大企業の不在率が24.9%にとどまるのは、選べる層が厚いからです。内部から登用する候補も、外部から招く道もある。一方、中小企業では母集団そのものが小さい。結果として親族という選択肢の比重が上がります。
これは自然なことで、責められる話ではありません。問題はその後に起きます。社員から見ると、決まった人が入ってきた、という形になる。
そして、このとき起きるのは反発ではありません。静かな距離です。意見を言わなくなる。提案が減る。判断を仰ぐ相手を選び始める。表面は平穏なので、経営側はしばらく気づきません。
最もよく掲げられる方針が、これです。善意から出ているのですが、うまくいきません。理由が三つあります。
一つ目。誰も信じません。将来の社長候補と一般社員が同じ扱いであるはずがない、と全員が思っています。だから『同じです』と言うほど、本当のことを言っていない会社に見えます。
二つ目。本人が動けなくなります。本当に同じ扱いなら、他の社員と同じ範囲の仕事しかできません。承継の準備は進まず、時間だけが過ぎます。
三つ目。基準が曖昧なまま運用されます。同じと言いながら実際の扱いは違うので、判断のたびに社内が空気を読み合う。この読み合いが、いちばん組織を疲れさせます。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。同族の会社も、そうでない会社も中にあります。
並べて見て分かったのは、親族の入社がうまくいっている会社は、必ず違いを認めているということでした。『同じです』と言い張る会社ほど、現場が疲れています。認めたうえで基準を示すほうが、隠して平等を演じるより納得されます。
そして、いちばん苦しいのは本人です。何を提案しても『親族だから通った』、何かを指摘されれば『親族なのに』。この状況を作っているのは周囲ではなく、説明しなかった会社の側です。
もう一つ、見落とされがちな点があります。社員が本当に見ているのは、待遇ではなく失敗したときの扱いです。親族が失敗したとき、他の社員と同じように扱われるか。ここで差が出ると、それまでの説明が全部無効になります。逆に、ここで差がなければ、多少の待遇差は受け入れられます。
最初の一歩は、同じ部分と違う部分を、紙に二列で書いてみることです。書けない項目があれば、それがまだ決まっていない項目です。入社の前に決めてください。
採用・受け入れ・育成・定着の4観点から、人が根づかない原因をレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 組織体力診断をはじめる 無料で相談するPACK(BEYOND PLAYBOOK)は、人事制度を納品する立場ではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、同じ部分と違う部分の切り分け → 社員への伝え方 → 評価者の設計 → 昇格条件の数値化までを、貴社の事情に合わせて一緒に整理します。狙うのは、本人も社員も動きやすい状態です。
まずは無料の組織体力診断で、人が根づかない原因がどこにあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、二列の表を一緒に埋めましょう。
※データに関する記述は、株式会社帝国データバンクが2025年11月に公表した全国『後継者不在率』動向調査(2025年)において、全国・全業種約27万社を対象とした調査で後継者不在率が50.1%であり、企業規模別では中小企業51.2%、大企業24.9%であったことを参照しました。同調査は同社の企業概要データベースにもとづくものであり、対象の定義により数値は異なります。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。賃金・評価・労働条件の設定は労働関係法令および就業規則に沿って行い、個別の運用は社会保険労務士にご確認ください。