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#数字・見える化#意思決定#財務・資金繰り
Management Column · 2026.08.03

予実管理は『差異の報告会』ではない
── 物価は落ち着いても、仕入は上がり続ける期に

予実管理とは、月末に予算と実績の差を出し、ズレた原因を報告すること──多くの会社がそう理解しています。そして毎月、律儀に差異一覧を作り、会議で読み上げ、来月がんばりますと言って終わる。この形式がいま、一番効かなくなっています。理由は単純で、期初に置いた予算の前提そのものが、期中に壊れているからです。差異を報告するとき、比べている相手がもう現実に合っていない。今回はこの常識を一度ほぐします。

1.ニュースの物価と、自社の仕入は別物になっている

まず足元の数字を並べます。総務省が2026年7月24日に公表した6月分の全国消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合で前年同月比1.6%。2%を下回る状態が続き、報道の見出しは落ち着きを伝えています。

ところが中小企業の現場の数字は逆を向いています。中小企業基盤整備機構の第184回中小企業景況調査(2026年4-6月期・有効回答17,734社)では、原材料・商品仕入単価DIが78.1と前期から11.6ポイント上昇。一方の売上単価・客単価DIは21.6にとどまりました。上げられているコストと、転嫁できている価格のあいだに、大きな開きがあります。業況判断DIは全産業で▲18.7、4期連続の低下です。

世間の物価は落ち着いた、という前提で予算を組むと外れる。この一点だけでも、期初の原価前提を見直す理由になります。

差異を報告するとき、比べている予算のほうが古くなっている。

2.『差異を報告する』が効かない、三つの理由

一つ目は遅さです。月末に締めて翌月中旬に差異が出るころには、その原因が起きてから45日が経っています。打ち手を打てる時期はとうに過ぎている。

二つ目は粗さ。売上が予算比マイナス300万円、と一行で出しても、単価が下がったのか数量が減ったのか、儲かる仕事が減って薄い仕事が増えただけなのかが分かりません。原因が分からない差異は、精神論にしか着地しません。

三つ目は固定です。期初に決めた予算を1年動かさない会社が多い。しかし仕入単価DIが期中に11.6ポイント動く環境で、4月に置いた原価が3月まで有効なはずがない。予算を固定した瞬間、予実管理は現実との比較ではなく、過去の願望との比較になります

3.回るようにする四つの変更

差異を『単価・数量・構成』の三つに割る
売上でも原価でも、ズレは必ずこの三つのどれかです。単価が動いたのか、数の問題か、仕事の構成が変わったのか。三つに割った瞬間、打ち手の担当者が変わります。単価なら値決め、数量なら営業、構成なら受注の選び方の問題です。ポイント:差異一覧の列を、金額だけでなく三分解で持つ
予算は年1回ではなく、四半期ごとに置き直す
期初予算は目標として残したまま、直近の実績と確定した受注で『いまの見込み』を別に置く。前提が動いたら見込みを直す。目標と見込みの二本立てにすると、下方修正が敗北宣言ではなく、ただの情報更新になります。ポイント:目標は動かさない、見込みは毎四半期動かす
見るのは今月の差異ではなく、期末の着地
経営判断に必要なのは終わった月の反省ではなく、このまま行くとどこに着くかです。着地見込みが目標を下回るなら、まだ残り月数がある今のうちに何を変えるかを決められる。月次差異は、着地を更新するための材料にすぎません。ポイント:会議の一枚目を、当月実績ではなく期末着地にする
差異には必ず『誰が・いつまでに・何を』を付ける
原因の説明で終わる会議に価値はありません。ズレた項目ごとに、次に誰が何をするかを一行で決め、翌月その一行の結果から確認する。これをやるだけで、報告会が意思決定の場に変わります。ポイント:原因欄の右に、担当と期限の列を足す

4.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。自分たちで予実を回してきて痛感するのは、予実管理が形骸化する原因は、担当者の怠慢ではなく設計にあるということ。差異を出すことだけが目的の表は、作った人にも読む人にも次の行動を渡さないので、必ず飽きられます。

そしてもう一つ。予算が当たらないことは失敗ではありません。仕入単価DIが期中に二桁ポイント動く環境で、期初の見立てが当たり続けるほうが不自然です。問われているのは当てる精度ではなく、ズレに気づいてから動き出すまでの速さ。当たらない前提で、早く気づいて早く直せる形に組み替える。それが、この局面での予実管理の目的です。

立派なシステムは要りません。三分解の列を足し、着地見込みの一枚を作り、担当と期限の列を書く。既存の表に手を入れるだけで、来月から変わります。

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5.LENS は、数字が判断につながる形まで一緒に作る

LENS(BEYOND PLAYBOOK)は、きれいな管理表を納品して終わりにはしません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、いま見るべき数字の絞り込み → 差異の三分解 → 着地見込みの作り方 → 判断と担当まで落ちる会議の型までを、貴社の商売に合わせて組み立てます。

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※背景データは、原材料・商品仕入単価DI78.1(前期比11.6ポイント上昇)・売上単価・客単価DI21.6(同6.8ポイント上昇)・業況判断DI▲18.7で4期連続低下・有効回答17,734社=独立行政法人中小企業基盤整備機構『第184回 中小企業景況調査(2026年4-6月期)』、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の前年同月比1.6%=総務省『2026年6月分 全国消費者物価指数』(2026年7月24日公表)を参照しました。本文中の進め方は、よくある状況をもとにした一般的な整理です。