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#新規事業#意思決定#人材育成
Management Column · 2026.08.10

新規事業を『手が空いている人』に
任せる会社が、いつまでも立ち上がらない理由

新規事業が立ち上がらない理由を聞くと、返ってくるのはたいてい良いアイデアがない資金が足りないです。実際にはもう一つ、ほぼ確実に効いている原因があります。誰に任せたかです。2026年版の中小企業白書によると、生産能力の拡大や新事業への進出を目的とした成長投資に取り組んだ企業の付加価値額増加率は中央値22.0%、取り組んでいない企業は15.2%。約7ポイントの差がついています。やる会社とやらない会社の差は、すでに数字に出ている。それでも動かないなら、原因は人選を疑うべきです。

1.『手が空いている人』は、なぜ手が空いているのか

新規事業の担当を決めるとき、多くの会社が真っ先に考えるのは誰なら本業に穴を空けずに済むかです。合理的に見えます。既存事業は今日の飯の種で、新規はまだ何も生んでいないのだから、と。

ただ、この基準で選ばれた人は社内で最も引き合いの少ない人です。それは能力の問題とは限りませんが、少なくとも現場を動かす力と社内の信用が、相対的に薄い人である可能性は高い。そして新規事業に本当に必要なのは、まさにその二つです。

新規事業の初期は、決裁のない依頼の連続です。試作をちょっと手伝ってほしい、既存客に一度だけ話をさせてほしい、来月の現場を1日空けてほしい。どれも制度ではなく人間関係で動く頼み事です。社内の信用が薄い人が頼むと、全部後回しになります。

新規事業の初期に必要なのは能力より、社内で頼み事が通る信用

2.兼務は悪くない。悪いのは『優先順位を決めていない兼務』

誤解のないように書くと、中小企業で新規事業を完全な専任で始めるのは、たいてい非現実的です。兼務そのものは正しい選択です。問題は、兼務の中身が決まっていないこと。

本業の納期と新規事業の締切がぶつかったとき、どちらを優先するのか。これを決めていない会社では、答えは自動的に本業になります。今日の売上があるほうが勝つのは当たり前だからです。その結果、新規事業は「時間が余ったらやる仕事」になり、余る時間は永遠に来ません。

白書が示す差は、投資額の差というより実行され続けたかどうかの差だと私たちは見ています。始めた会社は多い。続いた会社が少ないだけです。

3.人選と設計で、四つだけ決める

『抜けたら困る人』を出せるかで、本気度を測る
社長が本当にやると決めた事業には、必ず主力が付きます。逆に言えば、主力を出せない案は社内的にはまだ決まっていないということ。人選の議論は、事業の是非の議論でもあります。出せないなら、規模を小さくして出せる形に組み直すほうが早い。ポイント:誰を出すかで揉めたら、事業の優先度から議論し直す
兼務の比率ではなく、ぶつかった時の順番を決める
『2割を新規に』では機能しません。火曜と木曜の午前は新規、本業の緊急でも動かさないのように時間で固定し、例外を認める権限は社長だけが持つ。守られる時間を作れるのは、社長の宣言だけです。ポイント:配分ではなく、動かせない時間帯を決める
既存部門への『協力の対価』を先に決めておく
新規事業は既存部門の手を借ります。何もしないと、協力は善意頼みになり、忙しくなった瞬間に止まる。協力工数を新規事業側の予算で買う、評価に協力実績を入れるなど、形を先に決める。ここを設計している会社はほとんどありません。ポイント:社内の協力も、ただの好意にしない
撤退ではなく『続投を判断する日』を先に置く
担当者にとって最も辛いのは、成果が出ない期間そのものではなく、いつまで頑張ればいいか分からないことです。半年後の日付を決め、その日に続けるか畳むかを判断すると先に伝える。判断日があるだけで、担当者は安心して全力を出せます。ポイント:期限を切るのは、担当者を守るためでもある

4.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。新しい事業を自分たちで立ち上げる側にいるので、はっきり言えることがあります。エースを外すのは、本当に痛い。本業の数字が落ちるのが目に見えるからです。

それでも出す価値があるのは、エースが動くと社内の空気が変わるからです。あの人が本気でやっているなら本物だ、と周りが判断する。協力が集まり、情報が集まり、失敗しても『やり方が悪かった』で済む。逆に、社内で軽く見られている人に任せた事業は、うまくいかなかった時に『やっぱり無理だった』と結論づけられます。同じ失敗でも、次につながるかどうかがまるで違う。

だから人選は、能力の問題であると同時にメッセージの問題です。誰を置くかで、社内はその事業の本気度を読み取ります。成長投資に取り組む会社と取り組まない会社の差が7ポイント開いているという事実は、裏返せば『続けられた会社』の希少性でもある。続けるための最初の一手が、人選です。

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5.SEED は、人選と続け方の設計から一緒に立つ

SEED(BEYOND PLAYBOOK)は、事業計画書を作って終わりにはしません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、出せる人材の見極め → 動かせない時間の設計 → 既存部門との協力の形づくり → 続投判断の日程化までを、貴社の体力に合わせて一緒に進めます。狙うのは、始めることではなく続く形にすることです。

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※背景データは、生産能力の拡大や新事業への進出を目的とした成長投資に取り組んだ企業の付加価値額増加率が中央値22.0%、取り組んでいない企業が15.2%であること、設備稼働率が高い企業ほど付加価値額の増加率が大きい傾向がみられること=中小企業庁『2026年版 中小企業白書・小規模企業白書』(2026年4月公表)を参照しました。本文中の進め方は、よくある状況をもとにした一般的な整理です。