経常利益が前年同期比14.6%増、6四半期連続のプラス。ニュースとしては明るい数字です。ただ、これを見て自社の経営判断が変わることはありません。集計されているのは全産業・全規模の合計だからです。
そもそもこの統計は経常利益を扱うもので、粗利率をそのまま示すものではありません。にもかかわらず『世の中は最高益らしい』という空気だけが残り、自社が振るわないのは自社の問題だという漠然とした焦りにつながる。焦りからは、正しい打ち手は出てきません。
粗利率の話になると、必ず『うちの業界の平均は何%ですか』が出ます。気持ちは分かりますが、比較して得られるものはほとんどありません。
一つ目、計算の中身が揃っていない。何を原価に入れるかは会社ごとに違います。現場作業者の人件費を原価に入れる会社と販管費に入れる会社では、粗利率は10ポイント以上変わります。同じ名前の指標でも、中身が別物です。
二つ目、事業構成が違う。同じ業種でも、外注比率、内製の範囲、扱う商品の幅で構造がまるで違う。平均に近づけることが、良い経営になるとは限りません。
三つ目、平均には打ち手が書いていない。仮に自社が平均より低いと分かったとして、次に何をすればいいかは何も分かりません。比較して分かるのは順位だけで、原因ではないのです。
やり方はごく単純です。直近3年、12四半期分の粗利率を並べる。それだけです。
単月や単年の率には、季節性も大型案件の有無も混ざるので、高い低いを議論しても意味がありません。ところが12個並べると、傾きが見えます。じわじわ下がっているのか、ある時点から段差ができているのか、上下しながら横ばいなのか。
段差があるなら、その時期に何かが起きています。大口の取引開始、仕入先の変更、値引き方針の転換。原因が特定の出来事に紐づくので、対処もはっきりします。じわじわ型なら、値上げできていない構造が続いているということです。どちらなのかで、打ち手はまったく変わります。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。複数の事業を並べて見ている立場から言えるのは、同じグループ内でさえ、事業が違えば粗利率は比較できないということです。だから他社の平均と比べる意味は、なおさら薄い。
実務で効いたのは、四半期ごとの粗利率を、取引先別に一枚の表で並べ続けたことでした。1年半ほど続けると、下がり始めた取引先が数字の上で先に見えるようになります。現場の実感より、たいてい半年ほど早い。半年早く気づけば、値上げの相談も、条件の見直しも、まだ穏やかに切り出せます。
そして重要なのは、この表を作るのに新しいシステムは要らないことです。売上と原価が取引先別に取れれば、表計算で足ります。粗利率は、精度の高い分析より、同じ形で並べ続けることのほうが効く指標です。世の中の平均を調べる時間があるなら、自社の12四半期を並べる。それが最短です。
数字の粒度・鮮度・共有・判断への接続の4観点から、意思決定が遅れる原因をレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
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まずは無料の意思決定スピード診断で、数字が判断につながっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に並べる指標を一緒に決めましょう。
※背景データは、財務省が2026年6月1日に公表した『法人企業統計調査』において、2026年1〜3月期の金融業・保険業を除く全産業の売上高が408兆6,614億円で前年同期比1.1%増、経常利益が32兆6,271億円で同14.6%増となり、いずれも1〜3月期として過去最高を更新したこと、経常利益が6四半期連続の増加となったことを参照しました。同統計は経常利益等を対象としたもので、売上総利益率(粗利率)を直接示すものではありません。本文中の分析手順は、よくある状況をもとにした一般的な整理です。