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#業務効率化#DX・AI#財務・資金繰り
Operation Column · 2026.08.08

導入は足し算、運用は引き算
── 使っていないサブスクの棚卸し

業務効率化の相談を受けると、話はたいてい何を入れるかから始まります。けれど、いまの中小企業に足りないのは道具ではありません。総務省の通信利用動向調査によれば、クラウドサービスを利用する企業は8割を超え利用の効果があったと回答した企業は88.2%にのぼります(令和6年調査・2025年5月公表)。入れれば効く。それはもう証明されています。それなのに現場が軽くならない会社が多いのはなぜか。答えは単純で、増やす判断には稟議も担当者もあるのに、やめる判断には誰の名前もついていないからです。

1.『いいツールを入れれば効率化する』が半分しか正しくない理由

ツールの導入は、驚くほど簡単になりました。クレジットカードを登録すれば当日から使えて、稟議も要らない金額のものが大半です。導入のハードルが下がったことは、間違いなく良いことです。効果があったと答えた企業が88.2%というのは、その証拠でもあります。

問題は反対側です。やめるほうのハードルは、まったく下がっていません。解約画面はたいてい分かりにくい場所にあり、「まだ誰か使っているかもしれない」という不安があり、そもそも自社が何を契約しているのかを一覧で見られる人が社内にいない。結果として入り口だけが広く、出口のない状態ができあがります。

だから効率化が止まる。足し算は誰でもできて、引き算は誰もやらない。これはツールの良し悪しの問題ではなく、運用の設計の問題です。

増やす判断には担当者がいる。やめる判断には、誰の名前もない

2.ツールが増え続ける、三つのメカニズム

一つ目、部署ごとに勝手に増える。営業がひとつ、経理がひとつ、現場がひとつ。それぞれは月数千円で、それぞれは正しい判断です。全社で足すと相当な額になっていることに、誰も気づいていません。

二つ目、解約が誰の仕事でもない。導入した人が異動や退職をすると、その契約は宙に浮きます。引き落としだけが続き、支払いの根拠を説明できる人が社内から消える。金額が小さいほど、この現象は起きやすい

三つ目、アカウント単位で膨らむ。人数課金のサービスは、退職者の分を止め忘れると、そのまま毎月払い続けることになります。使っていない席にお金を払っている状態が、何年も続きます。

3.半日で終わる、棚卸しの四手

契約一覧ではなく『引き落とし明細』から数える
社内に契約一覧はまず存在しません。だから起点は法人カードと口座の明細にします。直近12か月分を並べ、毎月・毎年出ていく定額の支払いに全部印を付ける。年払いのものは12か月分見ないと出てこないので、1か月分だけ見るのは必ず取りこぼしますポイント:起点は契約書ではなく、お金が出ていった記録
『最終ログイン』のないアカウントから先に切る
使っているかどうかの議論は主観になります。多くのサービスは管理画面で最終ログイン日が見られるので、90日ログインがない席をまず止める。誰かが困れば復活させればいいだけです。退職者アカウントは、ここでまとめて消えます。ポイント:議論より先に止める。困ったら戻す、で十分
重複は『機能』ではなく『業務』で見る
チャットとファイル共有と会議ツールが3系統ある、という重なりは機能で見ると気づけます。見落とすのは同じ業務を二重に回しているケースです。日報が紙とアプリの両方にある、顧客情報が会計ソフトと表計算の両方にある。ツールを減らす前に、業務の重複を消すほうが効きます。ポイント:並べるのはツール名ではなく、業務名
更新日を1枚のカレンダーに集める
年契約は自動更新の直前まで忘れられます。サービス名・月額・更新日・担当者・用途を1枚の表にする。そして更新日の1か月前に担当者へ確認が飛ぶようにしておく。この表を作った瞬間、来年からは棚卸しが不要になります。ポイント:棚卸しの成果物は削減額ではなく、この1枚

4.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。自分たちでもこの棚卸しをやると、毎回いくつか出てきます。誰も使っていないのに払い続けていたもの、同じことができるツールが二つあったもの、辞めた人の席。恥ずかしい話ですが、意識の問題ではありません。見る仕組みがなければ、必ずこうなります

ただ、ここで強調しておきたいことがあります。この作業の目的は経費削減ではありません。もちろん月々の固定費は下がりますが、それは副産物です。本当の狙いは現場の認知の負荷を下げること。ログイン先が7つある会社と3つの会社では、新人の立ち上がりも、情報の探しやすさも、引き継ぎの速さもまるで違います。減らすことそのものが、業務改善です

そしてもうひとつ。導入を止める必要はまったくありません。効果が出ているという数字はその通りで、必要なものは入れるべきです。決めておくべきなのは、入れるときに『これを入れたら、何をやめるか』を同じ稟議に書くということ。足し算と引き算を同じ紙の上でやれば、そもそも棚卸しの出番は減ります。

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5.GEAR は、増やす前と減らす後の両方を設計する

GEAR(BEYOND PLAYBOOK)は、便利なツールを紹介して終わりにはしません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、引き落とし明細からの洗い出し → 未使用アカウントの停止 → 業務単位での重複の解消 → 更新日カレンダーの運用化までを、貴社の現場に合わせて一緒に進めます。狙いは支出の削減ではなく、現場が覚えることを減らすことです。

まずは無料の業務ムダ診断で、社内のどこに時間と手間が溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に止める一つを一緒に決めましょう。

※背景データは、クラウドサービスを利用している企業の割合が8割を超えていること・利用の効果があったと回答した企業が88.2%であること=総務省『令和6年 通信利用動向調査』(2025年5月公表)を参照しました。本文中の進め方・金額は、よくある状況をもとにした一般的な整理です。