← LENSトップへ
#数字・見える化#意思決定#財務・資金繰り
Management Column · 2026.09.03

四半期ごとに引き直しても、また外れた|見込みの外し方の癖を測る

年度予算を年に一度で終わらせない。3か月ごとに引き直す。ここまでたどり着く会社は、この数年でかなり増えました
ところが、引き直した見込みも外れます。ある会社(想定事例)は、期初予算とは別に四半期ごとの着地見込みを作り始めました。半年後、それでも着地は大きくずれた。
原因は引き直す頻度ではありませんでした。見込みを立てる人の癖が、一度も測られていなかったことです。

1.想定事例:回数を増やしたのに、精度は上がらなかった

従業員30名ほどの製造業(想定事例)。もともとは期初に年度予算を組み、月次で予算と実績の差を報告する形でした。前提が期中に壊れるという反省から、四半期ごとに着地見込みを置き直す運用に切り替えます。

半年後。上期の着地は、6月に置き直した見込みに対して売上はマイナス、原価はプラス。会議では『環境が想定以上に厳しかった』という説明が出て、その場は収まりました。そして翌四半期も、同じ形でずれます。

ここで効いていなかったのは、頻度ではありません。置き直した見込みが、あとで検証されていなかったことです。新しい見込みが古い見込みを上書きしていくので、自分たちがどちら向きに、どれくらい外すのかを誰も知らないまま次を作り続けていました。

引き直す回数を増やしても、同じ癖で外し続ければ、外れ幅は変わらない

2.癖は、たいてい同じ方向に出る

見込みのずれは、ランダムには出ません。多くの会社で、次の三つが毎回同じ向きに効きます。

一つ目は売上の楽観。相談段階の引き合いを、取れる前提で見込みに入れてしまう。悪意ではなく、営業の立場からは『取りにいく』と言うほうが自然だからです。

二つ目は原価の据え置き。上がっている実感はあるのに、根拠のある新単価がまだ出ていないので、前年並みのまま置く。実感と数字のあいだに時差が生まれます。

三つ目は期末の仮置き。目標に届かせるために、期末の月へ根拠の薄い数字が寄せられる。誰も嘘はついていないのに、合計だけが届いてしまう。

重要なのは、三つとも方向が一定だということです。方向が一定なら、それは欠陥ではなく特性で、測れば補正できます

3.外し方を測る、四つの手順

見込みは上書きせず、日付をつけて版で残す
置き直すたびに旧版を消してしまうと、外し方は永遠に分かりません。四半期ごとの見込みを、作成日つきで別ファイルとして残すだけで足ります。表計算のシートを複製し、日付の名前を付ける。それ以上の仕組みは要りません。半年後、比較できる材料が手元に三つ残ります。ポイント:最新版だけを残すと、外し方は測れない
誤差は金額ではなく、率と方向で見る
『売上が2,000万円足りなかった』では次に使えません。(実績−見込み)÷見込みで率にし、符号を必ず残します。売上はマイナス、原価はプラス、という向きが三回続けば、それは偶然ではなく癖です。次回はその分だけ機械的に補正してから会議に出す。議論の前に補正を済ませておくのが要点です。ポイント:符号がそろったら、次からは機械的に補正する
案件は確度3層に分け、層ごとの実現率を持つ
確定(契約済)/受注見込み(提案済・返事待ち)/引き合い(相談段階)の三つに分けます。そのうえで、過去の実績から層ごとの実現率を出し、掛けて足す。全部を一緒くたにすると、必ず楽観に寄ります。実現率は他社の相場ではなく、自社の過去の案件から出す。業種と商流によって、この数字はまったく違います。ポイント:層ごとの実現率は、自社の実績からしか出せない
引き直しは30分で終わる形にする
全項目を更新しようとすると、担当者の負担で運用が止まり、結局は年に一度へ戻ります。更新する項目を五つに絞る。受注残・引き合い・主要な仕入単価・人件費・大きな一時費用。この五つだけ動かし、残りは前回のまま据え置く。絞るほど、更新は続きますポイント:更新項目を減らすほど、引き直しは定着する

4.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。自分たちで見込みを作ってきて分かったのは、予測は当てる競技ではないということでした。

大事なのは精度そのものより、外れ方が安定しているかどうかです。外れ方が安定していれば、見込みの数字をそのまま資金繰りや採用の判断に使えます。安定していなければ、資料が出てきても社長が『で、本当のところはどうなんだ』と聞き直すことになり、資料を作った時間がまるごと無駄になります

もう一つ。癖を測ることを、担当者を責める材料にしないと最初に宣言してください。符号がそろうのは正直さの問題ではなく、情報の入り方の問題です。失注は最後まで報告しにくい、値上げの通知が経理まで回る経路がない、現場の残業増が翌月まで数字に出ない。直すのは人ではなく、情報が入る経路と、補正の仕組みのほうです

まずやることは一つだけで構いません。いま持っている着地見込みを、日付を付けて一部保存する。三か月後にそれを開いて、実績との差を率と符号で書き出す。二回それを繰り返した時点で、自社の癖はもう見えています。

60秒・無料診断

見込みの数字、そのまま資金繰りに使えていますか?

数字の粒度・鮮度・共有・判断への接続の4観点から、意思決定が遅れる原因をレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。

▶ 意思決定スピード診断をはじめる 無料で相談する

5.LENS は、見込みの検証から一緒に立つ

LENS(BEYOND PLAYBOOK)は、システムを入れて終わりではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、見込みの版管理 → 誤差の率と方向の集計 → 確度3層の実現率づくり → 更新項目の絞り込みまでを、貴社の数字の作り方に合わせて一緒に整理します。狙うのは、そのまま判断に使える見込みです。

まずは無料の意思決定スピード診断で、数字が判断につながっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に測る誤差を一緒に決めましょう。

※本記事の会社の場面は、中小企業でよくある状況をもとに構成した想定事例であり、特定の企業を指すものではありません。案件の確度区分や実現率の置き方は業種・取引条件によって適切な形が異なります。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。実現率や補正の数値は、他社の相場ではなく自社の実績にもとづいて設定してください。