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#人材育成#定着・離職#意思決定
Management Column · 2026.08.22

叱れない時代に、何を伝えるか
── フィードバックを期待の伝達に変える

パーソルキャリアが運営するJob総研は2026年6月1日、社会人男女421人を対象にした『2026年 上司と部下の意識調査』の結果を発表しました。そこで示されたのが、叱れない時代に悩む上司が7割という数字です。
一方で同じ調査は、部下387人に上司とのコミュニケーションで知りたいことを聞くと、最も多かったのは自分に期待していることだったと伝えています。
この二つを並べると、噛み合っていないことが分かります。上司は叱り方に悩み、部下は期待を知りたがっている。ここに、中小企業の人材育成でいちばん手をつけやすい余地があります。

1.悩みの正体は、叱り方の技術ではない

『どう叱ればいいか分からない』という悩みは、実際には言い方の問題として語られながら、中身は別のところにあることが多いものです。

叱るという行為は、暗黙のうちに基準があることを前提にしています。こうあるべきだという線があり、そこを下回ったから指摘する。ところがその線が伝わっていなければ、指摘は本人にとって後出しの否定になります。ハラスメントを恐れる以前に、そもそも成立していない。

逆に線が先に共有されていれば、指摘は難しくありません。『先週伝えたとおり、ここは事前確認をお願いしていた』で済みます。叱れないのではなく、叱る前提が渡されていなかった。この見立てのほうが、打ち手につながります。

線を先に渡していないと、指摘は後出しの否定になる。

2.部下が知りたいのは、評価ではなく期待

調査で最も多かった回答が自分に期待していることだったのは、示唆的です。評価は過去の話ですが、期待は未来の話です。人が知りたがっているのは、これからどう動けばいいかのほう。

ここが、年1回の評価面談の限界でもあります。面談で語られるのは主に去年の結果です。しかも1年分をまとめて扱うので、具体的な場面は思い出せず、抽象的な人物評になりがちです。『もう少し積極性がほしい』と言われても、明日どうすればいいかは分かりません。

期待は鮮度が命です。今の仕事について、いま伝えるから使える。3か月後に伝えても、状況が変わっています。

3.日常に入れる、四つの型

その場で、事実だけを言う
指摘の質を決めるのは、事実と解釈を混ぜないことです。『やる気が感じられない』は解釈、『昨日の報告が翌朝になった』は事実。事実だけを言えば、人格の話にならず、相手も反論ではなく説明ができます。感情が乗りそうなときほど、事実だけに絞る。ポイント:解釈と人格を足さない。事実だけで足りる
指摘には必ず、次の行動をセットにする
『次はこうしてほしい』がない指摘は、相手にとってただ責められた記憶として残ります。逆に次の行動が付いていれば、同じ言葉でも指導になる。言えないなら、それは指摘ではなく愚痴です。次の一手が出てこない場面では、いったん言わないほうがいい。ポイント:次の行動が言えないなら、その指摘は保留する
良かったときこそ、理由を言う
『助かった』『ありがとう』だけでは、何が良かったのか伝わりません。『先に電話を入れてくれたおかげで、先方の段取りが崩れずに済んだ』と理由まで言う。これが実質的に、期待の線を渡す作業になります。褒めるのが目的ではなく、基準を共有するのが目的です。ポイント:褒めるのではなく、基準を渡している
週に一度、1人3分の枠を先に取る
時間を決めないと、忙しい週から順に消えます。1人3分で十分です。今週やってほしいこと、先週良かったこと。これを毎週回すと、年1回の面談で言うことがほとんどなくなります。面談が確認作業になるのが、うまく回っている状態です。ポイント:3分×週1が、年1回の面談より効く

4.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。グループ各社の現場を見ていて思うのは、中小企業はこの点でむしろ有利だということです。

社長と現場の距離が近く、毎日顔を合わせています。大企業のように制度で仕組まなくても、その場で伝えられる。にもかかわらず伝えていないのは、制度がないからではなく、言うほどのことではないと思って飲み込んでいるからです。

実際にやってみると分かりますが、効いたのは指摘のほうではなく、良かったときの理由を言うほうでした。指摘は身構えられますが、理由付きの承認は素直に入ります。しかも聞いていた周りの人にも基準が伝わる。一人に言った言葉が、その場にいた全員への期待の伝達になります

叱れない時代だという実感は、多くの経営者が持っていると思います。ただ、叱る技術を磨く方向に行くと、たいてい行き止まります。伝えるべきは基準と期待で、それは日常の短い会話でしか渡せません。年1回の面談を厚くするより、週3分を9人分。そのほうが確実に効きます。

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5.PACK は、日常の型づくりから一緒に立つ

PACK(BEYOND PLAYBOOK)は、研修を実施して終わりではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、期待の言語化 → 事実で伝える型 → 週3分の運用設計 → 評価面談との接続までを、貴社の体制に合わせて一緒に組み立てます。狙うのは、面談が確認作業で済む状態です。

まずは無料の組織体力診断で、人が根づかない原因がどこにあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、来週から回す3分の型を一緒に決めましょう。

※背景データは、パーソルキャリア株式会社が運営するJob総研が2026年6月1日に発表した『2026年 上司と部下の意識調査』において、社会人男女421人を対象とした調査で叱れない時代に悩む上司が7割にのぼること、部下387人に上司とのコミュニケーションで知りたいことを聞いた設問で最も多かった回答が自分に期待していることであったことを参照しました。同調査は同社の自社調査です。本文中の手順は、よくある状況をもとにした一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。