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#人手不足#業務効率化#定着・離職
Management Column · 2026.07.10

エースが辞めた翌月、
受注が半分になった

2025年の人手不足倒産は427件と3年連続で過去最多を更新し、そのうち77%が従業員10人未満の小規模企業でした。従業員の退職がきっかけの倒産も過去最多です(帝国データバンク)。小さい会社ほど、たった1人のエースが抜けただけで屋台骨が折れる。これは他人事ではありません。以下は、そんな『エース依存』からどう抜けたかの想定事例です。多能工化という言葉を、精神論でなく手順に落として見ていきます。

1.before ── 田中さんに全部が乗っていた(想定事例)

従業員8人の金属加工の町工場。社長が一番頼りにしていたのが、勤続15年のベテラン・田中さん(仮名)でした。難しい図面の読み解き、段取り、主要客との細かなやり取り——核心の仕事はいつの間にか田中さん一人に集まり、他の職人は『田中さんに聞けば早い』が口癖になっていました。社長もそれを頼もしく思い、あえて手を入れずにいた。

ところがある日、田中さんが家庭の事情で退職を申し出ます。引き継ぎ期間はわずか。翌月、主要客の特殊案件が『田中さんじゃないと無理』と回らなくなり、受注は実質半分近くまで落ち込みました。頼れる一人がいたのではなく、一人に頼りきっていた——それが牙をむいた瞬間でした。人手不足倒産の77%が10人未満というのは、こういう現場の連なりです。

2.turn ── 『引き継ぎ』でなく『分解』から始めた

社長が最初にやりかけたのは、慌てて田中さんの仕事を若手一人に丸ごと引き継ぐことでした。が、これは②の轍——一人依存を別の一人依存に付け替えるだけです。踏みとどまって順番を変えました。まず田中さんの仕事を『工程』に分解して紙に並べた。図面解読・段取り・加工・検査・客対応。すると、全部が難しいわけではなく、本当に田中さんにしかできないのは図面解読と客対応の2つだけだと見えてきた。

残りは手順書と数回の同席で、他の職人でも回せる。そこで『誰が何をできるか』を一覧にしたスキルマップを作り、各工程に『できる人を最低2人』という目標を置きました。多能工化とは、全員が何でもできる超人になることではありません。一つの工程を任せられる人を、一人から二人にすること。それだけで会社は驚くほど折れにくくなります。

多能工化とは全員を超人にすることでなく、各工程を『二人目まで』広げること。

3.学び ── 今日から動かせる多能工化の三手

BEYONDも9社の現場で同じ痛みを何度も見てきました。エースは宝ですが、依存はリスク。この事例から抽出できる、今週から着手できる三手はこうです。

エースの仕事を『工程』に分解して並べる
丸ごと引き継ごうとせず、まず作業を細かく割る。多くは『本当に本人しかできない核』は一部だけ。分解した瞬間に、任せられる範囲が見える一手:一番集中している人の一日を、工程単位で書き出す
スキルマップで『二人目がいない工程』を炙り出す
縦に工程、横に人。できる=◯で埋めると、◯が一人しかない列が一目でわかる。そこが会社の急所。全工程でなく、この急所から二人目を育てる。一手:各工程『できる人を最低2人』を当面の目標に置く
核の仕事は『手順書+同席』で移す
図面解読や客対応のような核も、手順書と数回の同席でかなり移せる。エースが元気なうちに始めるのが肝。抜けてから慌てるのでは間に合わない一手:急所工程の二人目候補を1人指名し、来週から同席させる

①分解し、②急所を炙り出し、③二人目に移す。多能工化は大がかりな制度改革ではなく、『各工程の二人目を作る』小さな積み重ねです。人手不足倒産が過去最多の今、採用で頭数を増やすより先に、いる人材が抜けても折れない体をつくる方が、はるかに現実的で速い打ち手になります。

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4.PACK は、『二人目を作る』ところまで伴走する

PACK(BEYOND PLAYBOOK)は、多能工化の号令をかけて終わり、にはしません。エースの仕事を工程に分解し → スキルマップで急所を炙り出し → 手順書と同席で二人目に移すまで、実際に組織が折れにくくなる形で一緒に進めます。私たちは評論家ではなく、9社それぞれの現場で人の抜けと採用難に向き合ってきた実業集団。エース1人に頼りきる怖さの当事者だからこそ、精神論でなく手順で属人化をほどけるのが武器です。

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