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#数字・見える化#意思決定#価格・値上げ
Management Column · 2026.10.25

労務単価は14年連続で上がった
── 見積と、終わった後の原価

公共工事設計労務単価は令和8年3月から全職種の単純平均で4.5%引き上げ。加重平均額は2万5,834円で、引き上げは14年連続です。
率は都道府県と職種で違いますが、方向は一つです。
単価が上がり続ける環境では、見積を出した瞬間と終わった時点の原価が別物になります。

1.上がり続ける環境では、見積の時点で負けている

この数字は公共工事の積算に使う単価で、民間工事の労務費や自社が払う賃金そのものではありません。ただ方向は共通しています。

単価が上がり続けるとき、見積の精度の問題ではなく、見積と着工の間に時間があることが問題になります。

三か月前に出した見積で、二か月かかる仕事を受ける。五か月の間に単価が動きます。

多くの会社は、この差を感覚で知っています。終わってみたら薄かった、という感覚です。

ところがどの案件で、いくら薄かったかは記録されていません。だから次の見積に反映できません。

2.全件を突き合わせる管理は、必ず止まる

原価差異の管理をやろうとすると、全件の突き合わせが提案されます。これが止まる理由は三つです。

一つめ、件数。月に三十件あれば三十件の突き合わせになります。二か月で誰もやらなくなります。

二つめ、配賦。共通費をどう割るかで結論が変わるので、議論が始まります。議論が始まると作業が止まります。

三つめ、犯人探しに見えること。差が出た案件の担当者が責められる形になると、次から数字が作られます。

全件やろうとして、何もやらなくなる。続く形にするなら、見る件数を先に絞る。

だから最初から絞ります。差の大きい三件だけ。これなら月に三十分で終わります。

3.差の大きい三件だけを、毎月見る

①見積の原価を、受注した時点で凍結して残す
後から見直せる形になっていると、差が出ません。受注したときの原価の内訳を、別の場所に写して動かさない。項目は細かくしなくていい。材料、人、外注、その他の四つで足ります。この四つに分けておくと、差がどこから出たかが後で分かります。写すのに五分かかりません。写していない会社が多いだけです。ポイント:受注時の原価を四項目で凍結して残す
②終わった案件の実績を、同じ四項目で出す
細かさをそろえるのが肝です。見積は四項目、実績は十五項目という形にすると比べられません。実績側も材料・人・外注・その他に寄せる。配賦が必要な共通費は、この段階では入れない。入れると議論が始まって止まります。入れないと厳密さは落ちますが、続きます。厳密さより継続のほうが効きます。ポイント:配賦は入れない。厳密さより継続を取る
③差額の大きい三件だけを選び、理由を一行書く
金額の差の大きい順に三件。率ではなく金額で選びます。率で選ぶと小さい案件ばかりが並びます。選んだ三件について、担当者に理由を一行だけ聞く。『追加の手間が出た』『材料が上がった』程度で十分です。一行以上書かせると、言い訳の文書になります。一行なら事実が出ます。ポイント:率ではなく金額で三件選び、理由は一行
④三か月ためてから、初めて見積を触る
一か月の結果で見積を変えると、たまたまに反応します。三か月で九件たまってから、同じ理由が何回出たかを数える。三回以上出た理由だけを見積に反映します。反映の仕方は、単価を上げるのではなく条件を書くほうが先。有効期限、材料価格が動いた場合の扱い。ここは別の決めごとになります。ポイント:三か月ためて、三回以上出た理由だけを反映

4.差の出方には、四つの型がある

九件たまると、理由が四つに収まることが見えてきます。

一つめ、時間差。見積から着工までに単価が動いた。これは自社の努力では解けません。解くのは見積の有効期限のほうです。

二つめ、手間の追加。着手後に増えた作業。これは変更の受け方の問題です。金額を動かさずに受けていれば、ここに出ます。

三つめ、読み違え。最初から工数の見立てが甘かった。これは見積の単価や歩掛を直す話になります。

四つめ、段取り。待ちや手戻りで時間が伸びた。これは現場の進め方の話で、見積を直しても解けません。

型が分かると、打ち手の場所が決まります。一つめは契約、二つめは変更の受付、三つめは見積、四つめは現場。

型に分けずに『原価が合わない』とだけ言うと、全部が現場の問題に見えます。実際には、四つのうち二つは現場の外にあります。

5.犯人探しにしないための一手

この管理が死ぬいちばんの理由は、担当者が数字を作り始めることです。

防ぐためにやることは一つです。最初の三か月は評価に使わないと、先に宣言する。

そして見る場で、型のうち現場の外にあるものを先に挙げる。時間差と変更の受付。社長側の問題を先に出すと、三つめと四つめも正直に出てきます。

逆に読み違えと段取りから入ると、その月で終わります。順番だけで、出てくる情報の量が変わります。

なお、ここで作っているのは社内の管理資料です。決算書上の原価の計算方法とは別で、そちらは関係法令と会計基準にもとづく定めがあります。混ぜないほうが、どちらも軽くなります。

6.実業の当事者として言えること

私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。受注して作る商売が社内にあります。

やってしまったのは、全件の突き合わせを始めたことでした。二か月で止まりました。件数が多く、配賦の議論で毎回時間が尽きました。

三件に絞ってから続いています。続いたことで分かったのは、同じ理由が繰り返し出ることでした。半年で、理由の七割が二つに集中していました。

集中していた二つは、どちらも現場の外にありました。見積の有効期限を書いていなかったことと、着手後の変更を金額を動かさずに受けていたこと。

直したのは見積の条件欄でした。現場の進め方には手を付けていません。それで差の大半が消えました。

いま原価が合わないと感じているなら、最初に一つだけやってください。直近で終わった案件のうち、見積より膨らんだものを金額の大きい順に三件挙げる。三件の理由が、どこに手を付けるかを教えてくれます。

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7.LENS は、三件に絞る設計から一緒に立つ

LENS(BEYOND PLAYBOOK)は、原価管理の仕組みを外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が受注して作る商売を回す当事者として、受注時原価の凍結 → 実績の項目合わせ → 三件の抽出と一行の理由 → 型に分けて打ち手の場所を決めるまでを、貴社の商売の形に合わせて一緒に整理します。

まずは無料の意思決定スピード診断で、いまどこで判断が止まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、どの案件から見るかを一緒に決めましょう。

※統計の記述は、国土交通省が公表した公共工事設計労務単価の令和8年3月からの改定について、全職種の単純平均で4.5%の引き上げ、加重平均額2万5,834円、平成25年度の改定から14年連続の引き上げとする報道を参照しています。引き上げ率は都道府県および職種によって異なり、地方自治体の公表資料では全職種平均で別の率が示されている例があります。本稿執筆時点で国土交通省の公表資料の原文は参照できていないため、原文での確認を推奨します。なお公共工事設計労務単価は公共工事の予定価格の積算に用いられる単価であり、民間工事の労務費や個々の企業が支払う賃金そのものではありません。本記事に記載の金額・件数・割合はすべて説明のための仮の例です。原価計算の方法および決算書上の数値の取扱いについては関係法令および会計基準にもとづく定めがあり、顧問税理士および会計事務所にご確認ください。

記事はここまで

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