この調査は税務統計にもとづくものなので、欠損法人には税務上の理由で所得が生じなかった法人も含まれます。経営の苦しさとそのまま一致する数字ではありません。それでも、6割という水準と5年連続の増加という方向は動かしがたい。
ここから読み取るべきことは一つです。赤字を一時的な異常として扱うと、対処も一時的になります。今年をしのげば来年は戻る、という前提で決めた打ち手は、戻らなかったときに効きません。
そして苦境では、決めることの数が平時の何倍にも増えます。何を切るか、誰に頼むか、どこを削るか、誰に先に説明するか。平時なら前例で決められることが、苦境には前例がない。だから基準が要ります。
一つ目。抽象的すぎる。『お客様第一』は、いま値上げすべきか値下げすべきかを教えてくれません。判断の場面で使えない言葉は、苦境では無いのと同じです。
二つ目。順番が書いていない。顧客、社員、取引先、会社の存続。全部大事ですが、苦しいときは全部を守れません。順番がないと、そのとき声の大きいほうへ流れます。そして翌月は別の方向へ流れる。
三つ目。守れなかったときの扱いが決まっていない。理念に反する判断をせざるを得ない場面は必ず来ます。そのとき隠すか、認めて説明するかで、その後の信用がまったく変わります。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。苦しい期を抜けた会社も、いま抜けている途中の会社もあります。
実感として、赤字期にいちばん失われるのは、金ではなく判断の一貫性でした。その日ごとに違う基準で決めると、社員は会社が何を大事にしているのかが分からなくなる。人が辞めるのは、業績が悪い時ではなく、基準が見えなくなった時です。
そして、苦境で理念を持ち出すと『きれいごとを言っている場合か』と言われます。だから持ち出し方を変えます。理念の言葉ではなく、順番として出す。『うちは支払いより先に雇用を守る』と言えば、それは理念そのものですが、きれいごとには聞こえません。
注意点を一つ。順番は決めたら公開してください。社内だけで構いません。決めて隠しておくと、決めていないのと同じになります。公開しているから、判断がその順番に縛られる。縛られることが目的です。
もう一つ。赤字法人が5年連続で増えているということは、これは景気の波だけの話ではありません。構造として続く前提で、順番を決めておく価値があります。
最初の一歩は、守る順番を三つ書いて、紙に残すことです。黒字のうちに書くほうが、正直に書けます。苦しくなってから書くと、そのとき困っていることに引きずられます。
理念の言語化・共有・浸透・運用の4観点から、旗が判断の場面で使われているかをレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 経営理念・浸透度診断をはじめる 無料で相談するNORTH(BEYOND PLAYBOOK)は、理念の文言を納品する立場ではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、守る順番の言語化 → やらないことの設定 → 例外を説明する型 → 戻す条件の明記までを、貴社の状況に合わせて一緒に進めます。狙うのは、苦しいときに使える基準です。
まずは無料の経営理念・浸透度診断で、旗が判断の場面で使われているかを確かめてみてください。結果を見ながら、守る三つの順番を一緒に書きましょう。
※データに関する記述は、国税庁が2026年3月に公表した令和6年度分 会社標本調査において、欠損法人数が180万7,925社であり、全法人に占める欠損法人の割合が60.3%で5年連続の増加であったことを参照しました。同調査は税務統計にもとづくサンプル調査であり、欠損法人には税務上の理由により所得が生じなかった法人が含まれます。経営状況の実態と一対一で対応するものではありません。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。雇用や賃金に関わる判断は、労働関係法令に沿って行い、社会保険労務士にご確認ください。