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#新規事業#人手不足#意思決定
Management Column · 2026.09.24

求人倍率が下がっても、
その領域の人は採れない

厚生労働省が2026年8月28日に公表した統計では、2026年7月の有効求人倍率は季節調整値で1.18倍。新規求人倍率は2.10倍でした。
数字の上では、採りやすくなったように見えます。
ところが新規事業に必要なのは人数ではなく、その領域を知っている一人です。そこは倍率では埋まりません。

1. 全体の倍率と、自社が欲しい人は別の話

統計が示すのは、公共職業安定所における求人と求職の全体的な需給です。自社が新規事業で必要とする職種の需給とは、まったく別の数字です。

新規事業で最初に必要になる人は、たいてい次のどれかです。その業界の商流を知っている人、必要な資格を持つ人、既存顧客とは違う相手に売った経験がある人。いずれも母数が小さく、しかも現職で活躍しています。

そして中小企業が不利なのは、採用の条件を提示する段階で、その事業がまだ存在しないことです。何をやるか固まっていない仕事に、専門性のある人は動きません。

01事業が固まる前の採用は、条件を書けない
求人票には仕事の中身を書きます。立ち上げ前はその中身が固まっていないので、応募する側は判断できません。ポイント:決まっていない仕事には、決まっている人は来ない

2. 採用から入ると、何が起きるか

よくある順番は、人を採ってから事業を考えるです。これで起きることが三つあります。

一つ目、固定費が先に立ちます。売上ゼロの期間に人件費だけが走る。焦りが生まれ、検証すべき仮説を飛ばして急ぎます

二つ目、撤退しにくくなります。その人のために事業を続ける判断が混ざり込む。撤退基準を決めていても、人がいると発動させにくい

三つ目、採った人が孤立します。社内に同じ領域を分かる人がいないので、相談相手がいない。評価もできません。何をもって良い仕事かを、誰も判断できないからです。

3. 立ち上げ期に組む、三つの形

組むといっても資本提携の話ではありません。中小企業の新規事業で現実的なのは、次の三つです。

①その領域の事業者と組む。自社にない機能を持つ会社に、案件単位で入ってもらう。相手の既存の設備や許認可をそのまま使えるのが最大の利点です。

②経験者に業務委託で入ってもらう。週一日でも、商流と相場観が入ってきます。雇用ではないので、続けるかどうかを事業の進捗で判断できます

③既存の取引先に頼む。いちばん見落とされます。仕入先や外注先が、その領域の情報を持っていることは珍しくありません。関係ができているぶん、話が速い

いずれの場合も、業務委託契約の内容や取引条件の明示については関係法令に照らした確認が必要です。組むことを軽い判断だと考えないでください。

4. 採用へ切り替える、三つの合図

組んだまま続けるのも違います。切り替える時期を先に決めておきます。

①同じ作業が毎月発生するようになった。単発の案件ではなく反復業務になったら、外に出し続けるほうが高くつきます。

②社内に評価できる人ができた。誰かが一年その領域に関わると、良し悪しの判断がつくようになります。評価できないうちは採らない

③撤退の判断を通過した。続けると意思決定した後が、採用のタイミングです。順番を逆にすると、撤退の判断が人に引きずられます

02採用は、続けると決めた後の手段
立ち上げの手段として採用を使うと、固定費と情が同時に立ち上がります。継続を決めてから採ると、この二つを分けられます。ポイント:続ける理由が人になった事業は、たたみ方が分からなくなる

5. 組む段階で、決めておく四つ

①期間を切る。三か月なり半年なり、区切って更新する形にします。

②残すものを決める。相手が持つノウハウのうち、何を自社の記録として残すかを最初に合意します。議事録でも手順書でも構いません。ここを決めないと、組んだ期間が自社に何も残しません。

③自社の誰が張り付くかを決める。丸投げは最悪です。組む目的の半分は、自社の人間が学ぶことにあります。

④採用へ切り替える場合の扱いを話しておく。組んだ相手から人を引き抜く形にならないよう、後で揉めない段取りを先に確認しておく

6. 実業の当事者として言えること

BEYONDはコンサルティング会社ではなく、自分たちで複数の事業会社を経営している集まりです。新規事業の立ち上げは、組む形から入ることがほとんどです。

失敗したのは、②を決めなかったときでした。半年組んで、立ち上がって、契約が終わった時点で、社内に何も残っていなかった。相手が優秀だったので全部やってくれたからです。結果、その事業を続けるには組み続けるしかなくなりました。

それ以来、組む契約には必ず自社側の担当者名を書いています。誰が張り付くかを契約時に決めておくと、学ぶことが仕事の一部になります。

もう一つ。組む相手を探す段階で、その領域の相場観が手に入ります。断られた理由、提示された条件。採用の求人票を書くより、はるかに速くその市場が分かります。組むことは体制の話であると同時に、調査でもあります。

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7. SEEDは、組む設計と切り替えの基準を一緒に決める

SEEDで伴走する場合、採用計画から入りません。立ち上げに必要な機能を洗い出し、そのうち外から借りられるものを分けるところから始めます。借りられないものだけが、採用の検討対象になります。

そのうえで、組む形の選択、期間の区切り方、自社に残すものの合意、張り付く担当者の指名、そして採用へ切り替える三つの合図まで。契約の内容および取引条件の明示については、専門家への確認とセットで進めます。

まずは無料の新規事業の種・診断で、自社の新規事業がどこで詰まりやすいかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に借りる一機能を一緒に選びます。

※背景データは、厚生労働省が2026年8月28日に公表した一般職業紹介状況(職業安定業務統計)において、2026年7月の有効求人倍率(季節調整値)が1.18倍で前月と同水準となったこと、新規求人倍率が2.10倍で前月より0.06ポイント低下したことを参照しました。同統計は公共職業安定所における求人・求職の状況を示すものです。本文中の手順は、よくある状況をもとにした一般的な整理です。業務委託契約の内容および外部人材との取引条件の明示については、関係法令に照らして個別にご確認ください。