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#新規事業#意思決定#差別化
Management Column · 2026.08.19

一番安くて当たる市場調査は、
既存客への15分

新規事業を検討すると、まず市場データを買うか、アンケートを取るかという話になります。この時点で、中小企業はだいたい遠回りを始めています。
最も安く、最も精度が高い調査は、いまの取引先に15分だけ時間をもらうことです。ただし、ここには落とし穴があります。多くの会社が、その貴重な15分を『こんな商品があったら買いますか』という質問で使い切ってしまう。この聞き方をした瞬間、調査は判断材料としての価値を失います。理由は単純で、人は買わないものにも『いいですね』と答えるからです。

1.外部データが答えてくれないこと

市場規模、成長率、競合の数。買えば分かります。ただ、これらは『その市場が存在するか』を教えてくれるだけです。中小企業が判断に必要としているのは、そこではありません。

必要なのは、いま自社が持っている信用と設備と人で、その困りごとを解けるかどうかです。市場が1,000億円あっても、自社の客が誰も困っていなければ、入口がありません。逆に市場規模の統計に載らないほど小さくても、目の前の取引先10社が同じことで困っているなら、そこには確実に仕事があります。

外部データは、自社の位置を含んでいません。だから外部データだけで判断すると、いつも『やれそうだが、誰から始めればいいか分からない』で止まります。

市場があるかではなく、自社の客が困っているかを先に見る。

2.既存客が持っている情報の解像度

いまの取引先は、すでに自社にお金を払っている人たちです。この事実の重みは、想像以上に大きい。

アンケートの回答者は、答えても何も失いません。だから気軽に賛成します。一方で既存客は、自社の仕事の質を知った上で、実際に発注する判断を何度もしてきた相手です。その人が『それは助かる』と言うときの重みと、見知らぬ回答者の『あったらいいと思う』は、まったく別の情報です。

そしてもう一つ。既存客に聞くと、そのまま最初の顧客になる可能性がある。調査と営業が同時に進みます。調査費用がゼロどころか、マイナスになることさえあるのがこのやり方です。

3.聞き方を間違えると、判断を誤らせる

ただし、聞き方次第で結果は正反対になります。避けるべきは未来と意向を聞く質問です。

『こんなサービスがあったら使いますか』『月いくらなら払いますか』。この二つは、ほぼ確実に判断を誤らせます。相手は本気で嘘をつくつもりはありません。ただ、まだ存在しないものについての予測が、人はもともと苦手なだけです。しかも目の前にいるのは取引のある相手なので、否定しづらい。

聞くべきは過去と現在の事実です。いま何をしているか、誰がやっているか、いくらかかっているか、最後に困ったのはいつか。事実は予測より正確で、しかも本人がすでに知っています

4.15分で終わる、四つの質問

いま、それはどうやって済ませていますか
困りごとには、必ず現在の解決策があります。自社でやっている、他社に頼んでいる、諦めている。この答えが『諦めている』なら要注意で、我慢できる程度の不便だという意味かもしれません。誰かに金を払って解決しているなら、そこには既に市場がありますポイント:代替手段があるかどうかが、最初の分岐
それに月いくら、誰の時間がかかっていますか
金額と担当者名が出てくるかを見ます。『うちの田中が月に3日ほど』と即答できるなら、コストとして認識されているということ。金額も担当も出てこないなら、社内で問題として扱われていないので、提案しても予算が付きません。ポイント:答えられない支出には、予算も付かない
最後にそれで困ったのは、いつですか
頻度を意向ではなく過去の事実で測ります。『先週も』なら日常的な痛みで、事業になります。『去年の決算のとき』なら年1回で、単価は取れても継続しません。頻度は、そのまま事業モデルの形を決めますポイント:頻度は感想でなく、直近の実例で聞く
もし来月から使えるとしたら、誰が決裁しますか
『買いますか』の代わりに決裁者と手順を聞きます。相手が本気なら、社内の稟議や予算の時期がすらすら出てきます。話が急に曖昧になるなら、その困りごとは優先順位が低いということ。買う意思より、買う経路のほうが正直です。ポイント:買うかではなく、どう買うかを聞く

5.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。新規事業の検討では、自分たちも同じ間違いをしてきました。資料を作り込み、数字を並べ、社内で議論を重ねて、客に一度も聞かないまま始めたことがあります。

逆に、うまくいった案件に共通していたのは、驚くほど地味な入口でした。既存の取引先に『最近、何がいちばん面倒ですか』と聞いただけ。しかもその答えは、たいてい自社が想定していた困りごとと違いました。想定と違うと分かった時点で、その調査は成功しています。作らずに済んだからです。

そして15分の聞き取りには、もう一つの効き目があります。相手が『うちのことを考えてくれている』と受け取ることです。新規事業が形にならなかったとしても、既存の関係は確実に濃くなる。外れても損をしない調査は、これしかありません。調査会社に依頼するのは、社内の客で確かめ切ったあとで十分です。

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6.SEED は、聞く相手と質問から一緒に決める

SEED(BEYOND PLAYBOOK)は、市場レポートを納品する立場ではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、聞く相手の選定 → 質問設計 → 回答の読み方 → 事業として成立するかの判定までを、貴社の顧客基盤に合わせて一緒に進めます。狙うのは、作る前に外れが分かることです。

まずは無料の新規事業の種・診断で、次の一手が自社の地続きにあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に聞く3社を一緒に決めましょう。

※本文中の質問設計と手順は、BEYOND Holdings が複数の実業を運営する中で用いている一般的な整理です。事業や業種により有効性は異なり、成果を保証するものではありません。既存取引先へのヒアリングにあたっては、目的の説明と情報の取り扱いに配慮してください。