この会社の共有サーバーには、過去5年分の見積が全部あります。問題は、ファイル名が『A社_見積_最終_修正版2.xlsx』だったことです。何の工事なのか、開くまで分かりません。
だから担当者は、自分の記憶にある似た案件を思い出し、探し、開き、数字を書き換えるという手順を毎回踏みます。記憶が頼りなので、担当が違えば別のファイルが元になる。同じような工事なのに、出てくる見積の形が人によって違う状態です。
そして、書き換え漏れが起きます。前の客先名が一箇所だけ残っていた。条件欄が前の案件のままだった。謝って出し直すたびに、また半日が消えます。
見積書は、性質の違う三つの層でできています。①工事や商品の単位(項目)、②数量と単価、③条件(納期・支払・有効期限・含まない範囲)。
このうち案件ごとに毎回変わるのは、②だけです。①と③は、同じ商売をしている限りほとんど変わりません。ところがファイル全体をコピーする方式だと、変わらない部分まで毎回作り直していることになります。
やることは単純です。過去2年分の見積から、繰り返し出てくる項目を抜き出して一覧にする。50件も並べれば、自社の見積の8割が同じ項目名の組み合わせでできていると分かります。そこから先は、組み合わせを選んで数量を入れるだけの作業になります。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。見積の型づくりは、地味ですが効き目のはっきりする作業でした。
時間が減ったこと以上に効いたのは、金額のばらつきが減ったことです。同じような工事に、担当者によって違う金額が出ている状態は、社内では気づきにくく、客先には気づかれます。値決めの信頼は、そこから崩れます。
そしてもう一つ、副産物がありました。項目名をそろえる作業は、結果として自社が何を売っているかの一覧を作る作業になります。並べてみると、単価が何年も動いていない項目や、そもそもほとんど出番のない項目が見つかる。ここが実は、一番大きな収穫でした。
注意点を一つ。型を作った直後は、かえって遅くなります。項目に当てはめる手間が増えるからです。ここで元のやり方に戻す会社が多い。逆転するのは三件目くらいからです。そこまでは我慢する、と最初に決めておいてください。
最初の一歩は、直近10件の見積を開いて、項目名だけを縦に並べること。1時間で終わります。重複を消すと、想像よりずっと少ない数に収まるはずです。
業務の棚卸し・自動化・標準化・見える化の4観点から、どこに時間が消えているかをレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 業務ムダ診断をはじめる 無料で相談するGEAR(BEYOND PLAYBOOK)は、システムを売る立場ではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、過去の見積の棚卸し → 項目名の統一 → 単価表と更新日の運用 → 条件の固定文づくり → 結果の記録までを、貴社の商売の形に合わせて一緒に進めます。狙うのは、誰が作っても同じ形になる見積です。
まずは無料の業務ムダ診断で、どこに時間が消えているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に部品化する項目を一緒に決めましょう。
※本記事の会社の場面は、中小企業でよくある状況をもとに構成した想定事例であり、特定の企業を指すものではありません。見積書の記載事項や契約上の効力は、取引内容および業種ごとの法令によって異なります。実際の運用にあたっては顧問税理士および専門家にご確認ください。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。