自社の強みを一言にする作業は、ふつう社内でやります。何が得意か、他と何が違うか。議論して磨き、短くする。
この作業の出口は、必ず『自社がどういう会社か』の言葉になります。精度に強い、小ロットに対応できる、短納期で動ける。間違ってはいません。
一方、困っている側が最初に打ち込む言葉は違います。『図面はあるが作れる先が見つからない』『納期が間に合わないと言われた』。解決策の名前ではなく、自分の症状です。
この二つは、言葉として一度も交差しません。だから磨けば磨くほど、見つからない状態に近づくことがあります。
そしてこの数年で、客が症状を言葉にする場所が変わりました。
株式会社IDEATECHが2026年9月29日に公表した調査では、課題を整理する入口として『生成AI・AI検索』が36.5%で最も多く、『検索エンジン』の24.9%を上回りました。対象は直近12か月に500万円以上の情報システム系の購買に関与した担当者502名なので、そのまま全業種には当てはまりません。それでも示しているものは明確です。
検索でもAIでも、仕組みは同じです。打ち込まれた症状の言葉と、自社の説明の言葉が一度も重ならなければ、候補として出てこない。会わないまま終わるので、負けた記録も残りません。
ここで多くの会社がやるのが、言い換えです。専門用語を平易にする、客が使った言葉を本文に混ぜる。やったほうがいいし、効きます。
ただ、言い換えは見つけてもらうところまでです。見つかったあと、客の頭の中で自社が何と呼ばれるかは決まらない。
次の段が名付けです。困りごとそのものに名前を付けて、その名前を自社の商品の名前として掲げる。言い換えが説明文の工事なら、名付けは看板の工事です。
『図面はあるが頼める先がない』を一社目探しと名付け、その名前で窓口を一つ作る。やることは今までと同じでも、客から見える入口が変わります。
やりすぎると逆効果になります。線は二つです。
造語にしない。響きのよい独自の呼び名を作りたくなりますが、客が打ち込まない言葉は存在しないのと同じです。名前は発明せず、採取したものを使います。
数を増やさない。症状ごとに名前を作ると、どれも覚えられません。最初は一つ。一つが動いてから二つ目を考えます。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。自社の説明を書き直す作業は、どの会社でも何度もやってきました。
やってみて意外だったのは、名前の候補は、すでに社内にあったことです。営業や受付の人が、相手に説明するときに毎回使っている言い方がある。それが客の症状にいちばん近い言葉でした。会議室で考えるより、電話を受けている人の口癖を書き取るほうが速い。
もう一つ。名前を付けると、断る判断も速くなります。付けた名前に合わない引き合いは、自社の出番ではないと分かる。差別化は選ばれるための作業だと思われていますが、実際には、選ばない線を引く作業でもあります。
強みを磨く作業そのものは、やめなくていい。磨いた強みに、客の症状の名前で表札を付ける。順番はそれだけです。
MAGNET(BEYOND PLAYBOOK)は、キャッチコピーを外から当てはめるのではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、問い合わせの原文の採取 → 症状の抽出 → 名前の仮置き → 三か所への反映までを、貴社の商売の形に合わせて一緒に進めます。
まずは無料の差別化診断で、いま自社の輪郭がどれくらい伝わっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、採取する20件の集め方から決めましょう。
※調査の記述は、株式会社IDEATECHが2026年9月29日に公表した『生成AI時代のBtoBバイヤー購買行動調査』を参照しています。同調査の対象は、直近12か月に金額500万円以上のBtoB向け情報システム製品・サービスの新規導入や見直しに関与した担当者502名であり、業種や購買規模の異なる商売にそのまま当てはまる数値ではありません。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。