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#売上アップ#数字・見える化#意思決定#価格・値上げ
Sales Column · 2026.08.02

『今回は価格が』で
終わらせない

失注した案件の記録を見返すと、理由の欄がほとんど『価格』で埋まっている——多くの中小企業がそうです。けれど中小企業庁が2026年6月26日に公表した調査では、価格交渉を実施した企業が90.7%に達する一方、通った転嫁率は54.2%、労務費では50.0%経済産業省・中小企業庁)。値段の話は、いまどの商談にも必ず出てくる。だからこそ『価格が合わなかった』は、負けた理由ではなく、断るときに一番使いやすい言葉でもある。負けた3件に電話をかけた社長の想定事例から、失注理由の聞き方を考えます。

1.Before ── 理由の欄が、全部『価格』になっていた

【想定事例】従業員18名の内装工事会社。専務の岡田さん(仮名)は案件管理の表をきちんとつけ、失注には必ず理由を書いていました。半年分をめくると、23件の失注のうち19件の理由欄に『価格』とだけ書いてあった

この記録から導かれる打ち手は、ひとつしかありません。もっと安くする。実際じりじりと見積を下げていましたが、受注率は上がらず、削った粗利のぶん現場が苦しくなっただけでした。

落とし穴は、失注理由を書くのが断られた側の営業担当だという点です。自分の提案が悪かったとは書きにくい。価格のせいにすれば誰も傷つかず、上司も納得する。こうして『価格』の一語が、本当の負け筋を覆い隠していきます。

『価格が合わなくて』は、断り文句としては最も便利で、最も情報量が少ない

2.Turn ── 負けた3件に、電話をかけてみた

岡田さんは、直近で失注した3件の担当者に電話をかけました。売り込みではなく、教えてもらうために。返ってきたのは、記録とはまるで違う中身でした。

1件目は納期。金額はほぼ互角だったが、引き渡しまでの見通しが最後まで曖昧で、開店日を動かせない先方は確実な方を選んだ。2件目は誰が現場に来るのか分からなかったこと。見積書に会社名しかなく、任せていいのか判断がつかなかった。3件目は比較ができなかった——一式でまとめた見積は、削れる部分も上げる部分も分からず、社内稟議に出しにくかった、と。

3件のうち、純粋に金額で負けたものは一件もありませんでした。価格は、決められなかった理由を包む言葉だった。しかもそのどれもが、見積を出す前に手を打てたことばかりでした。

3.聞きに行くための、三つの決めごと

失注ヒアリングは、やると決めただけでは続きません。岡田さんが決めたのは、次の三つでした。

負けが決まって1週間以内に、担当者以外が聞く
時間が経つほど記憶は薄れ、当たり障りのない答えに丸まる。そして聞き手は、担当した本人以外にする。本人が聞けば相手は気を遣い、聞く側も追及されている気分になって踏み込めない。社長や別部門の人間が『次に活かしたいので』と聞くと、驚くほど素直に話してもらえる。岡田さんの気づき:聞く人を変えるだけで、返ってくる中身が変わる
価格以外で、と最初に断ってから聞く
『なぜ他社に決められましたか』と聞けば、相手は最も角の立たない価格を答える。そうではなく『金額の話は抜きにして、決め手を教えてください』と枠を外して尋ねる。加えて、選ばれた他社の何が良かったかを聞く。自社の欠点より競合の長所のほうが、相手は話しやすい。岡田さんの気づき:質問の枠を外さなければ、答えは枠の中からしか出てこない
聞いた内容を、理由ではなく『工程』で分類する
価格・納期・信頼といった感想で分けても打ち手にならない。初回接触・ヒアリング・提案・見積提出・決裁待ちの、どの工程で負けたかで分類する。『提案の前で落ちている』のか『決裁の場で差された』のかが見えれば、直す場所がひとつに絞れる。月に一度、10分見返せば十分。岡田さんの気づき:感想を集めても改善はできない。場所が分かって初めて直せる

4.After ── 変わったのは、見積書より手前だった

【想定事例のその後】岡田さんが変えたのは、見積書のほうでした。一式表記をやめて工程ごとに分け、担当する職長の名前と引き渡しまでの日程表を添える。値段は下げていません。むしろ根拠が見えるぶん、以前より強気に出せるようになりました。

何より、失注が資産に変わりました。『価格』の一語で埋まった記録からは何も生まれませんが、工程で分けた記録が溜まれば、どこを直せば受注が増えるかが順番で見えてくる。値引きは一度やると戻せません。負け筋の言語化は、やるほど効いていきます

私たちBEYONDも、9社の実業を回す当事者としてこの作業を続けています。倒産が上半期で5,335件と4年連続で増え、物価高倒産・人手不足倒産がいずれも過去最多を更新した(帝国データバンク・2026年上半期報)いま、粗利を削る値引きは体力を確実に奪う。負けた相手に電話をかけるのは気が重い。それでも一件の電話は、一件の値引きよりずっと安く、ずっと長く効きます

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5.SURGE は、負けた理由を次の見積に戻すまで伴走する

SURGE(BEYOND PLAYBOOK)は、失注分析のフォーマットを渡して終わりにはしません。BEYOND Holdings 自身が複数の実業を回す当事者として、誰がいつ聞くかを決める → 価格以外を引き出す質問の型をつくる → 工程で分類して見積と提案に戻すまで、貴社の商談の流れに合わせて一緒に組み立てます。見積書そのものの組み方は値引きに負けない松竹梅見積りも併せてどうぞ。

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※文中の内装工事会社の事例は、よくある状況をもとにした想定事例です。統計は、中小企業庁『価格交渉促進月間(2026年3月)フォローアップ調査結果』(2026年6月26日公表/価格交渉実施率90.7%、価格転嫁率54.2%、労務費の転嫁率50.0%)、および帝国データバンク『倒産集計 2026年上半期報』(2026年7月8日公表/倒産5,335件、物価高倒産・人手不足倒産が過去最多)を参照しました。数値は調査時点・調査主体により幅があります。