従業員22名の印刷・制作会社。前期は受注件数が2割増えました。ところが決算を締めると、営業利益は前期より減っていた。社長には心当たりがありませんでした。値引きをした記憶もなく、大きな失注もない。
経理に聞くと、材料費と外注費は売上に比例して増えているだけ。説明のつかない差が、人件費のところに埋もれているように見えました。ただ、それ以上は追えません。誰がどの案件に何時間使ったかという記録が、どこにもなかったからです。
現場に聞くと、返ってきたのは『去年より確実に忙しい』という感覚だけ。忙しさの中身が分からないので、打ち手が決められない。
社長は、1か月だけ測ることにしました。専用のシステムは入れず、共有の表計算に日付・氏名・案件名・作業内容・時間の5列を用意しただけです。
1か月分が集まると、はっきりした傾向が出ました。金額の小さい案件ほど、単価あたりの時間が大きくかかっていた。修正の往復、細かい確認、急ぎの差し込み。1件あたりの金額が小さいので気にしていなかったものが、件数が増えたぶんだけ時間を食っていました。
受注件数が2割増えたのは、まさにこの層でした。売上は増え、時間はもっと増え、利益は減った。決算書からは絶対に見えなかった構造が、1か月の記録で見えたことになります。
この会社が成功した理由は、実はやり方の丁寧さではありません。丁寧にしなかったことです。
工数管理が挫折する原因は、ほぼ例外なく細かすぎる設計にあります。分単位で記録させる、作業種別を20個に分ける、リアルタイムで入力させる。始めた週は全員がやりますが、繁忙期に入った瞬間に止まり、二度と再開しません。
必要な精度は、判断に足りるだけです。この案件が儲かっているかどうかを見るのに、5分の誤差は関係ありません。15分単位で、記憶を頼りに一日の終わりに書く。それで十分に判断できます。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。時間の記録は、グループ各社でも何度か失敗しています。失敗した時は決まって、最初から立派な仕組みを入れようとした時でした。
うまくいったのは、表計算に5列だけ用意して、1か月と期限を切ったやり方です。期限があると、現場は協力してくれます。ずっと続く新しい業務だと思われると、始まる前から抵抗が生まれる。1か月なら、たいていの現場は付き合ってくれます。
そして1か月後、結果を全員に見せる。ここまでやると、多くの場合現場のほうから続けようと言い出します。自分たちが薄々感じていた『あの案件は割に合わない』が、数字として出てくるからです。感覚が裏付けられると、記録は自分たちの武器になります。
測って分かるのは原価だけではありません。どの仕事を断るべきかが分かるようになります。今回の会社は、この後に小口案件の受注ルールを見直しました。全部やめたわけではなく、最低金額と修正回数の上限を決めただけです。それでも利益は戻りました。判断の材料さえあれば、打ち手は難しくありません。
数字の粒度・鮮度・共有・判断への接続の4観点から、意思決定が遅れる原因をレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 意思決定スピード診断をはじめる 無料で相談するLENS(BEYOND PLAYBOOK)は、システムを導入して終わりではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、記録する項目の絞り込み → 1か月の運用設計 → 集計と読み方 → 受注ルールへの反映までを、貴社の現場に合わせて一緒に進めます。狙うのは、案件を受ける前に採算が読める状態です。
まずは無料の意思決定スピード診断で、数字が判断につながっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初の1か月の測り方を一緒に決めましょう。
※本文中の会社・人物・数値は、よくある状況をもとに構成した想定事例です。特定の企業を指すものではありません。手順は、BEYOND Holdings が複数の実業を運営する中で用いている一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。