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#ブランディング#差別化#情報発信
Branding Column · 2026.07.20

口コミは『集める』な
── 星5を買った歯科医院が措置命令を受けた日

「口コミを増やしたい。お客様にお願いして書いてもらおう」──その一手が、いま行政処分の対象になります。2025年3月18日、消費者庁は医療法人社団スマイルスクエアに措置命令を出しました。理由は、来院者にGoogleマップへ星5の評価と感想を投稿してもらう見返りとして、5,000円分のプリペイドカードまたは治療費5,000円の割引を提供していたこと。対象は患者9人、期間は2024年5月15日から9月11日まで。ステルスマーケティング告示(2023年10月1日施行)に基づく処分としては4例目でした。悪質な業者の話ではありません。「良い治療をしたのだから、良い評価を書いてもらって何が悪いのか」という、ごく普通の感覚がそのまま違反になった事例です。

1.『口コミは集めるもの』という常識が危ない

多くの経営者にとって、口コミ対策とは件数を増やす活動です。だから施策も「お願いする」「特典をつける」「一斉にメールする」という集める方向に向かいます。ところがステマ規制の下では、この発想がそのまま地雷になります。

ポイントは、違反の判定基準が『内容の嘘』ではないことです。スマイルスクエアの件で問題になったのは、施術の質でも、書かれた感想の真偽でもありません。事業者が関与した表示なのに、消費者からはそれが判別できないという一点です。実際、同じ2025年3月にはロート製薬も、Instagramでは『PR』と表記していたモニター投稿を、自社サイトに転載する際に表記を落としたことで措置命令を受けています。表示の中身ではなく、関与の見え方が問われている

つまり「星5をお願いする」「書いたら割引する」という、これまで善意で行われてきた行為ほど危ない。頼み方の設計を変えないまま件数だけ追うのは、いま最もリスクの高い集客手段です。

2.そもそも、星5だらけの口コミは信用されない

法律の話を抜きにしても、集める発想には限界があります。評価が星5ばかり並んだページを、いまの消費者はそのまま信じません。不自然に高い平均点、同じ時期に集中した投稿、似た言い回し──読み手はこうした痕跡に敏感です。せっかく集めた口コミが、かえって「作っているのでは」という疑いを生む。

信頼が生まれるのは、良い評価と、そうでない評価が両方あり、そのうえで会社がどう応じているかが見えるときです。星3の指摘に丁寧な返信がついていれば、読み手はむしろ安心する。口コミは点数を競う場ではなく、対応の姿勢を見せる場だと考え方を入れ替える必要があります。

問われているのは評価の高さではなく、関与の透明さと対応の質

3.違反せず、信頼が積み上がる4つの型

集めるのではなく、自然に集まる受け皿を整える。順番に使える型を4つ挙げます。

見返りは『投稿』ではなく『取引』に紐づける
口コミを書くことを条件に特典を出す設計をやめる。割引やポイントを出すなら、購入・来店そのものへの特典として、投稿の有無と切り離す。お願いする場合も『良い評価を』ではなく『率直な感想を』と伝える。星の数を指定した瞬間に線を越える。ポイント:条件付けを外す。頼むのは投稿であって、評価内容ではない
自社が関与したものは、必ず関与を明示する
モニター・アンバサダー・取引先への依頼など、自社が関わった投稿には広告・PR・提供と明記する。他媒体で明記されていても、自社サイトへ転載する時に表記が落ちれば別途アウト。転載時こそ確認する。ポイント:表記の責任は、掲載する場所ごとに発生する
タイミングを固定して、頼まなくても集まる導線にする
満足度が最も高い瞬間は、納品直後・施工完了時・課題が解決した直後。そこに感想を書ける導線を常設する。個別に頼み込むのではなく、全員に同じ導線が届く仕組みにすれば、恣意的な選別も起きない。ポイント:誰に頼むかを選ばない。全員に同じ入口を出す
低評価にこそ、実名で返信する
星1や星2は消せない。だから資産に変える。事実誤認があれば冷静に訂正し、こちらの非があれば認めて改善内容を書く。この返信は、次の見込み客が最も熟読する文章になる。放置された低評価だけが本当のダメージ。ポイント:返信の相手は投稿者ではなく、それを読む未来の客
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4.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、コンサルとして外から助言するだけでなく、自分たちで複数の実業を回しています。その立場で言えば、口コミが増えない会社の本当の問題は、頼み方が下手なことではありませんお客様が良かったと感じた瞬間に、その気持ちを置いていける場所が用意されていないことです。名刺にも、納品書にも、完了報告のメールにも導線がない。だから思い出した頃には熱が冷めている。

もう一つ、中小企業ほど見落とすのが④の返信です。大手は炎上を恐れて定型文しか返せません。ここは小さい会社が圧倒的に有利な場所で、社長本人の名前で誠実に一言返すだけで、他社との差が決定的につく。特典を配るより、よほど安く、よほど効きます。

口コミは、買うものではなく積み上がるものです。規制が厳しくなったのは逆風ではありません。お金で件数を買っていた会社が退場し、地道にやってきた会社の口コミが相対的に効くようになったと捉えるべきです。

5.MAGNET は、信頼の受け皿づくりから一緒に作る

MAGNET(BEYOND PLAYBOOK)は、口コミを増やす小手先の施策を渡して終わりではありません。BEYOND Holdings 自身が複数の実業を回す当事者として、選ばれる理由の言語化 → 感想が集まる導線の設置 → 規制に触れない依頼の型 → 返信の運用ルールまでを、貴社の商売に合わせて一緒に作ります。評判が勝手に積み上がる状態まで持っていくのが私たちの役割です。

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※背景となる事実は、消費者庁による医療法人社団スマイルスクエアへの措置命令(2025年3月18日公表。Googleマップへの星5評価と感想の投稿を条件に5,000円分のプリペイドカードまたは治療費5,000円割引を提供、対象9名、表示期間2024年5月15日〜9月11日、ステルスマーケティング告示に基づく処分としては4件目)、ロート製薬への措置命令(2025年3月)、およびステルスマーケティング告示の施行日(2023年10月1日)を参照しました。本文中の打ち手は一般的な整理であり、個別事案の適法性については所管官庁や専門家にご確認ください。