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#定着・離職#数字・見える化#意思決定
Management Column · 2026.07.21

給料を上げたのに
辞めていく

2025年春闘は連合の最終集計で全体5.25%、300人未満の中小企業でも4.65%と、歴史的な賃上げになりました。多くの社長が無理をして原資を捻出した。それでも人は辞めていきます。「これだけ上げたのに、なぜ」——その答えは、給与の納得感が金額の大小ではなく『決まり方』で決まるという一点にあります。想定事例で、不満の正体をたどってみましょう。

1.想定事例 ── B社が上げたのに、エースが辞めた

従業員20名の建設関連B社(想定事例)は、賃上げの流れを受けて全社員の基本給を一律に引き上げました。社長としては精一杯の決断です。ところが数か月後、最も頼りにしていた中堅社員が退職を申し出た。理由を尋ねると、返ってきたのは意外な言葉でした。「上げてもらったのはありがたい。でも、あまり働いていないあの人と同じだけ上がったのが、どうしても納得できなくて」。

社長は頭を抱えます。頑張っている人を評価したくて上げたのに、その頑張っている人こそが去っていく。原資は減り、士気も下がり、何のための賃上げだったのか分からなくなった。金額は上げた。なのに納得感は、むしろ下がっていたのです。

2.何が起きていたか ── 不満は『金額』ではなく『決まり方』

B社の失敗は「上げ方をケチった」ことではありません。何を基準に、誰が、どう決めたのかを誰も説明できなかったことです。一律で上げるという判断そのものが、「頑張っても頑張らなくても同じ」というメッセージになってしまった。人が給与に感じる不満の多くは、実は絶対額ではなく「この決まり方はフェアか」という手続きへの不信から来ます。

逆に言えば、金額が同じでも「なぜその額なのか」が腹落ちしていれば、人は納得する。隣の人がなぜ自分より高いのか説明がつくなら、恨みは生まれません。納得感とは、金額のことではなく透明性のこと。ここを取り違えると、いくら原資を積んでも定着にはつながらないのです。

人が辞める理由は、金額ではない。決まり方が見えないことだ。

3.自社ならこう作る ── 納得感を生む三点

BEYONDは9社で多様な職種の人と向き合いますが、給与で徹底しているのは「金額の前に、決まり方を先に見せる」こと。完璧な評価制度など存在しませんが、決まり方が見えているかどうかで定着は大きく変わります。納得感を生む三点を挙げます。

『何をすれば上がるか』を先に示す
評価してから基準を後付けするのではなく、期の初めに『どこを見て、どうなれば上がるか』を先に伝える。基準が先にあると、結果に文句が出にくい。立派な等級表でなくていい、A4一枚の物差しで十分。問い:社員は『何を頑張れば給料が上がるか』を言えるか
全員に『同じ物差し』を当てる
納得感を最も壊すのは、社長の好き嫌いで決まっている(ように見える)こと。同じ基準を全員に、例外なく当てる。声の大きい人だけが得をする構造をなくすだけで、静かに頑張る人が報われ、離職の芽が消える。問い:昇給の理由を、本人以外にも同じ言葉で説明できるか
金額だけ渡さず『理由』を言葉で伝える
給与明細に数字だけ載せて終わりにしない。『ここが評価された、次はここを期待する』を一言添える。金額は同じでも、理由が語られた瞬間に納得感は跳ね上がる。手間はかかるが、これが最も安い定着策。問い:直近の昇給で、一人ひとりに理由を言葉で伝えたか

順番はこうです。①先に基準を示し、②全員に同じ物差しを当て、③金額に理由を添える。賃上げの原資を活かすも殺すも、決まり方の透明性しだい。同じ額を払っても、決まり方が見える会社では人が残り、見えない会社では人が去る。給与とは、金額を渡す行為ではなく納得を渡す行為なのです。

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4.PACK は、決まり方が見える給与を一緒に作る

PACK(BEYOND PLAYBOOK)は、他社の評価シートを渡して終わりにはしません。先に基準を示す → 全員に同じ物差しを当てる → 金額に理由を添えるまで、貴社の現場で回る納得感の仕組みを一緒に作ります。私たちは評論家ではなく、賃上げ時代に9社で人の定着に頭を悩ませ続けてきた実業集団。制度を導入するだけで終わらせず、社員が『この決まり方ならフェアだ』と腹落ちするところまで伴走できるのが武器です。

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