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#数字・見える化#業務効率化#財務・資金繰り
Management Column · 2026.08.30

社会保険の対象は10年かけて広がる
── その前に、請求漏れを点検する

2025年6月13日に成立した年金制度改正法により、短時間労働者の社会保険適用にかかる企業規模要件は段階的に撤廃され、2035年10月にはすべての事業所が対象になる予定です。
細かい時期は業種や規模によって効き方が違いますが、方向は一つしかありません。人件費は、向こう10年にわたって上がる方向にしか動かない
この前提に立ったとき、最初に手をつけるべきは値上げでも経費削減でもありません。すでに売ったのに、請求できていない分の点検です。請求漏れは値引きより静かに利益を削り、しかも誰も気づきません

1.値引きより静かに、請求漏れは利益を削る

値引きは、少なくとも本人が認識しています。金額を決めて、相手に伝えて、記録に残る。ところが請求漏れは違います。誰も決めていないのに、売上が消えます

しかも見つかりません。売上として計上されていないので、予算未達の理由を探しても、そこには出てこない。取引先も、請求が来なければ何も言いません。悪意がなくても、指摘する義理はない。

典型的なのは次の四つです。追加作業を口頭で受けて請求書に反映していない。分割納品の一部を請求し忘れている。月をまたいだ案件が両月とも計上されていない。担当者の退職や異動で引き継がれていない。どれも、悪意ゼロで起きます。

値引きは記録に残る。請求漏れは、記録にすら残らない

2.経路を一度なぞると、抜けやすい場所が分かる

点検といっても、全案件を洗い直す必要はありません。やるのは受注から入金までの経路を、一度だけ紙に書き出すことです。

受注 → 作業指示 → 実施 → 完了報告 → 請求書作成 → 送付 → 入金確認。この流れの中で、情報が人から人へ渡る箇所に印を付けます。抜けが起きるのは、必ずその継ぎ目です。

そして継ぎ目ごとに一つだけ質問します。『ここで情報が渡らなかった場合、後で気づく仕組みはあるか』。答えが『ない』の箇所が、いま漏れている場所です。多くの会社で、完了報告から請求書作成の間に印が集中します

3.点検の、四つの手順

先月の受注件数と請求件数を、数で突き合わせる
金額ではなく件数で見ます。金額は案件ごとに違うので差に気づきにくいが、件数なら一目で分かる。受注12件に対して請求11件なら、そこに1件ある。この突合を月次の作業に入れるだけで、翌月には気づけます。ポイント:金額ではなく件数で見ると、差が見える
追加作業の受け方を、口頭から書面に変える
最も多い漏れがここです。現場で口頭の依頼を受け、その場で対応し、請求書を作る人には伝わらない追加は必ず一行のメモを残すと決める。金額を書く必要はなく、いつ誰から何を頼まれたかだけで足ります。ポイント:追加作業は、その場で一行だけ残す
分割納品と長期案件に、締めの日を決める
月をまたぐ案件は、両方の月で相手が計上するだろうと思って抜けます。案件ごとに請求のタイミングを最初に決め、受注時に台帳へ書く。完了時ではなく受注時に決めるのが要点です。後から決めようとすると、忘れます。ポイント:請求の時期は、受注した日に決めておく
担当者が抜けた案件を、月に一度だけ確認する
退職、異動、長期休暇。引き継ぎ資料に載らない案件が、必ず一つか二つあります。人が動いた月は、その担当が持っていた案件の請求状況を一覧で確認する。この確認をやるかどうかで、年間の漏れ額はかなり変わりますポイント:人が動いた月だけは、必ず一覧で見る

4.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。請求漏れの点検は、地味ですが確実に効く作業でした。

やってみて意外だったのは、漏れの多くが、良い仕事をした案件で起きていたことです。急ぎの依頼に応えた、その場で追加を引き受けた、困っていたから先に動いた。現場が気を利かせた分ほど、記録が後回しになる。責める話ではなく、構造の問題です。

だから対策も、注意喚起ではありません。気を利かせた瞬間に一行だけ残せる仕組みを用意する。紙でも、共有の表計算でも、チャットの決まったところでもいい。覚えておいてくださいという頼み方をやめるだけで、大半は防げます

そして効き目の話をすると、請求漏れを1件見つけることは、同額の値上げに成功することと同じです。交渉も要らず、相手の合意も要らない。しかも、もともと自社が働いた分です。人件費が上がり続ける前提の中で、これほど確実に取り返せる場所は多くありません

値上げの検討を始める前に、まず先月の受注件数と請求件数を数えてみる。差が出なければ健全だと分かりますし、差が出れば、それが最初に埋めるべき穴です

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5.LENS は、経路の点検から一緒に立つ

LENS(BEYOND PLAYBOOK)は、システムを入れて終わりではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、受注から入金までの経路の書き出し → 継ぎ目の特定 → 件数突合の月次化 → 追加作業の記録ルールまでを、貴社の業務の流れに合わせて一緒に整理します。狙うのは、働いた分がすべて請求されている状態です。

まずは無料の意思決定スピード診断で、数字が判断につながっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に点検する継ぎ目を一緒に決めましょう。

※制度に関する記述は、2025年6月13日に成立した年金制度改正法により、短時間労働者に対する社会保険の適用にかかる企業規模要件が段階的に撤廃され、2035年10月にすべての事業所が対象となる予定であることを参照しています。適用の時期・要件は事業所の状況により異なり、今後の政省令等により詳細が変わる可能性があります。個別の取扱いは年金事務所および社会保険労務士にご確認ください。本文中の点検手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。