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#新規事業#意思決定#定着・離職
Management Column · 2026.08.31

撤退を決めてから、
半年かかった(想定事例)

撤退の判断そのものより、決めた後のほうが難しい
やめると決めた瞬間に、社内の空気は変わります。担当していた社員は自分の立場を考え始め、取引先は噂で知り、在庫は誰も引き取り手を探さないまま残る。決めたのに何も進まない期間が生まれます。
畳むには順番があります。顧客、取引先、在庫、人。最も急ぐのは顧客への連絡で、最も時間をかけるべきは人の配置です。以下は想定事例です。

1.【before】決めたのに、3か月何も動かなかった

従業員35名の内装資材卸。3年前に立ち上げた小売部門を、社長が撤退と決断しました。累計の赤字は想定の範囲でしたが、本業の利益を毎年削っている状態でした。

役員会で決定し、社長は担当役員に『年内に整理してほしい』と伝えました。ここまでは早かった。

ところが3か月後、状況はほとんど変わっていませんでした。店は開いており、在庫も減っていない。担当役員に聞くと、答えは『どこから手を付ければいいのか』でした。誰も、事業を閉じた経験がなかったのです。

立ち上げ方は本に書いてある。畳み方は、どこにも書いていない

2.順番を間違えると、三つが同時に壊れる

この会社が最初にやろうとしたのは、在庫の処分でした。目に見えて金額が大きいからです。ところがこれが混乱の原因になりました。

在庫を安売りし始めると、顧客は察します。しかも正式な案内がないので、噂として広がる。『あそこ、やめるらしい』が、まだ営業している状態で流れる。信用を落としながら、値崩れした在庫を売るという最悪の形になりました。

同時に、担当社員が動揺しました。自分の仕事がなくなることは分かっても、次にどうなるかを誰も言ってくれない。優秀な社員から転職の相談が出始めます。

そして取引先。仕入先には契約や約束があります。年間の取引を前提にした条件で仕入れていた場合、一方的に止めると条件そのものが問題になる。本業でも取引がある相手なら、影響は本業に及びます。

3.畳む順番と、四つの手

顧客への連絡を、いちばん先にやる
終了日を決め、正式な案内を出す。噂で知られる前に自分から伝えるのが鉄則です。代替の入手先を案内できると、関係は壊れません。むしろ最後まで面倒を見た会社として記憶されます。本業でも取引がある顧客なら、なおさら先に伝える。ポイント:噂で知られる前に、自分から終了日を伝える
取引先とは、契約書を見てから話す
感情ではなく条件の話です。年間契約、最低取引量、専用在庫、賃貸借。何が残っているかを先に確認する。解約の条件を知らないまま切り出すと、不利な形で決まります。本業への影響が出そうな相手は、社長が自分で話しに行く。ポイント:切り出す前に、契約書で条件を確認する
在庫は、顧客への案内が済んでから動かす
順番の話です。終了を正式に伝えた後なら、在庫の処分は自然な流れとして受け取られます。値引きの意味も変わる。先に安売りを始めると、信用と在庫を同時に失います。処分先は、仕入先への返品、同業への譲渡、最終手段として値引き販売の順で当たる。ポイント:案内が先、処分が後。逆にすると両方失う
人の配置は、いちばん早く伝えていちばん時間をかける
撤退を決めた日に、担当社員には次の配置の方針を伝える。詳細は決まっていなくても『あなたの仕事は社内にある』と言い切る。言われないまま数か月置かれた社員は、まず辞めます。実際の配置は本人と話しながら数か月かけていい。伝えるのは即日、決めるのはゆっくり。ポイント:配置は即日伝え、中身はゆっくり決める

4.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。畳んだ事業もあります。

その経験で言えるのは、撤退の巧拙は、次の新規事業の成否に直結するということです。理由は二つあります。一つ目、社内の空気。畳み方が雑だと、社員は『新規事業は結局こうなる』と学習します。次に手を挙げる人がいなくなる。二つ目、取引先の記憶。最後まで筋を通した会社には、次の事業でも話を聞いてもらえます。

だから、撤退にはきちんと時間と手間をかける価値があります。閉じる作業を、負けの後始末だと思わないこと。ここまで含めて事業の一部です。

そしてもう一つ、必ずやるべきことがあります。閉じ終わった後に、記録を残す。何を見誤ったのか、いつ気づけたはずだったのか、いくらかかったのか。数枚で構いません。この記録があると、次の企画の議論の質が変わります。記録がなければ、数年後に同じ失敗を、別の名前で繰り返します。

冒頭の会社は、順番を組み直してそこから3か月で閉じ終えました。担当社員は全員が社内に残り、うち一人は本業の新しい販路開拓を担当しています。小売で得た知見が、そこで効いているそうです。

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5.SEED は、畳む順番から一緒に立つ

SEED(BEYOND PLAYBOOK)は、新規事業を立ち上げるだけの立場ではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、終了日の設定 → 顧客への案内 → 契約条件の確認 → 在庫と人の道筋づけ → 記録の作成までを、貴社の状況に合わせて一緒に進めます。狙うのは、次の一手が出しやすくなる終わり方です。

まずは無料の新規事業の種・診断で、いまの取り組みが自社の地続きにあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、続けるか畳むかを一緒に整理しましょう。

※本文中の会社・人物・数値は、よくある状況をもとに構成した想定事例です。特定の企業を指すものではありません。契約解除・在庫処分・雇用に関する取扱いは契約内容および法令により異なります。実際の対応にあたっては弁護士・社会保険労務士・顧問税理士にご確認ください。