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#新規事業#意思決定#人手不足
Management Column · 2026.08.07

人が採れないから新規事業を諦めた会社が、
棚卸しで見つけた4つの資産(想定事例)

新規事業を考えたものの、人が採れないからという理由で止まる。中小企業でいちばん多い止まり方です。国もそこは見ていて、中小企業省力化投資補助金は人手不足に悩む中小企業の省力化設備の導入を支援しています。補助率は原則2分の1、賃上げ要件を満たせば3分の2、補助上限は従業員規模に応じて上がる仕組みです。ただし、これは買うための制度です。すでに持っているものを数える制度ではありません。そして多くの会社は、諦める前に自社の資産を数え切っていない。以下は想定事例です。

1.【before】人を2名採れたら始める、と3年言い続けた

従業員22名の内装工事会社。数年前から「元請けからの下請だけでは危ない」と感じていて、一般消費者向けのリフォーム事業を構想していました。社長の計画は明快です。営業1名と職人1名を採用できたら始める

ところが3年、採れませんでした。求人を出しても応募が来ない。来ても条件が折り合わない。そのあいだに元請けからの単価は据え置かれ、危機感だけが増していきます。社長の結論は「うちには新規事業をやる体力がない」でした。

この判断は一見まっとうに見えます。ただ、前提が一つ抜けていました。新しい人と新しい設備がないと始められない、と決めていたのは社長自身だということです。

諦める理由は人と金。でもその前に、持っているものを数え切った会社は驚くほど少ない。

2.『資産』を、決算書の外側で数え直す

棚卸しと聞くと在庫や固定資産を思い浮かべますが、新規事業の元手になるのは貸借対照表に載らないもののほうです。数え方を知らないから、持っていることに気づけない。

この会社が半日かけて書き出したのは、次の4分類でした。特別な手法は使っていません。紙とペンで、思い出せるだけ全部書く。それだけです。

3.【turn】4分類で棚卸ししたら、出てきたもの

顧客リスト ── 過去に取引した『個人』の名前
元請け経由とはいえ、施主と直接やり取りした案件が10年で数百件ありました。工事後に個別で相談を受けたことも何度もある。新規客をゼロから集める必要はなく、すでに顔を知っている人が数百人いた。名簿として整理されていなかっただけです。ポイント:取引先ではなく、顔と名前が一致する個人を数える
設備と場所の『空き時間』
資産は台数ではなく稼働率で数えます。この会社の高所作業車は繁忙期以外は月の半分眠っていたし、倉庫の一角も常時空いていた。買い足すのではなく、空いている時間帯に別の用途を乗せる。ここに気づくと、初期投資はほぼゼロになります。ポイント:持ち物は台数ではなく、空いている時間で数える
許認可と資格 ── 取り直すと時間がかかるもの
建設業許可、有資格者の免許、保険や労災の体制。新規参入者がこれを揃えるには年単位の時間がかかります。すでに持っている許認可は、他社にとっての参入障壁そのもの。個人向けリフォームでも、許可を持つ会社であることは強い安心材料になります。ポイント:取得に時間がかかるものほど、資産価値が高い
人脈と取引口座 ── 電話一本でつながる相手
材料商社との掛け取引、他業種の職人仲間、地域の工務店。新規事業で最初に必要になるのは、たいてい人ではなく協力者です。社員を採用せずとも、繁忙期だけ手伝ってくれる同業や、紹介を回してくれる関係先が名簿に並びました。ポイント:採用の前に、外注と紹介でまかなえる範囲を数える

4.学び ── 始められなかったのは、資源ではなく順番の問題だった

この会社が実際に踏み出したのは、大がかりな新規事業ではありません。過去の施主に案内を1通出し、空いている高所作業車の時間で小規模な修繕を受ける。採用はゼロ、設備投資もゼロです。反応があった数件から始めて、手応えを見てから人の話を考える形にしました。

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。自分たちの経験でも、新規事業でいちばん多い失敗は、資源が足りないことではなく、最初から完成形で始めようとすることでした。人を採り、設備を入れ、体制を整えてから開始する。この順番だと、始まる前に体力が尽きます。

補助金は有効な制度ですし、必要な場面では使うべきです。ただし買う判断は、数え終わった後にするほうが確実に精度が上がります。何が足りないかは、何を持っているかを知らないと決められないからです。まずは半日、紙に書き出すところから始めてみてください。

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5.SEED は、資産の数え方から一緒に立つ

SEED(BEYOND PLAYBOOK)は、流行りの事業アイデアを提案して終わりにはしません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、4分類での資産の棚卸し → 空き時間と稼働率の把握 → 採用せずに始められる範囲の設計 → 小さく試して広げる順番づくりまでを、貴社の体力に合わせて一緒に進めます。

まずは無料の新規事業の種・診断で、次の一手が自社の地続きにあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に数える一つの資産を一緒に選びましょう。

※背景データは、中小企業省力化投資補助金が人手不足の状態にある中小企業等の省力化設備の導入を支援する制度であり、中小企業の補助率が原則2分の1・賃上げ要件を満たす場合は3分の2、小規模事業者等は3分の2、補助上限額が従業員規模に応じて変わること=独立行政法人中小企業基盤整備機構の同補助金公式サイトの公表内容を参照しました。本文中の会社・数字は、よくある状況をもとに構成した想定事例です。