相談体制の整備、と聞くと大がかりに響きます。専用窓口を新設し、担当部署を置き、規程を整える――そんな絵を想像して、うちには無理だと止まる会社が出ます。
けれど、20人や30人の会社に求められているのはそこではありません。困ったときに誰のところへ行けばいいのかが、全員に分かっている状態です。極端に言えば、名前が決まって周知されていること。専任である必要も、専用の部屋がある必要もありません。
そして厄介なのは、多くの中小企業がこの『名前』を決めていないことです。カスハラに限りません。クレーム、事故、労災、社員間のトラブル。実際に起きたときは、たまたま手が空いていた人か、結局は社長が出ていく。それで回ってきたので、決める必要を感じてこなかっただけです。
一つ目、全部を書こうとする。業務を漏れなく洗い出して一覧にしようとすると、作成に何か月もかかり、完成した頃には実態と合っていません。そして誰も読み返しません。
二つ目、兼務が書けない。中小企業では、経理が総務を兼ね、営業が配車も見ています。一人一役を前提にした様式に当てはめようとするから、実態を書き込めない。書けないものは、書かないまま放置されます。
三つ目、更新の担当がいない。人が入れ替わっても分掌表は前のまま。半年で嘘の書類になり、次に見るのは監査か事故のときだけになります。
つまり形骸化の原因は、意識の低さではなく様式が実態に合っていないことです。だから作り方を変えます。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。現場を持っているので分かるのは、分掌が本当に必要になるのは平常時ではなく、事が起きた瞬間だけだということ。普段は無くても困りません。困らないから作られない。そして起きたときには、決める時間がありません。
今回の義務化は、その先送りに期限がついたと受け取るのが実務的です。カスハラ対応のためだけに1枚作るのはもったいない。同じ1枚に、決裁範囲・兼務の優先順位・不在時の代理・一次対応者をまとめて書く。同じ手間で、日常の判断も速くなります。
そしてこの1枚には、副次的だけれど大きな効果があります。社員の安心感です。理不尽な相手に当たったとき、自分ひとりで抱えなくていいと分かっている職場と、そうでない職場では、定着率が変わります。守られている実感は、給与とは別の軸で効く。義務だから作る書類ではなく、人が辞めない会社を作る道具として使ってください。
育成・定着・権限・関係性の4観点から、組織のどこに負荷が溜まっているかをレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 組織体力診断をはじめる 無料で相談するPACK(BEYOND PLAYBOOK)は、分厚い規程集を納品して終わりにはしません。BEYOND Holdings 自身が実業の当事者として、決裁範囲の線引き → 兼務の優先順位づけ → 不在時代理の設定 → 一次対応者の明記と周知の段取りまでを、貴社の人数と現場に合わせて1枚にまとめます。10月に間に合わせつつ、日常の判断速度も上げるのが狙いです。
まずは無料の組織体力診断で、いま組織のどこに負荷が溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に名前を決める一項目を一緒に選びましょう。
※背景データは、改正労働施策総合推進法により2026年10月1日からカスタマーハラスメント対策が雇用管理上の措置として事業主に義務づけられること、労働者を1人でも雇用する事業主が対象で中小企業に猶予期間が設けられていないこと、厚生労働省の指針が2026年2月に策定され方針の明確化・相談体制の整備・事後の適切な対応・再発防止といった措置が求められること=厚生労働省の公表内容を参照しました。本文中の分掌の書き方は、よくある状況をもとにした一般的な整理です。