白書はもう一つ示しています。投資前に業務プロセスを見直した企業では、設備稼働率75%以上の割合が37.1%。見直さなかった企業では31.6%でした。設備を入れる前に工程を見直したかどうかで、その後の稼働率が変わっているということです。
ここは注意して読む必要があります。いずれも中央値や割合の比較であって、稼働率の高さが付加価値を生んだと示しているわけではありません。稼働率を上げられる会社が、そもそも伸びる力を持っていた、という順序もあり得ます。
それでも、中小企業が実際に手を動かすときの示唆ははっきりしています。稼働率を上げる手段は、新しい設備を買うことではありません。いまある設備が止まっている時間を埋めることです。そして多くの会社にとって、最も大きな『止まっている時間』は閑散期です。
新規事業がうまく始まらない理由は、たいてい三つです。投資が必要で、失敗すると本業に響き、やめどきが決められない。
閑散期を起点にすると、この三つが最初から解けています。投資が要りません。設備も人もすでにあり、いま止まっているだけだからです。失敗しても本業を毀損しません。もともと空いている時間を使っているからです。そしてやめどきが最初から決まっています。繁忙期が来たら止める、という撤退条件が構造として入っている。
ふつうの新規事業でいちばん難しいところが、閑散期起点なら最初から満たされています。探す場所を変えるだけで、難易度が変わります。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。繁閑の差が大きい商売も中にあります。
新規事業の相談で『何をやればいいか分からない』という話になるのは、探す場所を市場から始めているからだと感じています。市場から探すと、自社と関係のない選択肢が無限に出てきて、比べようがなくなる。
空いている時期から探すと、選択肢は一気に絞られます。その時期に、自社の設備と人でできることに限られるからです。制約が強いほど、決断は速くなります。
注意点を二つ。一つは、閑散期を埋めること自体が目的になると、利益の薄い仕事で埋まります。空いているから安くていい、という価格を一度でも出すと、それが定価として記憶される。閑散期でも下限価格を先に決めておいてください。
もう一つ。閑散期には休む、という選択も正しい。人が休めていない会社が閑散期に仕事を足すと、繁忙期に持ちません。埋めるかどうかは、必要な休養を差し引いてから判断する。稼働率を上げることは目的ではなく、手段です。
最初の一歩は、直近12か月の月別の稼働を並べ、最も低い三か月を選ぶこと。売上でも作業時間でも構いません。その三か月に何が空いているかを書き出すところから始めてください。
既存資産・市場性・体力・撤退基準の4観点から、次の一手が自社の地続きにあるかをレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
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まずは無料の新規事業の種・診断で、いまの取り組みが自社の地続きにあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に埋める一か月を一緒に決めましょう。
※データに関する記述は、2026年版中小企業白書において、投資前に業務プロセスの見直し等を行った企業のうち、設備稼働率75%以上の企業の付加価値額増加率が中央値で24.6%、25%未満の企業が20.1%であること、また投資前に業務プロセスの見直し等を行った企業では設備稼働率75%以上の割合が37.1%、行わなかった企業では31.6%であることを参照しました。いずれも中央値および割合の比較であり、稼働率の高さが付加価値の増加をもたらしたことを示すものではありません。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。取引条件や価格の設定にあたっては関係法令に留意してください。