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#経営理念#意思決定#財務・資金繰り
Management Column · 2026.09.15

法人の60.3%が赤字|苦しいときに、理念は使えるのか

国税庁が2026年3月に公表した令和6年度分 会社標本調査によると、赤字である欠損法人は180万7,925社全法人の60.3%にあたり、5年連続で増えています
赤字は例外的な状態ではなく、多数派です。
そして赤字のとき、理念は真っ先に脇へ置かれます。『今はそれどころじゃない』。ところが、理念が本当に使われるのはこの局面だけです。平時は、理念がなくても判断できるからです。

1.赤字は例外ではない、という前提

この調査は税務統計にもとづくものなので、欠損法人には税務上の理由で所得が生じなかった法人も含まれます。経営の苦しさとそのまま一致する数字ではありません。それでも、6割という水準と5年連続の増加という方向は動かしがたい

ここから読み取るべきことは一つです。赤字を一時的な異常として扱うと、対処も一時的になります。今年をしのげば来年は戻る、という前提で決めた打ち手は、戻らなかったときに効きません。

そして苦境では、決めることの数が平時の何倍にも増えます。何を切るか、誰に頼むか、どこを削るか、誰に先に説明するか。平時なら前例で決められることが、苦境には前例がない。だから基準が要ります

2.『理念が使えない』と感じる、三つの理由

一つ目。抽象的すぎる。『お客様第一』は、いま値上げすべきか値下げすべきかを教えてくれません。判断の場面で使えない言葉は、苦境では無いのと同じです。

二つ目。順番が書いていない。顧客、社員、取引先、会社の存続。全部大事ですが、苦しいときは全部を守れません。順番がないと、そのとき声の大きいほうへ流れます。そして翌月は別の方向へ流れる。

三つ目。守れなかったときの扱いが決まっていない。理念に反する判断をせざるを得ない場面は必ず来ます。そのとき隠すか、認めて説明するかで、その後の信用がまったく変わります。

平時は、理念がなくても判断できる。理念が本当に要るのは、苦しいときだけ

3.赤字期に使える形にする、四つの手順

守る順番を、三つまで書く
『①社員の雇用 ②取引先への支払い ③既存顧客への品質』のように、順位を付けます。順位を付けるとは、下位を諦める覚悟を平時に決めておくことです。だから書くのは苦しい作業になります。書けないなら、それは平時用の理念です。苦境で持ち出しても機能しません。ポイント:順番を書けない理念は、苦境では使えない
これだけはやらない、を一つ決める
苦しいときに手を出しがちで、後から取り返しがつかないこと。品質を落として納める。支払いを黙って遅らせる。社員に説明せず人を減らす。一つでいいので、先に決めて書いておく。やらないことが一つ決まっていると、他の判断が速くなります。選択肢が減るからです。ポイント:やらないことを一つ決めると、他の判断が速くなる
理念に反する判断をしたら、社内に理由を言う
苦境では、掲げたことに沿えない決断が必ず出ます。そのとき黙ると、理念そのものが死にます。『今回は○○を優先して、△△を犠牲にした』と言えば、理念は生き残る。反した事実より、説明しなかった事実のほうが長く残ります。言いにくいときほど、言う価値があります。ポイント:反した判断ほど、理由を口に出す
止めるときに、戻す条件を一緒に書く
教育、賞与、設備の更新。苦しいときに一時的に止めるものがあります。そのとき『何の数字がどこまで回復したら戻すか』を同時に書いてください。書かないと、止めたままが常態になります。そして数年後、なぜ止めたのかを誰も覚えていない。戻す条件は、止める決断とセットです。ポイント:止めるときに、戻す条件を一緒に書く

4.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。苦しい期を抜けた会社も、いま抜けている途中の会社もあります。

実感として、赤字期にいちばん失われるのは、金ではなく判断の一貫性でした。その日ごとに違う基準で決めると、社員は会社が何を大事にしているのかが分からなくなる。人が辞めるのは、業績が悪い時ではなく、基準が見えなくなった時です

そして、苦境で理念を持ち出すと『きれいごとを言っている場合か』と言われます。だから持ち出し方を変えます。理念の言葉ではなく、順番として出す。『うちは支払いより先に雇用を守る』と言えば、それは理念そのものですが、きれいごとには聞こえません

注意点を一つ。順番は決めたら公開してください。社内だけで構いません。決めて隠しておくと、決めていないのと同じになります。公開しているから、判断がその順番に縛られる。縛られることが目的です。

もう一つ。赤字法人が5年連続で増えているということは、これは景気の波だけの話ではありません。構造として続く前提で、順番を決めておく価値があります。

最初の一歩は、守る順番を三つ書いて、紙に残すことです。黒字のうちに書くほうが、正直に書けます。苦しくなってから書くと、そのとき困っていることに引きずられます。

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5.NORTH は、順番づくりから一緒に立つ

NORTH(BEYOND PLAYBOOK)は、理念の文言を納品する立場ではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、守る順番の言語化 → やらないことの設定 → 例外を説明する型 → 戻す条件の明記までを、貴社の状況に合わせて一緒に進めます。狙うのは、苦しいときに使える基準です。

まずは無料の経営理念・浸透度診断で、旗が判断の場面で使われているかを確かめてみてください。結果を見ながら、守る三つの順番を一緒に書きましょう。

※データに関する記述は、国税庁が2026年3月に公表した令和6年度分 会社標本調査において、欠損法人数が180万7,925社であり、全法人に占める欠損法人の割合が60.3%で5年連続の増加であったことを参照しました。同調査は税務統計にもとづくサンプル調査であり、欠損法人には税務上の理由により所得が生じなかった法人が含まれます。経営状況の実態と一対一で対応するものではありません。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。雇用や賃金に関わる判断は、労働関係法令に沿って行い、社会保険労務士にご確認ください。