気づいた日の社内は、たいてい同じ空気になります。腹が立つ、焦る、何か打たなければと思う。
そして出てくる案が、さらに新しい打ち手です。もう一段進んだものを出せば、また差がつく。
この発想には前提があります。差は、新しさで作られるという前提です。
ところが新しい打ち手も、効いたら真似されます。半年ごとに新しいものを出す競争になります。
規模が同じなら引き分けですが、相手が大きければ負けます。追いかけ合いは、体力の勝負になるからです。
ここが逆になるところです。真似されたという事実は、その打ち手が単体で取り出せたということを示しています。
単体で取り出せるものは、単体では効きません。効いていたのは、それが自社の他の要素と組み合わさっていたからです。
例を一つ置きます。見積を二日で出すことを始めて、客が増えた。同業が真似して、同じく二日で出すと言い始めた。
ここで確かめるべきは、二日で出せる理由です。単価表が整っていて、承認が金額で分かれていて、受付で聞くことが決まっている。
相手は『二日』を真似できますが、この三つは真似できません。真似すれば、守れない約束になります。
だから次の手を打つ必要はありません。やることは、組み合わせを数え直すことです。
全部を放置していいわけではありません。追いかける判断が正しい場面が二つあります。
一つめ、その打ち手が売上の柱になっている場合。真似された要素が売上の大半を作っているなら、放置はできません。
ただしこの場合も、やることは新しい打ち手ではありません。柱が一本しかない状態を直すほうが先です。
二つめ、相手の真似が客に誤認を生んでいる場合。こちらと取り違えられている、こちらの実績のように読める。
これは強みの整理の話ではなく、権利や表示の問題になり得ます。商標、意匠、著作権、不正競争。該当するかの判断には要件があり、弁護士および弁理士に相談する領域です。
この二つのどちらでもないなら、追いかけない判断でいい。腹立たしさは、判断の材料にしないことです。
やってしまいがちなのが、客への説明です。あれは当社が先に始めたものです、と言いたくなる。
客から見ると、どちらが先かは判断できません。そして判断できない話を聞かされると、両社が同じに見えます。
さらに、先に始めたという主張はいま優れているという主張ではありません。先行の事実は、選ぶ理由になりません。
言うなら、先かどうかではなく、なぜそれができるかを言います。単価表があるから二日で出せる、と中身で言う。
中身で言えるなら、相手が同じことを言っても成り立ちません。言えないなら、まだ組み合わせを数えていないということです。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。真似された側にも、真似した側にも立ったことがあります。
真似した側に立って分かったのは、表面を真似しても続かないことでした。良さそうなやり方を取り入れて、三か月で元に戻りました。
戻った理由は単純です。それを支える社内の形がなかった。約束だけ先に出して、守れませんでした。
真似された側としてやった失敗は、新しい打ち手を出したことでした。相手が真似した分より一段上を出そうとして、自社の客に合わないものを作りました。
戻したときにやったのが、組み合わせを数える作業でした。真似された打ち手の周りに、七つ書けました。そのうち三つは時間がかかる要素でした。
やったのは、その三つを前に出す書き方に直すことだけです。新しい打ち手は出していません。
いま真似されて困っているなら、最初に一つだけやってください。真似された打ち手を紙の真ん中に書いて、それを支えている要素を周りに書き出す。五つ書けるなら、追いかけなくて済みます。
MAGNET(BEYOND PLAYBOOK)は、新しい打ち手を外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が真似された側と真似した側の両方を経験した当事者として、打ち手を支える要素の洗い出し → 模倣の難しさでの仕分け → 客の重なりの確認 → 公開範囲の引き直しまでを、貴社の商売の形に合わせて一緒に整理します。
まずは無料の差別化診断で、いま何で選ばれていないかを確かめてみてください。結果を見ながら、何を前に出すかを一緒に決めましょう。
※本記事に記載の件数、金額、期間はすべて説明のための仮の例です。特定の企業の実例ではありません。他社の表示や広告の内容が自社のものと類似している場合に、商標権、意匠権、著作権その他の権利の侵害や不正競争に当たるかの判断には関係法令上の要件があり、個別の事案については弁護士および弁理士にご相談ください。本記事は権利の主張や法的対応について述べるものではなく、自社の強みの整理の方法を扱っています。