一つ目、読み手はFAQを探しません。困っている人が最初にやるのは、電話をかけるか、フォームに書くかです。ページのどこかに答えがあるかもしれないと考えて探すのは、よほど時間に余裕がある人だけ。
二つ目、自分のケースに当てはまるか判断できません。FAQは一般論として書かれます。読み手は自分の状況が特殊だと思っているので、『うちの場合はどうなのか』を確認したくて結局連絡してきます。むしろFAQを読んだ上で問い合わせてくるぶん、話が具体的になっている。
三つ目、増やすほど探しにくくなる。項目が50を超えたあたりから、目的の答えに辿り着けなくなります。網羅性を上げる努力が、そのまま使いにくさに変わるのが厄介なところです。
視点を変えます。問い合わせが来ること自体は、悪いことではありません。関心を持った相手が接触してきているわけですから、減らすのが目的ではない。
問題は、返信のたびに一から文章を作っていることです。納期の目安、対応できる範囲、費用の考え方。同じことを何十回も書いている。しかも書く人によって内容が微妙に違い、後で食い違いが発覚することすらあります。
だから作るべきは、公開用のFAQではなく社内用の回答台帳です。返信を組み立てるための部品を並べた、社内だけで使うものです。
台帳の1件は、三つの要素でできています。①想定される質問、②そのまま貼れる回答文、③この回答を使う条件。
重要なのは③です。『納期は通常◯週間です』という回答文だけを置くと、繁忙期や特殊仕様のときに誤って使われます。『標準仕様・在庫がある場合に使う。特注品は別部品』と条件を1行付ける。これがあるだけで、経験の浅い人でも安全に使えます。
逆に言えば、条件が書けない回答は台帳に載せないほうがいい。条件を書けないということは、その判断がまだ言語化されていないということだからです。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。問い合わせ対応は、どのグループ会社でも地味に時間を食っている業務でした。
台帳を作って分かったのは、時間短縮より大きい効果が別にあったということです。回答の内容が人によってばらついていたのが、そろいました。以前は、同じ質問に対して担当Aは慎重に答え、担当Bは踏み込んで答えていた。悪気はなく、判断基準が共有されていなかっただけです。
そしてもう一つ。部品に条件を書く作業が、そのまま引き継ぎの資料になりました。新しく入った人に『この場合はこの部品、この場合は上長に確認』と渡せる。問い合わせ対応は、実は会社の判断基準がいちばん濃く出る業務です。だからここを言語化すると、育成にも効きます。
件数を減らすことを目標にすると、問い合わせしにくいサイトを作る方向に迷い込みます。それは商売として本末転倒です。来てもらったうえで、返す速度と品質を上げる。狙うのはそちらです。
業務の棚卸し・自動化・標準化・見える化の4観点から、どこに時間が消えているかをレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 業務ムダ診断をはじめる 無料で相談するGEAR(BEYOND PLAYBOOK)は、ツールを入れて終わりではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、過去の返信の棚卸し → 部品の切り出し → 使用条件の言語化 → 公開FAQへの昇格までを、貴社の商材に合わせて一緒に進めます。狙うのは、担当が代わっても同じ品質で返せる状態です。
まずは無料の業務ムダ診断で、どこに時間が消えているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に切り出す10件を一緒に選びましょう。
※本文中の手順は、BEYOND Holdings が複数の実業を運営する中で用いている一般的な整理です。業種・商材・問い合わせの性質により有効性は異なり、成果を保証するものではありません。