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#数字・見える化#業務効率化#DX・AI
Management Column · 2026.07.21

『Excelはタダ』という
高い勘違い

「Excelなら追加コストゼロで何でもできる」——多くの中小企業が、売上も在庫も原価も、会社の基幹の数字を表計算シートで回しています。導入費はたしかにゼロ。ですが賃上げが止まらない時代、そのシートを触る人の時給は年々上がり続けている。Excelが一番安いツールだという常識は、いま静かに崩れています。限界のサインはどこに出るのか、そしていつ乗り換えるべきか。9社の数字を回す立場から考えます。

1.常識 ── 『Excelはタダで、万能だ』

Excelは偉大なソフトです。表も計算もグラフも作れ、たいていのPCに最初から入っている。だからこそ多くの会社が、案件管理も、月次の売上集計も、在庫台帳も、気づけば全部Excelでやっている。「専用システムなんて高い。Excelでできているんだから十分」——これは中小企業でいちばんよく聞く、そして一見もっともらしい判断です。

実際、国のデータを見ても脱・紙は進み、デジタル化そのものは前進しています。ただしIPAの『DX動向2025』(2025年6月公表)は、DXへの取り組み割合が約8割に達した一方、多くの企業のDXが「作業時間の短縮」という効率化どまりで止まっていると指摘します。つまり「Excelで回せている」の多くは、前進ではなく前進したつもりの停滞なのです。

2.逆だった ── タダなのは、買うときだけ

ここで常識をひっくり返しましょう。Excelが無料なのは買うときの一回だけです。そのあと毎月かかる本当のコストは、シートに数字を打ち込み、コピペで転記し、月末に何時間もかけて集計し直す人の時間——つまり人件費です。そしてその人件費は、いま構造的に上がっています。2025年春闘は連合の最終集計で全体5.25%、300人未満の中小企業でも4.65%の賃上げとなりました(JILPT)。

賃上げの時代とは、手作業の集計に払う時給が毎年上がっていく時代ということです。月に10時間、二人がかりで数字をまとめている会社は、その10時間の値札が年々高くなっている。しかも代償は時間だけではありません。数式が壊れても誰も気づかない、作った本人しか触れない、同じ数字が複数のシートでズレる——Excelはタダで導入できるがゆえに、いちばん高くつく。それが逆説の正体です。

Excelが無料なのは、買うときの一度だけ。毎月払っているのは人の時間だ。

3.自社ならこう見る ── 乗り換えの限界サイン三つ

BEYONDも9社を束ねる立場で、いまも数え切れないExcelを使っています。全部をシステムにする必要などない。問題は「どのExcelは残し、どのExcelは卒業すべきか」の線引きです。LENSの可視化・鮮度・活用・仕組み化の観点で、乗り換えどきを告げる三つのサインを挙げます。

集計時間を『時給』で換算してみる
そのシートを月に何時間触っているかを測り、担当者の時給を掛ける。月10時間×時給2,000円なら年24万円。専用ツールの年額と並べれば、どちらが本当に安いか一目で分かる。賃上げが続く以上、この差額は毎年開いていく。問い:一番手のかかるシートに、年いくら払っているか即答できるか
『この人しか触れない』が生まれていないか
複雑なマクロや秘伝の数式で、作った一人しか中身が分からないシートは、会社の数字を人質に取られた状態。その人が休めば経営の目が止まる。属人化した基幹シートは、コストより先にリスクとして卒業を急ぐべきサイン。問い:明日その担当者が休んだら、今月の数字は出るか
数字を見るのが『月末』になっていないか
集計に手間がかかるほど、数字は月末にまとめて見るものになる。だが打ち手が要るのは今日。手作業集計は鮮度を殺す。『いま知りたい数字が、いま見えない』なら、それは効率の問題ではなく意思決定の問題として乗り換えどき。問い:今日この瞬間の売上・粗利を、席を立たずに見られるか

順番はこうです。①時給で換算して隠れコストを見え、②属人化していないかを確かめ、③数字の鮮度が落ちていないかを問う。三つのうち二つが当てはまったら、それは「Excelが優秀だから使っている」のではなく「限界に気づかないまま使い続けている」状態。乗り換えの判断そのものが、経営の見える化の第一歩です。

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4.LENS は、残すExcelと卒業するExcelを一緒に線引きする

LENS(BEYOND PLAYBOOK)は、いきなり高価なシステムを売りつけて終わりにはしません。集計時間を時給で見える化する → 属人化した基幹シートを洗い出す → 鮮度が要る数字だけ仕組みに移すまで、貴社の現場で本当に効く順番を一緒に線引きします。私たちは評論家ではなく、賃上げと人手不足の直撃を受けながら9社で無数のExcelと格闘してきた実業集団。全部をやめる必要はない、しかし放置してはいけないシートがどれかを、実務の目で見極められるのが武器です。

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