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#差別化#ブランディング#集客・新規
Branding Column · 2026.09.23

社名と電話番号しか
書いていなかった8台

社用車と作業着は、広告費をかけずに毎日人目に触れる、数少ない場所です。
ところが多くの会社が、そこに社名と電話番号しか書いていません
見た人は、何の会社か分かりません。分からないものに、電話はかかってきません。

1. 【before】8台を走らせて、問い合わせはゼロ

従業員26名の設備工事会社。営業エリアは半径20キロほどで、社用車8台が毎日そのエリアを走っていました。

車体には社名と電話番号。白い車に紺色の文字で、きれいに貼ってあります。作業着の背中にも同じ社名。手入れも行き届いていて、汚れも剥がれもありません

それでも、車を見たことをきっかけにした問い合わせは年に一度あるかどうか。社長は『うちの商圏ではこんなものだろう』と考えていました。

転機は、社長自身が別の用事で業者を探したときです。見覚えのある車が何度も通っていたのに、その会社が何をやっているのか知らなかった

01社名は、何屋かを伝えない
会社名から事業内容が分かるのは一部の業種だけです。名前を覚えてもらっても、必要になったときに思い出されません。ポイント:覚えられるのは名前ではなく、何をしてくれる人かという記憶

2. 何が起きていたのか

この会社の車は、看板としては完成していて、媒体としては空白でした。

媒体に必要な要素は三つあります。①何屋か、②誰の困りごとを扱うか、③どうすれば頼めるか。社名と電話番号は③の一部でしかありません。

そして重要なのが、見る側の状況です。走る車を見る人は、その瞬間に困りごとを抱えているとは限りません。後日、困ったときに思い出してもらう必要があります。思い出されるのは名前ではなく、何をしてくれる人かです。

作業着も同じでした。背中は、現場で最も長く見られる面です。そこに社名だけが入っている。すれ違う近隣の人にとっては、情報がゼロと変わりません

3. 【turn】一行を足した

この会社がやったのは、ラッピングの作り直しではありません。既存の表示に、一行のカッティングシートを追加しただけです。

足した文言は『エアコン・給湯器の入れ替え』。社名より大きく、車体の側面と背面に入れました。

選んだ基準は三つです。①いちばん利益が残る仕事であること②一般の人が言葉を知っていること③自社で完結できること

『総合設備工事』『水まわりのことなら何でも』は外しました。範囲の広い言葉は、見た人の頭に何も残らないからです。

作業着は、背中に同じ一行を入れました。刺繍ではなくプリントで、一着あたりの費用は数千円です。

4. 何を書かないか

迷った末に、載せなかったものが三つあります。

①サイトのアドレス。走る車を見て、その場で文字列を打ち込む人はいません。覚えられない情報は、他の情報の読み取りを妨げるだけです。

②資格や許可の番号。信頼の材料ですが、通りすがりに読める量ではありません。これは見積書や名刺の役目です。

③キャッチコピー。『地域の暮らしを支えます』のような文言は、どの会社にも当てはまります。同じ面積を使うなら、扱う仕事を書いたほうが効きます

02読めるのは、3秒で2要素まで
走る車も歩く作業着も、読まれる時間はごく短い。何屋かと連絡先。それ以外を足すほど、どちらも読まれなくなります。ポイント:情報を足すことと、伝わることは逆に動く

5. 【after】数えたから、続いた

半年で、車や作業着をきっかけとした問い合わせは11件ありました。前年の年1件と比べれば大きな変化です。

ただし本当に効いたのは、件数そのものより数える仕組みを作ったことでした。電話を受けたときに『どちらで当社をお知りになりましたか』と必ず聞くと決め、記録を残した。

数えたことで、どのエリアを走る車からの反応が多いかまで見えました。結果、その方面の定期巡回ルートを少し変えています。広告費ゼロのまま、媒体としての露出を調整できるようになったということです。

そしてもう一つ。社員が背中の文言を意識するようになりました。現場で近隣の人に声をかけられる機会が増え、対応の仕方が変わった。表示は外向きの媒体であると同時に、社内への表明でもあります

6. 実業の当事者として言えること

BEYONDはコンサルティング会社ではなく、自分たちで複数の事業会社を経営している集まりです。車両と作業着の表示は、グループ各社で見直しました。

私たちの失敗は、最初にフルラッピングの見積もりを取ってしまったことでした。一台あたりの金額が出た時点で全社的に止まり、その年は何も変わりませんでした。一行のシートなら、一台数千円から試せます。効果を確かめてから全面を考えれば十分です。

もう一つ。書く一行は、季節で入れ替えて構いません。繁忙期の前に文言を変え、反応の差を見る。看板は変えられないものという思い込みを外すと、車は最も機動的な媒体になります

なお、車両への表示は関係法令や事業用自動車の定めに関わる場合があります。実施の前に個別の確認をしてください

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7. MAGNETは、一行を決めるところから一緒にやる

MAGNETで伴走する場合、デザインの検討から入りません。利益が残り、言葉が通じ、自社で完結できる仕事はどれか——この三条件で一行を決めるところから始めます。ここが決まれば、貼る作業は数千円の話です。

そのうえで、載せないものの線引き、作業着への展開、そして問い合わせ時にきっかけを聞いて記録する仕組みまで。数えない施策は、続ける理由も改善の手がかりも持てません。

まずは無料の差別化診断で、いま自社の輪郭がどれくらい伝わっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に載せる一行を一緒に決めます。

※本記事に登場する会社および経緯は、中小企業の現場でよくある状況をもとに構成した想定事例であり、特定の企業の実例ではありません。本文中の数値はいずれも説明のための仮設例です。車両への表示については、道路運送車両法をはじめとする関係法令や、事業用自動車に求められる表示の定めがある場合があります。実施にあたっては個別にご確認ください。