測る前に分かったことがあります。受注率という言葉を、全員が違う意味で使っていました。
営業は『見積を出した案件のうち、取れた割合』のつもりで話す。社長は『問い合わせのうち、成約した割合』を思い浮かべる。事務は『今月受注した件数を、今月出した見積件数で割った数字』を毎月出していた。三つとも違う数字です。
だから会議の議論が噛み合いません。営業は『そんなに悪くない』と言い、社長は『去年より落ちている』と言う。どちらも自分の数字では正しい。この状態で改善策を話し合っても、着地するのは精神論だけです。
分け方はこうしました。①問い合わせから見積提出まで、②見積提出から相手の返事まで、③返事から受注まで。
測った結果、②と③は前年並みでした。落ちていたのは①です。しかも問い合わせの件数自体は増えていました。増えた分を、見積として出せていなかったのです。
理由は単純でした。担当者が忙しく、初回の返信が数日遅れていた。その間に他社が見積を出し、話が進んでしまう。営業力でも提案力でもなく、初動の速さの問題でした。
もし三段階に分けずに『受注率が落ちた』とだけ扱っていたら、出てくる対策は値引きか提案書の改善だったはずです。どちらも、この会社では効きません。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。見積を出す商売も、受ける商売も中にあります。
実感として、受注率という一語は便利すぎて危ないと思っています。一つの数字にまとめた瞬間、原因の議論ができなくなる。そして原因が分からない会議は、必ず『もっと頑張る』に着地します。
そして、これまで見てきた範囲では、落ちているのは③ではなく①であることが多い。値引きや提案力の話をする前に、初動の速さを測るほうが早く効きます。しかも初動は、営業ではなく仕組みで直せます。返信の担当を決める、テンプレートを用意する、不在時の代理を決める。それだけで動きます。
注意点を二つ。一つは、測りはじめると最初の数か月は数字が悪化して見えます。出さなかった案件を数えはじめるからで、実態が悪くなったわけではありません。ここで測るのをやめないでください。
もう一つ。率だけを目標にすると、取れそうな案件しか見積を出さなくなります。率は上がりますが、金額は減る。率と件数と金額の三つを、必ず並べて見てください。
最初の一歩は、先月の問い合わせ件数と、見積提出件数を数えること。この二つの数字だけで、①は出ます。
数字の粒度・鮮度・共有・判断への接続の4観点から、意思決定が遅れる原因をレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 意思決定スピード診断をはじめる 無料で相談するLENS(BEYOND PLAYBOOK)は、システムを入れて終わりではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、受注率の定義そろえ → 三段階の切り分け → 出さなかった案件の記録 → 段階ごとの責任者決めまでを、貴社の商流に合わせて一緒に整理します。狙うのは、落ちている場所が毎月見える状態です。
まずは無料の意思決定スピード診断で、数字が判断につながっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に測る一段階を一緒に決めましょう。
※本記事の会社の場面は、中小企業でよくある状況をもとに構成した想定事例であり、特定の企業を指すものではありません。受注率の定義や集計方法は、業種・商流・案件の期間によって適切な形が異なります。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。