従業員26名の金属加工会社。翌週の工程と人の配置は、勤続30年の工場長が毎週金曜の夕方に組んでいました。誰がどの機械を扱えて、どの作業なら任せられるか。すべてが頭の中に入っています。速いし、外れない。長らくこれで回ってきました。
ほころびは、有休の申請から出ました。若手が休みを申請すると、工場長は口では「いいよ」と言いながら、実際にはその週の難しい仕事を、休まない特定の2人に寄せていました。悪気はありません。確実に回すには、任せられる人に振るのが一番早いからです。
結果として何が起きたか。頼りにされている2人の残業だけが増え続けました。そして先に辞めたのは、その2人のうち1人でした。退職面談での言葉は「休める人と休めない人が固定されているのが、しんどかった」。工場長は誰よりも現場を分かっていたのに、分かっていることが自分の外に出ていなかったのです。
「工場長がいなくなったら困る」という話は、よく語られます。けれど実際に先に問題が出るのは、組まれた側です。
頭の中で組まれた配置には、根拠が残りません。なぜ自分にこの仕事が来て、あの人には来ないのか。説明がないと、人は最も不利な解釈をします。えこひいきだ、自分は信用されていない、あるいは自分ばかり損をしている。実際には合理的な判断だったとしても、見えなければ不公平として受け取られます。
有休取得率が66.9%まで上がったということは、休みの調整が毎月必ず発生するということでもあります。年に数回の例外なら勘で吸収できますが、常時発生する調整を勘でさばき続けると、必ずどこかに固定的な偏りが生まれます。
この会社の工程表は、いまも完全に平等ではありません。技能の差がある以上、難しい仕事は特定の人に寄ります。変わったのは、寄っている事実と理由が全員に見えるようになったことです。そして対応可能者が1人しかいない5工程には、順に2人目を育てる計画が付きました。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。現場を持っていれば、勘で組む速さの価値はよく分かります。ベテランの頭の中は、実際に精度が高い。だから否定する必要はありません。
問題は、その精度の高さが、休みが常時発生する環境では追いつかなくなることです。有休取得率が過去最高を更新し続け、年間休日も増えている以上、調整の回数は今後も増えます。勘を捨てるのではなく、勘が使っていた情報を外に出す。作業ごとの対応可能人数を数えるところから始めれば、半日で最初の一歩は終わります。
工程・手作業・重複・属人化の4観点から、社内のどこに時間が溜まっているかをレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 業務ムダ診断をはじめる 無料で相談するGEAR(BEYOND PLAYBOOK)は、シフト管理ツールを紹介して終わりにはしません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、作業ごとの対応可能人数の棚卸し → 休みを先に置く工程表の型づくり → 同時進行件数での負荷把握 → 配置根拠の記録運用までを、貴社の現場に合わせて一緒に進めます。狙うのは、特定の人に静かに寄る状態をなくすことです。
まずは無料の業務ムダ診断で、社内のどこに負荷と手戻りが溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に2人目を育てる1工程を一緒に決めましょう。
※背景データは、2024年1年間の年次有給休暇の取得率が66.9%で1984年以降最も高い水準であること、前年から1.6ポイント増で10年連続の増加であること、付与日数が労働者1人平均18.1日・取得日数が12.1日であること、年間休日総数が112.4日で過去最多であること=厚生労働省『令和7年 就労条件総合調査』を参照しました。本文中の会社・数字は、よくある状況をもとに構成した想定事例です。