従業員35名の内装資材卸。3年前に立ち上げた小売部門を、社長が撤退と決断しました。累計の赤字は想定の範囲でしたが、本業の利益を毎年削っている状態でした。
役員会で決定し、社長は担当役員に『年内に整理してほしい』と伝えました。ここまでは早かった。
ところが3か月後、状況はほとんど変わっていませんでした。店は開いており、在庫も減っていない。担当役員に聞くと、答えは『どこから手を付ければいいのか』でした。誰も、事業を閉じた経験がなかったのです。
この会社が最初にやろうとしたのは、在庫の処分でした。目に見えて金額が大きいからです。ところがこれが混乱の原因になりました。
在庫を安売りし始めると、顧客は察します。しかも正式な案内がないので、噂として広がる。『あそこ、やめるらしい』が、まだ営業している状態で流れる。信用を落としながら、値崩れした在庫を売るという最悪の形になりました。
同時に、担当社員が動揺しました。自分の仕事がなくなることは分かっても、次にどうなるかを誰も言ってくれない。優秀な社員から転職の相談が出始めます。
そして取引先。仕入先には契約や約束があります。年間の取引を前提にした条件で仕入れていた場合、一方的に止めると条件そのものが問題になる。本業でも取引がある相手なら、影響は本業に及びます。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。畳んだ事業もあります。
その経験で言えるのは、撤退の巧拙は、次の新規事業の成否に直結するということです。理由は二つあります。一つ目、社内の空気。畳み方が雑だと、社員は『新規事業は結局こうなる』と学習します。次に手を挙げる人がいなくなる。二つ目、取引先の記憶。最後まで筋を通した会社には、次の事業でも話を聞いてもらえます。
だから、撤退にはきちんと時間と手間をかける価値があります。閉じる作業を、負けの後始末だと思わないこと。ここまで含めて事業の一部です。
そしてもう一つ、必ずやるべきことがあります。閉じ終わった後に、記録を残す。何を見誤ったのか、いつ気づけたはずだったのか、いくらかかったのか。数枚で構いません。この記録があると、次の企画の議論の質が変わります。記録がなければ、数年後に同じ失敗を、別の名前で繰り返します。
冒頭の会社は、順番を組み直してそこから3か月で閉じ終えました。担当社員は全員が社内に残り、うち一人は本業の新しい販路開拓を担当しています。小売で得た知見が、そこで効いているそうです。
既存資産・市場性・体力・撤退基準の4観点から、次の一手が自社の地続きにあるかをレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 新規事業の種・診断をはじめる 無料で相談するSEED(BEYOND PLAYBOOK)は、新規事業を立ち上げるだけの立場ではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、終了日の設定 → 顧客への案内 → 契約条件の確認 → 在庫と人の道筋づけ → 記録の作成までを、貴社の状況に合わせて一緒に進めます。狙うのは、次の一手が出しやすくなる終わり方です。
まずは無料の新規事業の種・診断で、いまの取り組みが自社の地続きにあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、続けるか畳むかを一緒に整理しましょう。
※本文中の会社・人物・数値は、よくある状況をもとに構成した想定事例です。特定の企業を指すものではありません。契約解除・在庫処分・雇用に関する取扱いは契約内容および法令により異なります。実際の対応にあたっては弁護士・社会保険労務士・顧問税理士にご確認ください。