一つ目。決めた理由のほうが先に失われます。ルールだけが残り、なぜそうしたのかは誰も答えられない。答えられないルールは、守っているのではなく、ただ従っているだけです。従っている状態では、状況が変わっても直せません。
二つ目。例外が静かに積み重なります。表向きは残したまま、現場が黙って例外を作りはじめる。ルールが形だけ残り、実態と離れていく。これが一番よくない状態です。新しく入った人は、書いてあることと実際が違う会社を、どう理解していいか分かりません。
三つ目。変えられないものが増えると、変えるべきものまで止まります。『先代が』で止まる項目が十個もあると、会議で誰も提案しなくなる。提案しても止まると分かっているからです。止まるのは特定のルールではなく、提案する習慣のほうです。
切り分ける基準は一つだけです。それは手段か、目的か。
たとえば『毎朝の朝礼で全員が数字を読み上げる』。これは手段です。目的は全員が今月の状況を知っている状態をつくること。それが達成できるなら、掲示でも、朝一斉の共有でも構いません。
一方『値引きで受注を取らない』。これは目的に近い。安さで選ばれる会社にしないという判断そのものだからです。手段ではありません。
見分け方も一つです。これをやめても、守りたかったことは守れるかと問う。守れるなら手段、守れないなら原則。原則は変えず、手段は目的を明示したうえで変える。この順序を崩さなければ、更新は否定になりません。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。創業の年数も、代替わりの段階も違う会社が集まっています。
並べて見て意外だったのは、創業者のルールが強い会社ほど、実は変化に強いということでした。理由がはっきり語り継がれているので、何を変えていいかも判断できる。逆に、なんとなく続いている慣習が多い会社ほど動けません。判断の拠りどころがないので、全部が『昔からこうだから』になってしまう。
だから、『先代が決めたことだから』と言われたときに聞き返す一言を決めています。『先代は、何を守りたくてそう決めたと思いますか』。この問いに社内が答えられるかどうかが、その会社の理念が生きているかどうかの判定になります。答えが返ってくる会社は、たいてい変更もうまくいきます。
もう一つ、現場で何度も見た光景があります。創業者本人が、一番柔軟なことが多い。手段に固執しているのは、たいてい周りの人です。本人に聞けば『そんなつもりで決めたんじゃない』と一言で終わることが、聞かないまま何年も止まっている。
最初の一歩は、いま『先代が決めたことだから』で止まっている項目を三つ書き出すこと。それぞれの横に、手段か目的かを書き添えてください。三つのうち二つは、たいてい手段です。
理念の言語化・共有・浸透・運用の4観点から、旗が判断の場面で使われているかをレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 経営理念・浸透度診断をはじめる 無料で相談するNORTH(BEYOND PLAYBOOK)は、理念の文言を納品する立場ではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、止まっている項目の洗い出し → 手段と目的の切り分け → 目的の言語化 → 変更の伝え方と見直し日の設定までを、貴社の歴史に合わせて一緒に進めます。狙うのは、守るものが決まっているから変えられる状態です。
まずは無料の経営理念・浸透度診断で、旗が判断の場面で使われているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に切り分ける三項目を一緒に選びましょう。
※本記事は社内ルールや慣習の見直しに関する一般的な整理であり、就業規則の変更など労働条件に関わる手続について助言を行うものではありません。労働条件の不利益変更にあたる可能性がある場合は、社会保険労務士または弁護士にご確認ください。本文中の手順は成果を保証するものではありません。