一つ目。見送りの理由には、相手が変えられるものと変えられないものがあります。経験不足、資格がない、特定のスキルが足りない——これらは数年で変わります。一方、価値観の不一致や勤怠の懸念は変わりにくい。この二つを区別せずに『見送った人』として一括りにしているのが、実際の運用です。
二つ目。自社の側も変わっています。3年前に『うちには早い』と判断した人が、いまの事業なら合うことがある。逆もある。見送りは、その時点の自社との相性の判定でしかありません。会社が変われば、判定も変わって当然です。
三つ目。二度応募してくる人は、動機が強い。中小企業の採用で最も不足しているのは、応募者の数ではなく動機です。一度断られてなお応募してくる人は、そこを最初から持っている。それを、記録がないという理由だけで外しています。
面接の記録に『不採用』とだけ書いてある会社は多い。これは次に一切使えません。合否は結果であって、判断ではないからです。
書くのは三つです。①何が足りなかったか。②それは変わりうるものか。③変わったら、もう一度会いたいか。三行で足ります。
三行あれば、数年後に応募が来たときに前回を踏まえて話せます。『前回は○○の点でご縁がありませんでしたが、その後いかがですか』と聞ける。これは相手にとっても誠実な扱いです。覚えていないまま同じ質問を最初からやり直すほうが、よほど失礼になります。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。採用では、どの会社も苦労しています。
実感として、中小企業の採用で一番高くつくのは、母集団がゼロになることです。応募が来ない月が続くと、基準を下げて妥協した採用をしてしまう。それが定着せず、翌年また同じことを繰り返す。この悪循環のコストは、求人広告費よりはるかに大きい。
見送った人の記録は、この循環を止めるための在庫のようなものです。ゼロから集め直すより、ずっと安い。しかも相手は自社を一度は知っている。
記録を残すことには、もう一つの効果がありました。自社の採用基準が言語化されます。『なんとなく合わない』を三行で書こうとすると、書けないことに気づく。書けない基準は、面接官によってぶれている基準です。書く作業そのものが、選考の精度を上げます。
注意点を一つ。応募者の情報は個人情報です。保管する以上、利用目的を明示し、期間を決めて管理してください。長く持つなら、その旨を相手に伝える。ここは専門家に確認したうえで運用してください。
最初の一歩は、直近1年で見送った人の記録を開いてみることです。理由が書いてあるかを確かめる。書いていなければ、次の面接から三行を足すところから始めてください。
採用・受け入れ・育成・定着の4観点から、人が根づかない原因をレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 組織体力診断をはじめる 無料で相談するPACK(BEYOND PLAYBOOK)は、採用を代行する立場ではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、見送り理由の書き方 → 変わりうる人の一覧づくり → 断りの連絡の型 → 再応募時の担当の決め方までを、貴社の採用の実態に合わせて一緒に整理します。狙うのは、母集団がゼロにならない状態です。
まずは無料の組織体力診断で、人が根づかない原因がどこにあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、記録に足す三行を一緒に決めましょう。
※本記事は採用選考の記録と運用に関する一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。応募者の個人情報は、利用目的を明示したうえで適切に管理し、保管期間についても方針を定めてください。選考および採否の判断にあたっては、職業安定法をはじめとする関係法令に留意し、個別の運用は社会保険労務士または弁護士にご確認ください。