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#業務効率化#人材育成#人手不足
Operation Column · 2026.09.30

就業者の7人に1人が65歳以上の年に、
頭の中をどう引き出すか

総務省統計局が2026年9月20日に公表した集計では、65歳以上の就業者数は943万人で22年連続の増加。就業者総数に占める割合は13.8%と過去最高で、およそ7人に1人が65歳以上です。
働き続けている人は増えています。それでも、抜ける日は必ず来ます。

1. 猶予があるのに、使われていない

公表された数値は全国の就業構造であり、自社の状況をそのまま示すものではありません。読み取れるのは、高齢の就業者が増え続けていることです。就業率も65歳から69歳で54.5%、70歳から74歳で36.2%と、いずれも過去最高になりました。

ここで中小企業にとって意味があるのは、抜ける日が予測できるという一点です。突然の離職と違い、年齢による引退には猶予があります。

ところが多くの会社で、この猶予が使われていません。本人が現役で動いているうちは困らないので、後回しになります。そして退職の一か月前になって、慌ててマニュアルを作ろうとする。

01年齢による引退には、猶予がある
突然の離職と違い、引退は時期が読めます。読めるのに使っていない猶予が、多くの会社に残っています。ポイント:予測できる離脱だけが、準備できる離脱

2. 本人に書かせると、出てこない

いちばんよくある失敗が、『手順書にまとめておいてください』と頼むことです。これはほぼ確実に失敗します。理由が三つあります。

①本人は、自分が何を知っているか分かっていません。長くやっていることは無意識になっています。当たり前すぎて書かないことが、まさに引き継がれていない部分です。

②書く作業が、本人の仕事ではありません。日々の業務を回しながら文書を作るのは、本業の片手間です。後回しになります。

③書くと、手順しか出てきません。工程は書けても、なぜその順番なのか、どういうときに変えるのかは、問われないと言葉になりません。

そして困るのは、抜けたあとに残るのが前者だけになることです。手順書はあるのに判断できない、という状態が生まれます。

3. 聞き手を付ける

やり方を変えます。本人に書かせず、聞き手が聞いて書く。

聞き手は、その仕事を引き継ぐ予定の人が最適です。分からないことが本当に分からないので、質問が具体的になります。分かる人が聞くと、省略が起きます。

形式は、週に一回30分。長時間の聞き取りは双方が疲れ、一回で終わらせようとして浅くなります。週一回を三か月続けると、十二回分が溜まります。

録音して文字にするかどうかは、規模で決めて構いません。要点を箇条書きにするだけでも成立します。整えるのは後です。

4. 聞くのは、手順ではなく判断

質問の型を決めておきます。手順を聞くと手順しか出ないので、迷いと例外を聞きます。

『この工程で、迷うことはありますか』。迷いがある場所に判断が入っています。

『どういうときに、いつもと違うやり方をしますか』。例外の条件が出てきます。ここが本人の価値そのものです。

『これを間違えると、どこで発覚しますか』。後工程との関係が分かります。

『前に大きな失敗をしたのは、どんなときでしたか』。この問いから出てくる話が、いちばん残す価値があります。

逆に聞かないのは『手順を教えてください』です。それは見れば分かることが多い。

02手順は見れば分かる。聞くのは迷いと例外
工程は観察で拾えます。どこで迷い、どういうときに変えるのかだけが、聞かないと出てこない情報です。ポイント:残す価値があるのは、判断が入る場所

5. 誰から始めるか

全員にやる必要はありません。順番を決めます。

①抜けたら止まる仕事を持っている人。年齢ではなく、影響で選びます。

②その人の仕事のうち、代わりがいない部分だけ。全業務を聞き取ろうとすると終わりません。

③引退の時期が見えている人を優先する。猶予が短い順です。

そして、本人にこの取り組みの理由を先に説明します。抜ける準備をされていると受け取られると、協力が得られません。教える役をお願いする、という形で入るほうが自然です。

6. 実業の当事者として言えること

BEYONDはコンサルティング会社ではなく、自分たちで複数の事業会社を経営している集まりです。この聞き取りは、各社で回しています。

いちばんの発見は、聞き手の側が育つことでした。引き継ぐ予定の人が質問を考える過程で、自分が何を分かっていないかを整理します。記録を作る作業が、そのまま教育になっていた。

失敗したのは、整った文書を目指したときです。体裁を整える工程を挟んだところ、溜まった箇条書きが文書化されずに放置されました。箇条書きのまま共有フォルダに置くほうが、使われます。

もう一つ。聞き取りを始めると、本人が自分で書き始めることがあります。話すことで整理がつくからです。最初から書いてくれと頼むと動かないのに、聞いた後だと動く。順番の問題でした。

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7. GEARは、聞き手と質問の型から用意する

GEARで伴走する場合、文書の様式から入りません。抜けたら止まる仕事を一つ特定し、聞き手を決め、四つの質問を渡すところから始めます。週30分を三か月で、十二回分が溜まります。

そのうえで、置き場所を一か所に決め、箇条書きのまま共有する運用まで。体裁を整える工程は入れません。整えようとした瞬間に止まるからです。

まずは無料の業務ムダ診断で、いま現場のどこに手間と偏りが溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に聞き取る一人を一緒に選びます。

※背景データは、総務省統計局が2026年9月20日に公表した統計トピックスにおいて、65歳以上の就業者数が943万人で22年連続の増加となったこと、就業者総数に占める65歳以上の割合が13.8%と過去最高となったこと、65歳以上人口が3,624万人で総人口に占める割合が29.6%となったこと、年齢階級別の就業率が65歳から69歳で54.5%、70歳から74歳で36.2%、75歳以上で12.6%といずれも過去最高となったことを参照しました。本文中の手順は、よくある状況をもとにした一般的な整理です。