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#定着・離職#業務効率化#人材育成
Management Column · 2026.10.04

離職率13.7%、パートは19.9%
── 引き継ぎを口頭でやる前提をやめる

厚生労働省の令和7年雇用動向調査では、年間の離職率は13.7%。就業形態別ではパートタイム労働者が19.9%で、一般労働者の11.4%を上回りました。
人が入れ替わることは例外ではなく、毎年必ず起きる予定です。
それでも引き継ぎは、口頭で、退職日の直前に行われます。

1. 入れ替わりは予定なのに、引き継ぎは臨時対応

公表された数値は全国の事業所を対象とした集計であり、自社の状況をそのまま示すものではありません。それでも構造は読み取れます。一般労働者で一割強、パートタイムでは二割が、一年のうちに職場を離れている。

ここに異動や配置換えを加えれば、担当が変わる場面は毎年何度も発生します。

ところが多くの会社で、引き継ぎは臨時対応として扱われています。退職が決まってから『引き継ぎをしっかりやってください』と言われ、あとは当事者同士に任される。渡す内容も、渡す時期も、人によって違います。

結果、抜けたあとに同じ問いが出ます。『これ、どうなってましたか』。残った側が、消えた情報を一つずつ復元する作業に入ります。

01毎年起きることは、手続きにする
人の入れ替わりは確率の高い予定です。予定に対して臨時対応で構えている限り、毎回同じ場所で情報が落ちます。ポイント:気配りに任せた作業は、人によって中身が変わる

2. 口頭引き継ぎが落とすもの

口頭が悪いわけではありません。口頭では構造的に落ちるものがあります。

①期限のあるもの。次回の点検、契約の更新、提出の締切。当人の頭の中とカレンダーにしかないものは、話の流れで出てきません。

②例外対応。『この取引先だけは請求書を郵送』『この現場は入館証が必要』。頻度が低いので、引き継ぐ側も思い出しません。そして落ちたときにいちばん揉めます。

③連絡先の実体。名簿上の担当者ではなく、実際に話が通る相手。携帯番号や、折り返しの時間帯。

この三つに共通するのは、当人にとって当たり前になっていることです。当たり前は、聞かれないと出てきません。だから質問の形を先に用意します。

3. 渡すのは三枚だけ

引き継ぎ書を立派にすると、書く人が脱落します。三枚に固定します。

一枚目:相手先と連絡先。社名、担当者名、実際に通じる連絡手段、直近のやり取りの要点を一行。名簿にある情報は書きません。名簿に無い情報だけを書きます。

二枚目:進行中のものと期限。いま動いている案件、次に何が起きる予定か、その日付。日付のない行は書かないと決めます。日付がないものは進行中ではありません。

三枚目:例外の一覧。通常と違う扱いをしているものを、全部。『なぜそうなっているか』は分かれば書く、分からなければ空欄で構いません。存在を知らせるほうが先です。

この三枚は、職種を問わず同じ様式にします。営業用と製造用を分けると、様式が増えて管理できなくなります。

02名簿にある情報は書かない。例外は理由より存在を先に
既存の帳票にある情報を書き写させると、作業が重くなります。三枚に入れるのは、どこにも残っていないものだけです。ポイント:引き継ぎ書の価値は、量ではなく網羅性

4. 渡す時期を、退職の直前にしない

いちばん効くのが、ここです。

三枚を、年に一度全員が更新します。退職や異動のときに書くのではなく、平常時に持っている。

理由は三つあります。①退職前は本人の意欲が落ちている。②突然の離脱に対応できる。病気や家庭の事情は予告されません。③毎年書くと、書く量が減る。前年の三枚を更新するだけになります。

更新の時期は、繁忙期の前に置きます。期末や決算期に重ねると、必ず後回しになります。

そして、更新した三枚は上長が受け取って目を通す。提出だけさせて誰も読まないと、二年目から中身が薄くなります。

5. 受け取る側の仕事を決める

引き継ぎは渡す側の作業として語られますが、受け取る側にも決めごとが要ります。

①一か月後に、三枚に足す。実際に回してみて足りなかったものを書き足す。これが次の人への引き継ぎ書になります。

②分からなかった項目を記録する。個人の記録ではなく、様式の改善材料として残します。同じ項目が三人で分からなかったら、様式に欄を足します。

6. 実業の当事者として言えること

BEYONDはコンサルティング会社ではなく、自分たちで複数の事業会社を経営している集まりです。この三枚は各社で運用しています。

いちばん効いたのは三枚目の例外一覧でした。一枚目と二枚目は、既存の管理表からある程度復元できます。例外だけは、知っている人が抜けた瞬間に完全に消えます。実際に過去、例外を知らずに通常対応をして取引先に迷惑をかけたことがありました。

失敗したのは、様式を五枚にしたときです。組織図と業務フローを足した結果、更新されなくなりました。三枚が上限でした。

もう一つ。パートやアルバイトを対象外にしていたのを、途中で変えました。入れ替わりが多いのはむしろこちら側です。ただし三枚全部は求めず、例外の一覧だけを書いてもらう形にしています。負担の大きさと、落ちたときの痛みの大きさで、求める範囲を分けました。

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7. PACKは、三枚の様式と更新の時期を決める

PACKで伴走する場合、引き継ぎ規程を作るところから入りません。直近で抜けた人の引き継ぎで何が落ちたかを書き出すところから始めます。落ちた項目が、そのまま様式の欄になります。

そのうえで、三枚の様式、名簿にある情報を除く線引き、年に一度の更新時期、上長が目を通す運用まで。パート・アルバイトには例外一覧だけを求めるといった範囲の調整も一緒に決めます。

まずは無料の組織体力診断で、いま組織のどこに負荷と抜けが溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に書く一人を一緒に選びます。

※背景データは、厚生労働省が公表した令和7年(2025年)雇用動向調査結果の概況において、年間の入職率が14.7%・離職率が13.7%で前年に比べ入職率が0.1ポイント・離職率が0.5ポイント低下したこと、就業形態別では一般労働者の入職率12.0%・離職率11.4%、パートタイム労働者の入職率21.7%・離職率19.9%であったことを参照しました。同調査は事業所を対象とした全国的な集計であり、個別企業の状況を示すものではありません。本文中の手順および数値は、よくある状況をもとにした一般的な整理です。