この調査の対象は、従業員1,000名以上の製造業と、500名以上のそれ以外に勤める人事担当者500名です。中小企業の実態を示す数字ではありません。それでも中小企業にとって重要なのは、大企業側で制度が整いつつあるという事実のほうです。
効いてくる方向は二つあります。一つは、自社の社員が副業を始めること。世の中の空気が変われば、就業規則の建前とは関係なく人は動きます。もう一つは、大企業の人材を、副業という形で自社が使えることです。財務、法務、採用、DX。フルタイムでは採れない職種を、月に数時間から試せる。
ここが分かれ目です。認めるか禁止するかの二択で考えている限り、二つ目の機会は視界に入りません。副業の議論は、労務の話であると同時に、調達の話でもあります。
一つ目。隠れます。禁止されている副業は、届出も相談もないまま行われます。把握できていない副業のほうが、競業も労働時間も危険です。禁止は問題をなくす方法ではなく、見えない場所に移す方法でしかありません。
二つ目。辞める理由になります。特に専門職は、副業を認める会社へ移ります。給与では追いつけない条件差が、ここで生まれています。
三つ目。自社が副業人材を使いにくくなります。社員には禁止しておいて、他社の副業人材は受け入れる。この矛盾は、必ず社内から指摘されます。受け入れる側に回る前に、出す側の線を引いておく必要があります。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。人を出す側にも、受け入れる側にも立ちます。
見ていて一番もったいないのは、認めたあとに何も起きない会社です。届出を受け取って、ファイルに綴じて、それで終わる。副業を認めたこと自体を成果だと思ってしまう。制度を作ることと、そこから何かを得ることは別の作業です。
副業をしている社員は、自社とは違う業種の値決め、集客、人の回し方を、実地で見てきています。これは調査会社のレポートより、はるかに具体的です。『あの会社では見積をこう出していた』『あの業界の繁忙期はここだった』。新規事業の種は、たいていこういう粒度の話から出てきます。
受け入れる側についても一つ。期待値の置き方を間違えると失敗します。月に数時間の副業人材に『全部やってもらう』は無理です。切り出せる仕事が実際にあるかを、契約の前に確認してください。切り出せないなら、それは副業人材ではなく、社内の整理の問題です。
そして制度を作る前に、経営者自身が、なぜ認めるのかを一行で言えるようにしておくこと。人手不足の穴埋めなのか、社員の成長なのか、新規事業の種集めなのか。目的が違えば、線の引き方も変わります。
最初の一歩は、就業規則の副業に関する条文を、いま読み返すことです。『会社の許可なく他に雇われてはならない』の一行だけで止まっている会社が、まだかなりあります。
既存資産・市場性・体力・撤退基準の4観点から、次の一手が自社の地続きにあるかをレーダーで特定します。登録不要・その場で結果。
▶ 新規事業の種・診断をはじめる 無料で相談するSEED(BEYOND PLAYBOOK)は、新規事業を立ち上げるだけの立場ではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、禁止する行為の言語化 → 届出の様式づくり → 副業人材の切り出し方 → 持ち帰った知見を種に変える場づくりまでを、貴社の状況に合わせて一緒に進めます。狙うのは、外の商売が自社に流れ込む経路です。
まずは無料の新規事業の種・診断で、いまの取り組みが自社の地続きにあるかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に引く線を一緒に決めましょう。
※データに関する記述は、株式会社みらいワークスが2026年8月に公表した大企業における副業・兼業に関する人事制度の実態調査2026において、正社員の副業容認率が54.6%、原則自由とする企業が9.0%、現在は禁止だが制度整備中とする企業が19.8%、他社の副業人材を受け入れている企業が56.8%であったことを参照しました。同調査の対象は従業員1,000名以上の製造業および500名以上の製造業以外に勤める人事担当者500名であり、中小企業の状況を示すものではありません。副業・兼業に関する就業規則の定め、労働時間の通算、社会保険の取扱いは法令および個別の事情により異なります。制度設計にあたっては社会保険労務士または弁護士にご確認ください。