『どう叱ればいいか分からない』という悩みは、実際には言い方の問題として語られながら、中身は別のところにあることが多いものです。
叱るという行為は、暗黙のうちに基準があることを前提にしています。こうあるべきだという線があり、そこを下回ったから指摘する。ところがその線が伝わっていなければ、指摘は本人にとって後出しの否定になります。ハラスメントを恐れる以前に、そもそも成立していない。
逆に線が先に共有されていれば、指摘は難しくありません。『先週伝えたとおり、ここは事前確認をお願いしていた』で済みます。叱れないのではなく、叱る前提が渡されていなかった。この見立てのほうが、打ち手につながります。
調査で最も多かった回答が自分に期待していることだったのは、示唆的です。評価は過去の話ですが、期待は未来の話です。人が知りたがっているのは、これからどう動けばいいかのほう。
ここが、年1回の評価面談の限界でもあります。面談で語られるのは主に去年の結果です。しかも1年分をまとめて扱うので、具体的な場面は思い出せず、抽象的な人物評になりがちです。『もう少し積極性がほしい』と言われても、明日どうすればいいかは分かりません。
期待は鮮度が命です。今の仕事について、いま伝えるから使える。3か月後に伝えても、状況が変わっています。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。グループ各社の現場を見ていて思うのは、中小企業はこの点でむしろ有利だということです。
社長と現場の距離が近く、毎日顔を合わせています。大企業のように制度で仕組まなくても、その場で伝えられる。にもかかわらず伝えていないのは、制度がないからではなく、言うほどのことではないと思って飲み込んでいるからです。
実際にやってみると分かりますが、効いたのは指摘のほうではなく、良かったときの理由を言うほうでした。指摘は身構えられますが、理由付きの承認は素直に入ります。しかも聞いていた周りの人にも基準が伝わる。一人に言った言葉が、その場にいた全員への期待の伝達になります。
叱れない時代だという実感は、多くの経営者が持っていると思います。ただ、叱る技術を磨く方向に行くと、たいてい行き止まります。伝えるべきは基準と期待で、それは日常の短い会話でしか渡せません。年1回の面談を厚くするより、週3分を9人分。そのほうが確実に効きます。
採用・受け入れ・育成・定着の4観点から、人が根づかない原因をレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 組織体力診断をはじめる 無料で相談するPACK(BEYOND PLAYBOOK)は、研修を実施して終わりではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、期待の言語化 → 事実で伝える型 → 週3分の運用設計 → 評価面談との接続までを、貴社の体制に合わせて一緒に組み立てます。狙うのは、面談が確認作業で済む状態です。
まずは無料の組織体力診断で、人が根づかない原因がどこにあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、来週から回す3分の型を一緒に決めましょう。
※背景データは、パーソルキャリア株式会社が運営するJob総研が2026年6月1日に発表した『2026年 上司と部下の意識調査』において、社会人男女421人を対象とした調査で叱れない時代に悩む上司が7割にのぼること、部下387人に上司とのコミュニケーションで知りたいことを聞いた設問で最も多かった回答が自分に期待していることであったことを参照しました。同調査は同社の自社調査です。本文中の手順は、よくある状況をもとにした一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。