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#新規事業#数字・見える化#意思決定
Management Column · 2026.09.09

稼働率75%以上の企業は、付加価値の伸びが違う|閑散期を埋める事業の探し方

2026年版中小企業白書は、設備稼働率が高い企業ほど付加価値額の増加率が大きいことを示しました。投資前に業務プロセスを見直した企業のうち、稼働率75%以上の企業の付加価値額増加率は中央値で24.6%25%未満の企業は20.1%です。
設備投資の話に見えますが、中小企業にとっての含意は別のところにあります。すでに持っている設備と人が、年間のうち何か月止まっているか——ここが第二の柱を探す起点になります。
新規事業を『新しい市場』から探すと遠くなる。『空いている時期』から探すと、近くなります

1.稼働率は、設備を買う前の話

白書はもう一つ示しています。投資前に業務プロセスを見直した企業では、設備稼働率75%以上の割合が37.1%。見直さなかった企業では31.6%でした。設備を入れる前に工程を見直したかどうかで、その後の稼働率が変わっているということです。

ここは注意して読む必要があります。いずれも中央値や割合の比較であって、稼働率の高さが付加価値を生んだと示しているわけではありません。稼働率を上げられる会社が、そもそも伸びる力を持っていた、という順序もあり得ます。

それでも、中小企業が実際に手を動かすときの示唆ははっきりしています。稼働率を上げる手段は、新しい設備を買うことではありません。いまある設備が止まっている時間を埋めることです。そして多くの会社にとって、最も大きな『止まっている時間』は閑散期です。

2.閑散期は、最も条件のそろった新規事業の入口

新規事業がうまく始まらない理由は、たいてい三つです。投資が必要で、失敗すると本業に響き、やめどきが決められない

閑散期を起点にすると、この三つが最初から解けています。投資が要りません。設備も人もすでにあり、いま止まっているだけだからです。失敗しても本業を毀損しません。もともと空いている時間を使っているからです。そしてやめどきが最初から決まっています。繁忙期が来たら止める、という撤退条件が構造として入っている。

ふつうの新規事業でいちばん難しいところが、閑散期起点なら最初から満たされています。探す場所を変えるだけで、難易度が変わります

新規事業の入口として、閑散期ほど条件のそろった場所はない

3.探し方の、四つの手順

空いているものを、設備・人・場所・時間の四つに分けて書き出す
『暇な時期』では抽象的すぎて先に進みません。何が空くのかを具体的に書きます。トラックが空くのか、職人の手が空くのか、倉庫が空くのか、事務の処理能力が空くのか。空くものによって、できることはまったく違います。四つに分けて書き出した時点で、選択肢はかなり絞られます。ポイント:暇ではなく、何が空くかを書き出す
自社の閑散期に、繁忙期を迎える業種を探す
同じ地域で、季節が逆の商売を探します。自分で新規事業を作るより、その時期だけ受託する形から始めるほうが速い。相手にとっても、繁忙期だけ手が借りられるのは助かる話です。いきなり自社商品を作らず、まず他社の繁忙を引き受けることから試せます。ポイント:ずれている相手を探すほうが、作るより速い
最初の相手は、いまの取引先から探す
まったくの新規開拓ではなく、既存の取引先に『この時期、何か手伝えることはないか』と聞く。相手の繁閑は、取引の中でだいたい分かっているはずです。信用の説明が要らない相手から始めるほうが、立ち上がりが速い。断られても関係は壊れません。ポイント:最初の相手は、すでに知っている相手から
繁忙期に戻る日を、始める前に決めて相手に伝える
閑散期事業の最大の失敗は、育ってきた頃に本業の繁忙期と衝突することです。手を引けば相手に迷惑がかかり、続ければ本業が崩れる。『○月からは本業を優先します』と最初に書面で伝えておく。先に言えば条件ですが、後から言えば裏切りになります。ポイント:やめる日を先に決めてから始める

4.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。繁閑の差が大きい商売も中にあります。

新規事業の相談で『何をやればいいか分からない』という話になるのは、探す場所を市場から始めているからだと感じています。市場から探すと、自社と関係のない選択肢が無限に出てきて、比べようがなくなる。

空いている時期から探すと、選択肢は一気に絞られます。その時期に、自社の設備と人でできることに限られるからです。制約が強いほど、決断は速くなります

注意点を二つ。一つは、閑散期を埋めること自体が目的になると、利益の薄い仕事で埋まります。空いているから安くていい、という価格を一度でも出すと、それが定価として記憶される。閑散期でも下限価格を先に決めておいてください

もう一つ。閑散期には休む、という選択も正しい。人が休めていない会社が閑散期に仕事を足すと、繁忙期に持ちません。埋めるかどうかは、必要な休養を差し引いてから判断する。稼働率を上げることは目的ではなく、手段です。

最初の一歩は、直近12か月の月別の稼働を並べ、最も低い三か月を選ぶこと。売上でも作業時間でも構いません。その三か月に何が空いているかを書き出すところから始めてください。

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5.SEED は、空きの棚卸しから一緒に立つ

SEED(BEYOND PLAYBOOK)は、新規事業のアイデアを出して終わりではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、月別の稼働の可視化 → 空くものの棚卸し → 繁閑がずれる相手の洗い出し → 下限価格と撤退日の設定までを、貴社の商売に合わせて一緒に進めます。狙うのは、本業を崩さずに立つ第二の柱です。

まずは無料の新規事業の種・診断で、いまの取り組みが自社の地続きにあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に埋める一か月を一緒に決めましょう。

※データに関する記述は、2026年版中小企業白書において、投資前に業務プロセスの見直し等を行った企業のうち、設備稼働率75%以上の企業の付加価値額増加率が中央値で24.6%、25%未満の企業が20.1%であること、また投資前に業務プロセスの見直し等を行った企業では設備稼働率75%以上の割合が37.1%、行わなかった企業では31.6%であることを参照しました。いずれも中央値および割合の比較であり、稼働率の高さが付加価値の増加をもたらしたことを示すものではありません。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。取引条件や価格の設定にあたっては関係法令に留意してください。