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#新規事業#意思決定#集客・新規
Management Column · 2026.09.12

BtoC-EC 26.1兆円、BtoB-EC 514.4兆円|BtoBの会社がBtoCを始めるとき

経済産業省が2025年8月に公表した令和6年度 電子商取引に関する市場調査によると、2024年のBtoC-EC市場は26.1兆円で前年比5.1%増。一方、BtoB-EC市場は514.4兆円で前年比10.6%増でした。
桁が二つ違います。BtoCのほうが大きく見えるのは、日常で目に触れる機会が多いからです。
それでもBtoCに出る理由はあります。ただし、いまの商売から持ち込めない前提が多すぎることは、先に知っておく必要があります。

1.見えている市場と、実際に取引している市場

まず数字の読み方から。BtoC-ECとBtoB-ECは集計の対象範囲が違うので、単純な大小比較には限界があります。それでも、いま自社が取引している企業間の市場が、消費者向けより桁違いに大きいことは変わりません。BtoC-ECの物販系分野のEC化率は9.8%で、消費者向けの商取引でさえ大半はまだ店頭です。

そのうえで、BtoBの会社がBtoCに惹かれる理由は、どれも本物です。単価を自分で決められる。値引き圧力の連鎖から離れられる。使った人の反応が直接返ってくる。自社の名前が残る。下請けの構造に長くいる会社ほど、この四つは切実です。

だから止める話ではありません。ただし『伸びている市場に出る』という理由だけでは弱い。数字を見れば、伸び率も規模もBtoB側のほうが大きいからです。出る理由は、市場規模ではなく自社の事情の側にあります。

2.持ち込めない、四つの前提

①販路。BtoBは既存の商流に乗せれば届きます。BtoCは自分で集客する。ここが最大の違いであり、最大のコストです。商品ができた時点で、まだ半分も終わっていません。

②単価と数量。BtoBは1件が大きく件数が少ない。BtoCはその逆です。1件あたりの処理にかかる手間が同じなら、件数が増える分だけ管理業務が膨らみます

③回収。BtoBは掛け売り、BtoCは前払いが基本なので、資金繰りはむしろ有利です。ただし返品・キャンセル・問い合わせ対応という、BtoBにはなかったコストが乗ります

④相手の決め方。BtoBは仕様と条件で買います。BtoCは印象と納得で買う。同じ説明資料は使えません。カタログの文章をそのまま載せても、消費者には何も伝わりません。

BtoCは新しい市場ではない。別の筋肉を使う商売

3.始め方の、四つの手順

最初の商品は、開発せずに選ぶ
新しい商品を開発してから出ると、うまくいかなかったときに原因が商品なのか販路なのか分かりません。まず、いまある設備と在庫で作れるものから一つ選んで出す。販路の学習を先にやるのが目的です。商品開発は、売り方が分かってからで間に合います。ポイント:最初の商品は、開発せずに選ぶ
売る前に、答える体制を決める
BtoCは問い合わせの件数が桁違いに増えます。誰が、何時から何時まで、どの手段で答えるのかを決めずに始めると、既存業務の側が先に壊れます。返信が遅れれば評価にも響く。売り始める前に、答える人と時間を決めてくださいポイント:売る前に、答える体制を決める
既存の商流と衝突する線を、先に相手に伝える
自社が直接売ることで、卸先や代理店と競合する場合があります。価格帯・商品・地域のどれかで線を引き、始める前に取引先へ伝える。黙って始めて後から知られるのが、最も関係を損ないます。先に言えば条件交渉になりますが、後から知られると裏切りになりますポイント:既存の商流と衝突する線は、先に相手へ伝える
撤退の条件を、金額と期間で先に書く
『18か月で月商○万円に届かなければ止める』。BtoCは少しずつ売れるので、止め時が分からなくなります。少しずつ売れている状態が一番やめにくい。少しずつ売れる商売ほど、始める前に止め時を決めておく必要がありますポイント:少しずつ売れる商売ほど、止め時を先に決める

4.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。企業向けの商売も、消費者向けの商売も中にあります。

BtoCに出た会社で一番多い誤算は、売れないことではなく、売れた後の手間でした。10件売れた翌週に、梱包と発送と問い合わせで現場が止まる。売上が小さいうちに手間で音を上げる——これが典型的な失敗の形です。

そして、やってみて分かった本当の価値は、売上ではありませんでした。使っている人の声が直接返ってくることです。BtoBでは商社や元請けを経由するため、最終的に誰がどう使っているかが見えません。その情報は、本業の商品改良にそのまま効きます

だから位置づけを変えることを勧めます。BtoCを『第二の柱』ではなく『本業の研究開発の場』として始める。この置き方にすると、判断がかなり楽になります。売上規模で評価しなくて済むからです。

注意点も一つ。BtoCの数字を、BtoBと同じ基準で評価しないでください。初年度の売上は、BtoBの1件に負けます。そこで撤退すると、一番価値のある情報を手に入れる前に終わります

最初の一歩は、いま作っているもので、そのまま消費者に売れるものを一つ選ぶことです。開発はしない。選ぶだけです。

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5.SEED は、前提の整理から一緒に立つ

SEED(BEYOND PLAYBOOK)は、新規事業のアイデアを出して終わりではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、持ち込めない前提の棚卸し → 最初の商品の選定 → 問い合わせ体制の設計 → 既存商流との線引きと撤退条件の設定までを、貴社の商品に合わせて一緒に進めます。狙うのは、本業を壊さずに外の反応を取りにいく形です。

まずは無料の新規事業の種・診断で、いまの取り組みが自社の地続きにあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に出す一品を一緒に選びましょう。

※データに関する記述は、経済産業省が2025年8月26日に公表した令和6年度電子商取引に関する市場調査において、2024年の日本国内のBtoC-EC市場規模が26.1兆円(前年比5.1%増)、BtoB-EC市場規模が514.4兆円(前年比10.6%増)であり、BtoC-ECの物販系分野のEC化率が9.8%であったことを参照しました。BtoC-ECとBtoB-ECは集計の対象範囲が異なるため、規模の単純比較には限界があります。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。既存の販路との取引条件の変更や、消費者向けの表示については、下請代金支払遅延等防止法・景品表示法・特定商取引法など関係法令に留意し、専門家にご確認ください。