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#定着・離職#人材育成#採用
Organization Column · 2026.07.08

3か月で辞めた新人
── 定着は『最初の90日』の設計で決まる

やっと採れた新人が、入社3か月で辞めた。人手不足の今、これは採用費の損失では済みません。2025年10月に厚生労働省が公表した大卒の3年以内離職率は33.8%。しかも従業員5〜29人の会社では高卒の54.4%が3年で辞め、1000人以上(27.3%)の倍にのぼります。中小ほど早期離職が高いのは、待遇や知名度のせいだけではない。『入社後の最初の90日』が放置されているからです。今日は想定事例を追いながら、辞めない立ち上がりを作るオンボーディング設計を、9社を自ら運営する当事者の視点で解きほぐします。

1.ある会社の想定事例 ── 『放置』が新人を追い出した

※以下は、よくある中小企業の場面を組み立てた想定事例です。

Before ── 採ったら現場任せ、だった
従業員18名の設備工事会社。半年かけてやっと採用した20代の新人が入社した。社長は『いい子が採れた』と喜んだが、受け入れ設計は無し。初日は席と道具を渡して『分からないことは聞いて』。現場は多忙で誰も手が空かず、新人は『何を聞いていいか分からない』まま宙に浮いた。3週間後には昼休みを一人で過ごし、質問も減った。2か月目、ミスを強く叱られたのをきっかけに口数がなくなり、3か月目に『続ける自信がない』と辞めた。社長は『最近の若い子は根性がない』と嘆いたが、本当の原因は別にあった。

この新人は、能力が足りなかったわけでも、根性がなかったわけでもありません。『ここでやっていけそうだ』という手応えを持てないまま放置されただけです。早期離職の理由の上位は、いつの時代も『人間関係』『仕事が合わない』『成長を感じられない』。そのどれもが、最初の数か月の受け入れ方で大きく変わる。中小企業は知名度でも初任給でも大手に勝ちにくい。だからこそ、勝てる土俵は『入って最初の90日の丁寧さ』なのです。

2.Turn ── 『気合い』をやめ、90日を設計したら定着した

次の採用で、社長はやり方を変えました。特別な予算も研修制度も要りません。やったのは『最初の90日に、誰が・何を・いつやるか』を決めただけ。具体的には3つです。

初日〜初週で『居場所』と『すぐできる仕事』を用意する
初日に席・道具・IDが揃っていない、いきなり難しい仕事を渡す、は離脱の典型。逆に、初週は『これは自分にもできた』という小さな成功を意図的に作る。誰に何を聞けばいいかの一覧と、昼食に誘う担当も決めておく。孤立させないことが最優先最初の一手:初日にやること・渡すもの・紹介する人を、A4一枚のチェックリストにする
『メンター』を一人決め、雑談の窓口にする
新人が本当に困るのは、『こんな初歩を社長や先輩に聞いていいのか』という遠慮。年の近い先輩を一人メンターに指名し、『何でも聞ける相手』を明確にする。教育担当と評価者を分けるのがコツ。評価される相手には弱音を吐けない。最初の一手:新人に一番歳の近い社員を『相談係』に任命し、本人にもそう伝える
30日・60日・90日で『必ず面談する』と決めておく
辞める新人は、辞める前に必ずサインを出す。それを拾う場をあらかじめカレンダーに入れておく。『困っていること・できるようになったこと』を各節目で確認するだけでいい。問題が小さいうちに気づけば、たいてい辞めずに済む。最初の一手:入社日から30/60/90日後に、15分の面談を先に予定登録する
中小の勝てる土俵は、知名度でも初任給でもない。入って最初の90日の、丁寧さだ。

3.After と学び ── 立ち上がりは『気合い』ではなく『仕組み』

After ── 定着し、戦力になり、次の採用も楽になった
新しく入った社員は、初週に『できた』を積み、相談係のおかげで孤立せず、30日面談で早めに悩みを吐き出せた。3か月を越えて定着し、半年後には一人で現場を任せられるようになった。さらに思わぬ効果──受け入れの型ができたことで、次に採る時の不安が消えた。『採っても続かない』が『採れば育つ』に変わり、採用そのものに前向きになれた。

この会社が変わったのは、根性論をやめて『最初の90日を設計した』からです。オンボーディングは、立派な研修プログラムを作ることではありません。初週の孤立を防ぎ、相談相手を決め、節目で面談する──この3つを『気合い』ではなく『仕組み』にするだけ。人が採りにくい今、一人辞めさせない価値は、一人採る価値より大きいのです。

4.自社ならどう動くか ── 次に採る一人から始める

制度を一気に作る必要はありません。順番はこの想定事例のとおり。①初日〜初週のチェックリストを一枚作る → ②相談係(メンター)を一人決める → ③30/60/90日の面談を先にカレンダーへ入れる → ④辞めた人・続いた人の違いを毎回振り返り、型を直す。BEYONDグループも9社それぞれで人を受け入れ、『採っても続かない』の壁にぶつかりながら、この『最初の90日を設計する』やり方に落ち着きました。

大事なのは、採用の頑張りを、入社後の放置で無駄にしないこと。せっかく採った一人を戦力に変えられるかどうかは、最初の90日の設計で決まります。次に採る一人から、始めてください。

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5.PACK は、辞めない立ち上がりの設計まで伴走する

PACK(BEYOND PLAYBOOK)は、オンボーディングのテンプレートを渡して終わりではありません。BEYONDグループ自身が複数の実業で人を採り、受け入れ続けてきた当事者として、初週チェックリストの設計 → メンター体制づくり → 30/60/90日面談の仕組み化 → 定着データの振り返りまで、貴社の規模で実際に回る形に一緒に作ります。立派な研修制度ではなく、次の一人がちゃんと続く仕組みへ。そこまで並走します。

まずは組織体力診断で、採用・定着・育成のどこが弱点かを掴むところから。結果を見ながら、最初に整える一点を一緒に決めましょう。

※背景データは、大卒の就職後3年以内離職率33.8%・高卒37.9%(2022年3月卒/2025年10月公表)、事業所規模別で5〜29人の高卒3年以内離職率54.4%・1000人以上27.3%=厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況』を参照しました。事例はよくある中小企業の場面を組み立てた想定事例で、登場人物・数値は架空です。本記事の打ち手は一般的な考え方に基づくもので、個別の設計は自社の状況に合わせてご検討ください。