← PACKトップへ
#人材育成#定着・離職#人手不足
Management Column · 2026.08.13

70歳就業確保は中小35.2%・大企業29.5%
── シニアを戦力のまま残す役割と処遇

2025年4月1日、経過措置が終了しました。それまで労使協定で継続雇用の対象者を限定できた仕組みがなくなり、希望者全員を65歳まで雇用することがすべての企業に義務づけられています。厚生労働省の報告によると、65歳までの措置の内訳は継続雇用制度が67.4%、定年の引上げが28.7%、定年制の廃止が3.9%。そして70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は全体で34.8%ですが、内訳を見ると中小企業35.2%に対し大企業は29.5%この領域では中小のほうが先を行っています。制度への対応は進みました。残っているのは、再雇用した後の役割と処遇を作り直していないという問題です。

1.制度は整い、設計は置き去りになった

65歳までの雇用確保は、いまや義務です。数字を見ると、対応の主流は継続雇用制度(67.4%)――つまり定年はそのままに、再雇用で引き続き働いてもらう形です。定年そのものを引き上げた企業は28.7%にとどまります。

ここに落とし穴があります。継続雇用は、制度としては最も手をつけやすい。定年の年齢も就業規則の骨格も変えずに済むからです。その代わり、多くの会社で再雇用後の中身を設計しないまま運用が始まりました

典型的なのが、肩書きを外し、給与を一律で下げ、仕事は前と同じという形です。本人から見れば、責任と業務量はそのままで処遇だけが落ちる。会社から見れば、人件費は抑えられたが本人の意欲は下がっている。どちらも得をしていない状態が、静かに続きます。

仕事は前と同じ、処遇だけ下がる。どちらも得をしていない形が最も多い。

2.中小企業のほうが進んでいる、という事実の意味

70歳までの就業確保措置で中小35.2%が大企業29.5%を上回っているのは、意識が高いからではないでしょう。人が採れないからです。若手の採用が難しい中小企業にとって、経験のある人に長く働いてもらうことは選択肢ではなく前提になっています。

ただ、これは弱みではなく先行者としての立ち位置でもあります。大企業がこれから直面する課題を、中小はすでに実務として抱えている。役割と処遇の設計をきちんとやれば、そのまま採用競争力になります。60代前半で会社を移る人は増えており、『あそこは65歳を過ぎても仕事が任される』という評判は、地域では確実に伝わります

3.再雇用の中身を作り直す、四つの手

全員一律をやめ、三つの型から選ぶ
同じ再雇用でも、向く働き方は人によって違います。①現場で手を動かし続ける型 ②後進を育てる型 ③特定領域だけ担う短時間型。この3つを用意し、本人と面談して選ぶ。一律に下げるのではなく、型ごとに求める役割と処遇を先に決めておくのが要点です。ポイント:選択肢を3つ用意し、本人に選ばせる
『教える』を業務として時間に組み込む
後進育成を期待しながら、稼働は現場作業でいっぱい、という状態では何も起きません。週に何時間を指導に充てるかを勤務表に書く。そしてその時間は生産数の評価対象から外す。ここを曖昧にすると、教える仕事は必ず後回しになります。ポイント:指導時間を勤務表に明記し、生産評価から外す
処遇の根拠を、年齢ではなく役割で説明する
『65歳になったから』では納得は生まれません。担当範囲が変わったから、責任範囲が変わったからと説明できる形にする。逆に責任も業務も変わらないなら、下げる根拠がないということでもあります。説明できない減額は、本人だけでなく周囲の若手も見ていますポイント:減額の理由を、年齢以外の言葉で言えるか確認する
引き継ぐべき技能を、先に1枚に書き出す
『あの人がいるうちに』と言いながら、何を引き継ぐべきかを誰も書いていない会社がほとんどです。本人に、自分にしかできない作業を10個挙げてもらうところから始める。書き出した時点で、優先順位も期限も決められるようになります。ポイント:引き継ぎリストは、本人に書いてもらう

4.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。現場を持っている立場から言えるのは、ベテランの価値は作業量ではなく、判断の速さにあるということです。

同じトラブルでも、経験のある人は原因の当たりをつけるのが速い。見積の勘所、客先の癖、機械の異音。これらは手順書に書ききれない領域で、若手が5年かけて身につけるものを、その場で出せる。この価値を、現場作業の生産数だけで測ると必ず過小評価になります。

だから設計の要点は一つです。ベテランの時間を、作業ではなく判断と指導に寄せられているか。人が採れない前提が続く以上、65歳以降をどう設計するかは福利厚生ではなく、事業継続の話です。制度対応が済んだ会社ほど、次は中身に手を付けるべき段階に来ています。

60秒・無料診断

再雇用の方、いま何を担当していますか?

育成・定着・権限・関係性の4観点から、組織のどこに負荷が溜まっているかをレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。

▶ 組織体力診断をはじめる 無料で相談する

5.PACK は、役割と処遇の作り直しから伴走する

PACK(BEYOND PLAYBOOK)は、規程の改定を代行して終わりにはしません。BEYOND Holdings 自身が実業の当事者として、再雇用の型づくり → 指導時間の勤務表への組み込み → 役割で説明できる処遇の設計 → 技能引き継ぎリストの作成までを、貴社の人数と現場に合わせて組み立てます。狙うのは、長く働けることではなく、長く戦力であり続けることです。

まずは無料の組織体力診断で、いま組織のどこに負荷が溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に面談する一人を一緒に決めましょう。

※背景データは、労使協定により継続雇用制度の対象者を限定できる経過措置が2025年3月31日をもって終了し2025年4月1日以降は定年制の廃止・65歳までの定年引上げ・希望者全員の65歳までの継続雇用制度のいずれかの措置が必要となること、65歳までの高年齢者雇用確保措置の内訳が継続雇用制度67.4%・定年の引上げ28.7%・定年制の廃止3.9%であること、70歳までの就業確保措置を実施済みの企業が全体34.8%・中小企業35.2%・大企業29.5%であること=厚生労働省『高年齢者雇用状況等報告』(令和7年)を参照しました。本文中の進め方は、よくある状況をもとにした一般的な整理です。