一つ目。平等を建前にすると、断る言葉がなくなります。全員の希望を尊重すると宣言した以上、通らなかった人に返せるのは『今回はあなたが我慢して』だけ。これは理由ではなく、お願いです。お願いを毎月されれば、誰でも疲れます。
二つ目。結果だけが見えて、基準が見えません。誰の希望が通ったかは、本人同士には筒抜けです。基準が示されないまま結果だけが並ぶと、人はそこに意図を読みます。説明がない差は、えこひいきとして解釈されます。悪意がなくても、そう見えます。
三つ目。声の大きい人が有利になります。ルールがないところでは、強く言った人の希望が通りやすい。平等を目指したはずの運用が、実際には言った者勝ちに化けます。そして言わない人ほど、黙って我慢を重ねます。
シフトは、有限の枠の配り方です。有限のものを配るときに必要なのは、平等の約束ではなく、優先順位のルールです。
たとえば、先に希望を出した人を優先する。前回我慢した人を優先する。通院や冠婚葬祭は最優先にする。繁忙日に出ている人を優先する。どれが正解ということはありません。業種によっても、店舗や現場の事情によっても変わります。
重要なのは、どれを採るかを決めて、希望を集める前に全員へ見せておくことです。ルールが先にあれば、断るのは人ではなくルールになります。シフトを組む人が悪者にならずに済む。これが、公開することの一番大きな効果です。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。現場を持っている以上、シフトは毎月やってきます。
やってみて分かったのは、シフトの不満は、待遇の不満より根が深いということでした。給与の話は年に一度ですが、シフトは毎月来ます。しかも生活の予定に直結する。小さな不公平感が、毎月積み上がる構造になっています。退職理由の一行目には出てきませんが、二行目には出てきます。
もう一つ、見落とされがちなのが作る側の消耗です。シフト表を組むのは、たいてい店長や現場責任者で、断る役も同じ人が引き受けています。ルールがなければ、その人の人格が矢面に立ちます。決め方を公開することは、実は作成者を守る施策でもあります。
そして、やめたほうがいい言い方が一つあります。『今月もなんとか調整しました』です。調整したのは個人の努力で、来月も同じ努力が必要になる。努力で回している限り、それは仕組みになりません。その人が辞めた月に、全部が崩れます。
最初の一歩は簡単です。来月のシフトを配るとき、優先順位の三行を一緒に配る。それだけで、来月の希望の出方が変わります。
採用・受け入れ・育成・定着の4観点から、人が根づかない原因をレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 組織体力診断をはじめる 無料で相談するPACK(BEYOND PLAYBOOK)は、人事制度を納品する立場ではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、優先順位の決定 → 希望の集め方の設計 → 断りの返し方 → 我慢の記録と反映までを、貴社の現場の回り方に合わせて一緒に整理します。狙うのは、作る人が悪者にならないシフトです。
まずは無料の組織体力診断で、人が根づかない原因がどこにあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、優先順位の三行を一緒に書きましょう。
※本記事はシフト運用に関する一般的な整理であり、労働時間・休日・割増賃金など労働基準法上の取扱いについて個別の助言を行うものではありません。シフト制における労働条件の明示や変更の手続は、就業規則および労働契約の内容によって異なります。実際の運用にあたっては社会保険労務士にご確認ください。本文中の手順は成果を保証するものではありません。