65歳までの雇用確保は、いまや義務です。数字を見ると、対応の主流は継続雇用制度(67.4%)――つまり定年はそのままに、再雇用で引き続き働いてもらう形です。定年そのものを引き上げた企業は28.7%にとどまります。
ここに落とし穴があります。継続雇用は、制度としては最も手をつけやすい。定年の年齢も就業規則の骨格も変えずに済むからです。その代わり、多くの会社で再雇用後の中身を設計しないまま運用が始まりました。
典型的なのが、肩書きを外し、給与を一律で下げ、仕事は前と同じという形です。本人から見れば、責任と業務量はそのままで処遇だけが落ちる。会社から見れば、人件費は抑えられたが本人の意欲は下がっている。どちらも得をしていない状態が、静かに続きます。
70歳までの就業確保措置で中小35.2%が大企業29.5%を上回っているのは、意識が高いからではないでしょう。人が採れないからです。若手の採用が難しい中小企業にとって、経験のある人に長く働いてもらうことは選択肢ではなく前提になっています。
ただ、これは弱みではなく先行者としての立ち位置でもあります。大企業がこれから直面する課題を、中小はすでに実務として抱えている。役割と処遇の設計をきちんとやれば、そのまま採用競争力になります。60代前半で会社を移る人は増えており、『あそこは65歳を過ぎても仕事が任される』という評判は、地域では確実に伝わります。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。現場を持っている立場から言えるのは、ベテランの価値は作業量ではなく、判断の速さにあるということです。
同じトラブルでも、経験のある人は原因の当たりをつけるのが速い。見積の勘所、客先の癖、機械の異音。これらは手順書に書ききれない領域で、若手が5年かけて身につけるものを、その場で出せる。この価値を、現場作業の生産数だけで測ると必ず過小評価になります。
だから設計の要点は一つです。ベテランの時間を、作業ではなく判断と指導に寄せられているか。人が採れない前提が続く以上、65歳以降をどう設計するかは福利厚生ではなく、事業継続の話です。制度対応が済んだ会社ほど、次は中身に手を付けるべき段階に来ています。
育成・定着・権限・関係性の4観点から、組織のどこに負荷が溜まっているかをレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 組織体力診断をはじめる 無料で相談するPACK(BEYOND PLAYBOOK)は、規程の改定を代行して終わりにはしません。BEYOND Holdings 自身が実業の当事者として、再雇用の型づくり → 指導時間の勤務表への組み込み → 役割で説明できる処遇の設計 → 技能引き継ぎリストの作成までを、貴社の人数と現場に合わせて組み立てます。狙うのは、長く働けることではなく、長く戦力であり続けることです。
まずは無料の組織体力診断で、いま組織のどこに負荷が溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に面談する一人を一緒に決めましょう。
※背景データは、労使協定により継続雇用制度の対象者を限定できる経過措置が2025年3月31日をもって終了し2025年4月1日以降は定年制の廃止・65歳までの定年引上げ・希望者全員の65歳までの継続雇用制度のいずれかの措置が必要となること、65歳までの高年齢者雇用確保措置の内訳が継続雇用制度67.4%・定年の引上げ28.7%・定年制の廃止3.9%であること、70歳までの就業確保措置を実施済みの企業が全体34.8%・中小企業35.2%・大企業29.5%であること=厚生労働省『高年齢者雇用状況等報告』(令和7年)を参照しました。本文中の進め方は、よくある状況をもとにした一般的な整理です。