営業の現場では、窓口担当で話が止まると決裁者に会えていないからだと考えます。だから上に当てにいく。名刺交換の場を探し、紹介を頼み、時には窓口を通さず連絡する。
ところが5人以上が関与する案件が半数近くあるという構造の中では、一人の決裁者に会えたところで決まりません。関与しているのは、使う部署、予算を持つ部署、購買、情報システム、そして役員。それぞれが別の観点で見ています。
そして1か月以上かかる案件が半数を超えるということは、その間ずっと、こちらがいない場所で議論が続いているということでもあります。商談の場より、社内会議の場のほうが長い。
窓口担当は、多くの場合社内でこの件を進めたいと思っている人です。困りごとを抱えていて、解決策を探している。だからこちらに連絡してきた。
その人を飛ばして上に当たると、二つのことが起きます。一つ目、窓口の社内での立場が悪くなる。勝手に外部と話を進めたと見られかねません。二つ目、こちらが信用できない相手として記憶される。次の案件で声はかかりません。
やるべきことは逆です。窓口を、社内提案者として強くする。この人が社内会議で説明しやすい材料を渡す。会えない決裁者に届けるのではなく、届けてくれる人を助けるという発想に切り替えます。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を回している当事者です。売る側と、稟議を上げる買う側の両方を日常的にやっています。
買う側の立場で言うと、いちばんありがたいのは、社内説明の材料をくれる相手です。良い商品でも、社内で説明できなければ通せません。逆に、比較表と想定質問への回答まで用意してくれる相手なら、こちらの仕事はほぼ済んでいます。多少値段が高くても、そちらを選ぶ理由になります。
そして、上を飛ばされた経験もあります。悪気はなかったのだと思いますが、その会社とは以降取引していません。理由は感情ではなく、社内の手順を尊重しない相手は、導入後も同じことをすると判断したからです。
1か月以上かかる案件が半数という数字は、営業から見れば長く感じます。ただ、買う側にとっては当然の期間です。5人が見て、それぞれが確認して、稟議が回る。この時間を短縮しようとして窓口を飛ばすより、この時間の中で窓口が動きやすくするほうが、確実に早いというのが実感です。
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※背景データは、HubSpot Japan が公表した『日本のBtoB購買に関する意識・実態調査2026』において、直近12か月以内にBtoB商材の比較・選定・稟議・承認・決裁等に関与した1,573名を対象とした調査で、情報収集・比較・稟議・承認・決裁に関与した社内関係者が5人以上いたケースが46.9%、検討開始から購入・契約・発注の決定までに1か月以上かかったケースが50.9%であったことを参照しました。同調査は同社による調査であり、対象は当該経験のある回答者に限られます。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。