従業員24名の製造業。経理と総務を一人の社員が兼務していました。
月次の数字は毎月遅れ、本人は残業が続いていました。社長が増員を決め、半年かけて一人採用しました。
ところが一年経っても、月次の遅れは変わりませんでした。残業は二人に分散しただけで、総時間は減っていなかった。
起きていたのはこれです。業務が割られていないので、二人が同じ仕事を見ている。
どちらがやるかを都度決め、進み具合を共有し、やり方をすり合わせる。この三つは一人なら不要だった作業です。
さらに、責任の所在が曖昧になります。遅れたとき、どちらの担当だったかが決まっていない。結果として両方が全部を気にする状態になり、負荷は下がりません。
社長はここで、採用の失敗ではなく設計の失敗だと気づきました。
二人目を採る前にやるべきだった作業を、後からやりました。順番はこうです。
やってみると、どうしても割れない仕事が残ります。この会社では月次の締めがそうでした。
この場合は、人ではなく時期で割ります。締めの作業は一人が担当し、もう一方はその期間に別の仕事を引き受ける。同じ時期に同じ作業を二人でやるのを避けるのが目的です。
それでも割れないなら、増員で解く問題ではありません。作業そのものを短くする側に手を入れる。これは人の話ではなく手順の話になります。
割り直して四か月後、月次の遅れがなくなりました。作業量は同じですが、確認と相談に使っていた時間が消えたからです。
副産物として大きかったのは、二人とも休めるようになったことです。互いの担当に代理として名前が入っているので、休む日に引き継ぐ範囲が明確になりました。
社長の反省は一点でした。採用に半年かけたのに、割るのは半日で済んだ。順番が逆だったということです。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。少人数の部署に二人目を入れる場面は何度もありました。
うまくいかなかったときに共通していたのは、一人目に『楽になるから』と伝えていたことです。悪い伝え方ではありませんが、一人目は自分の仕事が減ることを期待します。実際には教える仕事が増えるので、期待とずれます。
いま伝えるのは別の言い方です。『この半分は手放してもらう。代わりに教える時間を三か月分とる』。手放す範囲と、増える仕事の両方を先に言う。
もう一つ。割る作業は一人目と一緒にやったほうが速い。どこで切れるかを知っているのは本人です。社長が机上で割ると、実務で繋がっている部分を無理に切ってしまいます。本人に『どこで切れるか』を聞くところから始めるのが、いちばん早い入口でした。
増員を考えているなら、募集の前に一つだけ確かめてください。その仕事は、募集要項に片方だけ書ける形になっているか。書けないなら、まだ割る作業が残っています。
PACK(BEYOND PLAYBOOK)は、採用手法を外から当てはめるのではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、本人への聞き取り → 完結する単位での切り分け → 止まると困る仕事の優先的な移管 → 片方だけで書く募集要項までを、貴社の組織の形に合わせて一緒に組みます。
まずは無料の組織体力診断で、いま組織のどこに負荷が溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に割る一つの業務を一緒に決めましょう。
※本記事の事例は、中小企業で起こりうる場面を想定して構成したものです。特定の企業の実例ではなく、記載の人数・時間・期間はすべて説明のための仮の数値です。募集条件や労働条件の設定については関係法令にもとづく定めがあり、個別の対応は社会保険労務士にご確認ください。