ではなく、判断材料が足りないことでした。承認者が3秒で判を押すなら、そのステップに検査の機能はありません。形式だけの承認は、待ち時間だけを生みます

逆に効いたのは、承認者が実際に確認する項目を3つに絞って明示したことでした。原価率、納期の無理、支払条件。この3点だけ見ると決めたら、承認は数分で終わるようになりました。何を見るか決まっていない承認は、必ず後回しにされます

そして忘れられがちなのが、待たされている側のコストです。営業は3日間、その案件を頭に置いたまま他の仕事をしています。客先には『社内で確認中です』と伝え続ける。この時間は誰の付加価値にもなりません。承認プロセスの見直しは、管理の話ではなく速度の話です。

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6.GEAR は、待ち時間の測定から一緒に立つ

GEAR(BEYOND PLAYBOOK)は、規程を作って終わりではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、作業と待ちの分離測定 → 金額基準の再設定 → 代理承認の指名 → 事後確認への組み替えまでを、貴社の商流に合わせて一緒に進めます。狙うのは、速度を上げても把握が落ちない設計です。

まずは無料の業務ムダ診断で、どこに時間が消えているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に測る工程を一緒に決めましょう。

※本文中の会社・人物・数値は、よくある状況をもとに構成した想定事例です。特定の企業を指すものではありません。手順は、BEYOND Holdings が複数の実業を運営する中で用いている一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。