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#人手不足#人材育成#定着・離職#補助金・制度
Management Column · 2026.08.01

時給が上がり、壁が消える
── パートを『調整弁』のままにする会社が、
この秋いちばん損をする

2026年7月28日、中央最低賃金審議会が2026年度の改定目安を答申しました。目安どおりに各県で改定されれば、全国加重平均は1,121円から1,176円へ、55円・4.9%の引き上げ(Aランク54円、B・Cランク各56円)。発効は例年どおりなら10月頃です。そして同じ2026年10月、社会保険の加入要件から月額8.8万円(いわゆる年収106万円)の賃金要件が撤廃され、企業規模要件も51人以上へ引き下げられる予定です。時給が上がる。壁が消える。この二つが、同じ秋に重なります。

1.『コスト増』としてだけ読むと、打ち手を一つ落とす

この二つのニュースを、多くの会社は人件費の話として受け取ります。それは正しい。ただし半分だけです。

思い出してほしいのは、これまでパート・アルバイトの働き方を決めていたのが、本人の意欲でも会社の都合でもなく『壁』だったという事実です。年末が近づけばシフトを削る。繁忙期にいちばん頼りたい人が入れない。会社側は、一人に厚く任せる設計ができず、薄く広く人を並べるしかなかった。人が足りないのに時間が余る、というねじれです。

賃金要件が撤廃されれば、週20時間以上働く人は年収にかかわらず対象になります。つまり『年収を見ながら時間を抑える』という調整の前提そのものが消える。手取りの計算は人によって変わりますが、少なくとももっと働きたいのに働けなかった人が動けるようになる——これは人手不足の会社にとって、間違いなく追い風の側面です。

2.痛いのは時給ではなく、任せていない範囲のほう

とはいえ、4.9%の上昇を吸収する話からは逃げられません。ここで一つ、実務の感覚を挟みます。時給が上がって本当に痛いのは、『戦力になっていない人』の時給が上がるときです。一人でレジを締められる、一人で工程を回せる、電話を受けて判断まで返せる——そういう人の時給が50円上がっても、経営は痛くありません。むしろ安いくらいです。

私たちBEYONDは9社の現場を自分たちで回しています。店舗も、加工の現場も、事務も、パート・アルバイトの方々に支えられている。そこで効いたのは、時給の上げ下げの工夫ではありませんでした。効いたのは、『これは正社員しかできない』と思い込んでいた仕事を、一つずつ棚卸ししたことです。並べてみると、理由の多くは権限でも資格でもなく、単にその人が慣れているからでした。慣れなら、渡せます。

時給が上がって痛いのは時給ではない。任せていない範囲のほうだ。

3.10月までに置く三手

秋の改定まで、実質的に動ける時間は多くありません。大きな制度改定を待たず、次の三手から始めれば十分に間に合います。

『正社員しかできない』の理由を、一行ずつ書き出す
仕事を並べ、それぞれに権限・資格・慣れのどれで止まっているかを一語で書く。慣れと書いた仕事は、原則すべて渡せる候補。ここで初めて、時給を上げるに値する役割が具体的に見えてくる。一手:現場の仕事を10個書き出し、止めている理由を横に書く
時間ではなく『できる範囲』で時給を決める
全員一律の昇給は、原資を薄く配って誰の意欲にも届かない。開けられる・締められる・任せて帰れるといった到達点で段をつけ、決め方を先に全員へ開示する。金額の差より、差の理由が見えることが効く。一手:時給の段を3つ作り、それぞれの条件を1行で書いて貼る
シフトの前提を『壁』から『本人の希望』へ張り替える
10月以降、働き方の希望は扶養の範囲で抑えたい人と、社会保険に入って長く働きたい人に割れる。ここを聞かずに従来どおり組むと、いちばん伸ばしたい人から順に他社へ流れる。9月までに一人ずつ意向を聞くだけで、秋の欠員リスクは大きく下がる。一手:面談表に『10月以降の働き方の希望』の一行を足す

①範囲を洗い、②段をつけ、③希望を聞く。制度改定は待ってくれませんが、この三手はどれも今週から着手でき、投資がほぼゼロです。逆に、何もしないまま10月を迎えた会社は、上がった時給を、これまでと同じ仕事の範囲に払い続けることになります。

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4.PACK は、『渡せる範囲』を決めるところから伴走する

PACK(BEYOND PLAYBOOK)は、制度改定の解説で終わりにはしません。任せられる仕事を洗い出し → 時給の段と条件を言葉にし → 秋以降の働き方の希望を一人ずつ拾うところまで、実際にシフトが組み替わる形で一緒に設計します。私たちはコンサルではなく、9社それぞれの現場で毎月シフトを組み、時給を決めている実業集団です。壁に合わせて人を薄く並べる苦しさも、任せた瞬間に人が変わる手応えも、自分たちで払ってきました。

まずは無料の組織体力診断で、いまどこが戦力化の詰まりかを掴むところから。結果を見ながら、最初に渡す一つの仕事を一緒に決めましょう。

※最低賃金は、2026年7月28日に中央最低賃金審議会が答申した目安(Aランク54円、B・Cランク各56円、目安どおりなら全国加重平均1,121円→1,176円・引き上げ率4.9%)に基づく記述です。各都道府県の実際の改定額は、地方最低賃金審議会の審議を経て各労働局長が決定します。社会保険の適用拡大(月額8.8万円の賃金要件撤廃・企業規模要件51人以上への引き下げ、2026年10月予定/企業規模要件は以降段階的に撤廃予定)についても、個別の適用可否は要件が複数あるため、顧問社労士にご確認ください。