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#新規事業#人材育成#意思決定
Management Column · 2026.08.22

社内公募の2年目に、
応募がゼロになった(想定事例)

新規事業のアイデアを社内から募る。制度としては前向きで、社員の目線も上がりそうに見えます。
ところが実際には、いちばん多い失敗が出させて終わりにすることです。1年目に十数件集まった会社が、2年目にはゼロになる。しかも制度を始める前より、社内の空気が悪くなっていることすらあります。
原因は社員のやる気ではありません。出した後に何が起きるかを設計していなかっただけです。以下は想定事例です。

1.【before】1年目は12件、2年目はゼロ

従業員60名の住宅設備工事会社。本業は堅調でしたが、社長は10年後を見て第二の柱を探していました。そこで新規事業アイデアの社内公募を始めます。応募用紙はA4一枚。全社集会で社長が自ら呼びかけました。

1年目は12件集まりました。若手からも出て、社内は明らかに活気づいた。役員会で審査し、そのうち1件を採用と決めます。

翌年、同じ形で募集をかけました。応募はゼロ件でした。社長は驚き、部長に理由を聞きます。返ってきた答えは短いものでした。『去年出した人が、その後どうなったか見ていますから』

応募が止まったのは意欲ではなく、去年の扱われ方を全員が見ていたから。

2.何が起きていたのか

あらためて追うと、三つのことが起きていました。

落選した11人に、何も返っていなかった。役員会で議論はしたものの、伝えたのは採用1件の発表だけ。残りの11人は、読まれたのかどうかすら分かりません。提案は、無視されたのと同じ形で終わりました

採用された1件も、動いていなかった。提案者は通常業務を持ったままで、時間も予算も与えられていない。『いいアイデアだから進めてくれ』と言われただけです。半年経っても着手できず、本人は社内で言い出したのに何もしていない人のような立場になっていました。

提出のハードルが高すぎた。用紙はA4一枚でしたが、記入欄には市場規模、収支見込み、必要人員。思いつきの段階では書けない項目ばかりで、書ける人は数字を作文するしかありませんでした。

3.審査の設計より、その後の設計が先

この会社が最初に整えたのは審査基準でした。順番が逆です。公募制度の成否は、審査の精度ではなく、出した人がその後どう扱われるかで決まります

社員が見ているのは、自分のアイデアが通るかどうかだけではありません。提案した人が得をしたか、損をしたかです。ここで損をした前例が一つできると、翌年から誰も手を挙げません。逆に、落選しても丁寧に返された前例があれば、応募は続きます。

4.続く公募にする、四つの設計

募集の前に、通ったら何が渡されるかを書いておく
『採用されたら検討します』では誰も本気になりません。週に何時間を業務として使えるのか、初期にいくらまで使えるのか、誰が上司になるのかを、募集要項に先に書く。渡せる資源がないなら、制度を始めないほうがまだ健全ですポイント:先に書けない資源は、実際には渡されない
落選理由を、必ず本人に返す
全員分の短い返答を用意します。どこは良かったか、何が足りなかったか、次はどう出せばいいか。3行で構いません。返せる体制がないなら、応募数を絞る設計にする。返さない審査は、次回の応募を確実に殺します。ポイント:返せない件数を、集めてはいけない
一次通過は『調べる権利』にする
いきなり事業計画を求めるから、思いつきの段階の芽が全部落ちます。一次を通ったら、業務時間内で調べていい権利を与える。既存客に聞く、他社を見に行く、試作する。調べた結果を持って二次に進む形にすると、提案の質が一段上がりますポイント:最初に求めるのは計画ではなく、確かめる意欲
年1回の締切ではなく、随時受付にする
アイデアは年度末に思いつくわけではありません。いつでも出せて、月に一度まとめて見る形にする。年1回にすると、思いついた時期と締切のずれで多くが消えます。随時受付は、運用側の負担も実は軽くなります。一度に12件読むより、月に1件のほうが返せる。ポイント:締切を作るより、いつでも受け取るほうが続く

5.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。連合の中でも、手を挙げた人に何を渡すかという議論は何度もしてきました。

実感として言えるのは、公募制度の本当の成果は、事業が生まれることではないということです。十数件のアイデアから事業になるのは、現実にはごく一部。それでも制度に意味があるのは、社員が自社の外側を見て考える機会そのものにあります。

だからこそ、落選の扱いが決定的に効きます。丁寧に返された人は、翌年また考えます。考える人が社内に増えることが成果であって、採用件数ではない。ここを取り違えると、審査を厳しくして応募を減らすという逆の運用に向かいます。

そしてもう一つ。社長が最初の年に自分の案を出さないほうがいい。社長案が並ぶと、社員は忖度した案を出します。手を挙げる制度なのに、上を見て書くことになる。社長の役割は、出しやすくすることと、出した人が損をしないようにすることです。それだけで十分に重い仕事です。

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6.SEED は、制度の設計から一緒に立つ

SEED(BEYOND PLAYBOOK)は、制度の雛形を渡して終わりではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、渡せる資源の整理 → 募集要項づくり → 返し方の型 → 一次通過後の伴走設計までを、貴社の規模に合わせて一緒に組み立てます。狙うのは、3年続く公募です。

まずは無料の新規事業の種・診断で、次の一手が自社の地続きにあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初の募集要項を一緒に書きましょう。

※本文中の会社・人物・件数は、よくある状況をもとに構成した想定事例です。特定の企業を指すものではありません。手順は、BEYOND Holdings が複数の実業を運営する中で用いている一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。