決め方はシンプルでした。品目ごとに見積を取り直し、最も安い3社を残して、残り9社との取引を終了する。購買を集中させれば交渉力が上がる、という理屈です。
初年度の数字は良く出ました。主要品目の単価は数%下がり、削減額は資料に載る形で示せた。ここまでは成功です。
問題は、資料に載らなかったほうの変化でした。
一つ目。3社に集約した結果、1社あたりの品目数が増えました。納期の異なる品目が同じ発注に混ざり、分納が増え、検収の回数が増えます。発注書の枚数は減ったのに、受け入れの作業は増えるという逆転が起きました。
二つ目。切った9社の中に、電話一本で翌日に持ってきてくれる仕入先が含まれていました。急ぎの案件が出るたびに、残った3社に無理を言うか、その場でスポットの調達先を探すことになる。スポット調達は、見積・与信・支払条件の確認が毎回必要です。この時間は、どの資料にも計上されていませんでした。
三つ目。1社への依存度が上がりました。二年目の価格交渉で、こちらから押し返す材料がない。単価は少しずつ元に戻りはじめました。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。仕入れる側にも、仕入れてもらう側にも立ちます。
購買の見直しで一番よくある失敗は、測りやすい数字だけで決めることです。単価は誰でも比べられます。手間は測っていないので、そもそも比較の土俵に乗らない。結果として、測れるほうだけが最適化されます。これは購買に限らず、あらゆる改善で起きます。
もう一つ、切られる側に立つと見えることがあります。長く付き合った仕入先を単価だけで切ると、その話は業界内で伝わります。次に自社が困って新しい先を探すとき、受けてもらいにくくなる。中小企業同士の取引では、この効き方が想像より大きい。切る場合でも、理由を伝え、期間を置いて移行するだけで、後の関係はかなり変わります。
実際にやるときの進め方も書いておきます。全部を一度に見直さないでください。品目を三つのグループに分け、一つずつ半年かけて見る。全社一斉にやると、何が良くて何が悪かったのかを特定できません。効果が出ても、なぜ出たか分からなければ次に使えません。
最初の一歩は、先月の発注件数を、仕入先ごとに数えることです。件数が少ないのに残っている仕入先には、たいてい理由があります。その理由を書き出すところから始めてください。書けない先が、最初に見直す候補です。
業務の棚卸し・自動化・標準化・見える化の4観点から、どこに時間が消えているかをレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 業務ムダ診断をはじめる 無料で相談するGEAR(BEYOND PLAYBOOK)は、購買システムを売る立場ではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、定期と突発の仕分け → 発注1回あたりの時間測定 → 見えない機能の棚卸し → 依存度の上限設定までを、貴社の調達の実態に合わせて一緒に整理します。狙うのは、単価と手間を同じ土俵で比べられる状態です。
まずは無料の業務ムダ診断で、どこに時間が消えているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に測る発注業務を一緒に決めましょう。
※本記事の会社の場面は、中小企業でよくある状況をもとに構成した想定事例であり、特定の企業を指すものではありません。仕入先の選定や取引条件の変更にあたっては、既存の契約内容および下請代金支払遅延等防止法をはじめとする関係法令に留意してください。個別の取扱いは弁護士等の専門家にご確認ください。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。