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#新規事業#意思決定#売上アップ
Management Column · 2026.08.28

共食いを恐れて止めた新規事業を、
2年後に他社がやっていた(想定事例)

既存商品と食い合うから
この理由で新規事業を止めた経験は、多くの会社にあると思います。社内では慎重で賢明な判断に見える。ところが振り返ると、共食いの金額を誰も計算していなかったということが少なくありません。感覚で議論して、感覚で止めている。
そして数年後、同じことを他社が始めます。結局は食われる。違いは一点だけです。自社で食えば売上は社内に残り、他社に食われれば全部が外に出ていきます。以下は想定事例です。

1.【before】いちばん強い反対が、営業部から出た

従業員48名の業務用食材の卸会社。若手が提案したのは、小口の飲食店向けに、少量からの定期配送を始めるという企画でした。既存は月に一度のまとめ配送で、最低ロットも大きい。

役員会で、最も強く反対したのは営業部長でした。理由は明快です。『いまの取引先が、そっちに流れる』。既存客が小口プランに切り替えれば、単価は下がり、配送回数は増える。手間が増えて売上が減るという指摘でした。

誰も反論できませんでした。企画は保留になり、そのまま消えました。

誰も反論できなかったのは、誰も金額を出していなかったから。

2.2年後、同じことを他社がやっていた

2年後、地域の同業他社が、ほぼ同じ形の小口定期配送を始めました。想定どおり、既存客の一部がそちらへ移りました。

ここで社長が気づいたのは、共食いは避けられたのではなく、他社に譲っただけだったということです。しかも移った客は戻ってきません。他社との取引が始まれば、まとめ配送の分まで少しずつ持っていかれます。

自社でやっていれば、単価が下がっても売上は社内に残っていました。他社に取られた場合、残るのはゼロです。この差は、当時の役員会では一度も議論されませんでした。

3.共食いの計算で、見落とされていた三つ

後から検証すると、当時の議論には三つの見落としがありました。

一つ目、移る客の数を誰も見積もっていない。『流れる』と言われただけで、何社が、売上のいくら分が移るのかは出ていませんでした。実際に試算すると、小口プランに合う既存客は全体の2割程度で、その多くはもともと取引額の小さい先でした。

二つ目、新しく増える客が計算に入っていない。共食いの議論は既存客だけを見ますが、小口だから取引できる新規客がいます。差し引きで見なければ、判断材料になりません。

三つ目、やらなかった場合の損失がゼロとして扱われていた。止めれば現状維持だと考えがちですが、他社がやれば現状は維持されません。比べるべきは『やる場合』と『やらない場合』ではなく、『自社でやる場合』と『他社がやる場合』です。

4.進めるか止めるかを決める、四つ

食い合う範囲を、金額で出してから議論する
『流れる』という言葉で議論を止めない。該当しそうな既存客をリストにして、移った場合の減少額を出す。多くの場合、感覚で語られていた規模より小さい。数字が出た時点で、議論は感情から判断に変わりますポイント:金額が出ていない反対は、反対理由ではない
自社が取らなければ誰も取らないのか、を確認する
参入障壁が高く、誰にもできない領域なら、急ぐ必要はありません。逆に、他社でも数年でできることなら、共食いは時間の問題です。ここを見極めるだけで、判断はかなり明確になります。自社だけができることは、実際にはそう多くありませんポイント:誰でもできることなら、先にやったほうがいい
既存の担当者に、新規を担がせない
既存客を持っている営業に新プランを任せると、自分の数字が減る動きは進みません。責める話ではなく、構造の問題です。担当と評価を分ける。小さくても別の枠で立ち上げるほうが、結果的に早い。ポイント:自分の売上を削る仕事は、誰も本気でやれない
撤退期限ではなく、移行の期限を決める
共食いを前提にするなら、いつまでに主力を移すのかを先に決めておく。既存と新規を両方守ろうとすると、資源が分散して両方が中途半端になります。3年後にどちらを主力にするかを決めてから始めると、途中の判断が揺れません。ポイント:両方守ろうとすると、両方が弱くなる

5.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。既存事業と新規事業が食い合う場面には、実際に何度も直面してきました。

その経験で言えるのは、共食いを理由にした反対は、たいてい正しく、そして遅いということです。指摘そのものは事実に基づいている。既存客は確かに流れます。ただ、その指摘は『だからやらない』の理由にはなっても、『だから他社もやらない』の保証にはなりません

そしてもう一つ。共食いを恐れる会社ほど、既存事業の利益率が高いという傾向があります。守るものが大きいので、慎重になるのは自然です。ところが利益率の高い事業は、外から見ても魅力的に映ります。守りたい事業ほど、狙われている

だから判断の順番はこうなります。まず金額を出す。次に、他社でもできるかを見る。できるなら、自分で食う。痛みは同じでも、売上が社内に残るかどうかが違います。共食いは避けるものではなく、誰がやるかを決めるものだと考えたほうが、実務に合っています。

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6.SEED は、金額を出すところから一緒に立つ

SEED(BEYOND PLAYBOOK)は、新規事業を勧める立場でも止める立場でもありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、食い合う範囲の試算 → 新規で増える分の見積り → 担当と評価の切り分け → 移行期限の設定までを、貴社の顧客構成に合わせて一緒に整理します。狙うのは、感覚ではなく金額で決められる状態です。

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※本文中の会社・人物・数値は、よくある状況をもとに構成した想定事例です。特定の企業を指すものではありません。手順は、BEYOND Holdings が複数の実業を運営する中で用いている一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。