従業員24名の設備商社。営業事務を10年担当している社員のノートパソコンが、朝、起動しなくなりました。
会社としては備えていたつもりでした。基幹システムのデータは毎晩サーバーに保存されており、そこは無事です。受注も出荷も止まりません。ところが実際には、その日から業務が滞りました。
止まったのは判断でした。『この取引先はいくらで出していたか』『前回の納期はどう調整したか』『この案件の見積りは何案作ったか』。基幹システムには結果だけがあり、経緯がなかったのです。経緯は、壊れたパソコンの中の表計算ファイルと、本人のメールの受信箱にありました。
復旧の過程で、社長は社内の情報がどこにあるかを初めて洗いました。出てきたのは四つの場所です。
①基幹システム。受注、請求、在庫。ここは守られていた。②個人のパソコン。見積の作りかけ、価格の比較表、取引先ごとのメモ。③紙の台帳。倉庫の棚卸し記録、古い図面、手書きの申し送り。④本人の頭の中。どの取引先が何を嫌がるか、誰に連絡すれば話が早いか。
気づいたのは、会社が守っていたのは①だけだったということです。しかも日々の判断で使われているのは②と④のほうが多い。守る対象と、実際に使われているものがずれていました。
ここで『すべてを共有フォルダへ』と号令をかけると、たいてい失敗します。量が多すぎて誰も動かないからです。
基準を一つに絞ります。それが無くなったら、何時間止まるか。半日で復旧できるものは後回し。3日止まるものから順に手を付ける。この基準なら、現場でも判断できます。
この会社の場合、3日止まる筆頭は取引先ごとの特別単価でした。基幹システムには標準単価しか入っておらず、実際に適用している価格は担当者の表計算にだけあった。これが分からないと、見積が一枚も出せません。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。この種の備えは、どうしても後回しになりがちです。
実感として言えるのは、事業継続の話を災害から始めると、ほぼ進まないということです。地震や水害は想像しにくく、確率も低く感じられる。ところがパソコンの故障、担当者の急な入院、退職は、確実に起きます。しかも起きたときに困る内容は、災害のときとほぼ同じです。
だから入口を変えました。『災害に備えて』ではなく『◯◯さんが来週から2週間休んだら、何が分からなくなるか』と聞く。この聞き方だと、現場から具体的な答えが出てきます。しかも本人が困りごとを一番よく知っている。
そしてもう一つ。この作業は、そのまま引き継ぎの準備になります。守るべき情報を外に出す作業と、次の担当に渡す準備は、中身がほとんど同じです。事業継続のためだけに時間を使うと感じると腰が重いですが、引き継ぎが楽になると分かると現場は動きます。
冒頭の会社は、特別単価の表を共有に移し、紙の台帳の直近1年を写真で保存し、年に一度の復旧テストを決めました。かかった費用はほぼゼロ、作業は延べ2日です。
業務の棚卸し・自動化・標準化・見える化の4観点から、どこに時間が消えているかをレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 業務ムダ診断をはじめる 無料で相談するGEAR(BEYOND PLAYBOOK)は、システムを売る立場ではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、止まる時間による仕分け → 個人パソコンの棚卸し → 紙の台帳の複製 → 復旧テストの運用までを、貴社の体制に合わせて一緒に進めます。狙うのは、誰かが休んでも判断が止まらない状態です。
まずは無料の業務ムダ診断で、どこに時間が消えているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に守る10行を一緒に決めましょう。
※本文中の会社・人物・数値は、よくある状況をもとに構成した想定事例です。特定の企業を指すものではありません。データの取扱いにあたっては、個人情報や取引先の秘密情報の管理について自社の規程および契約上の義務をご確認ください。手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。