採用がうまくいかないとき、最初に疑われるのは魅力の伝え方です。給与、やりがい、職場の雰囲気。もっと良さを伝えれば来てくれるはずだと考える。
この調査の結果は、その方向の限界を示しています。良さが伝わっていた人のほうが、辞めている。
さらに、ギャップを感じた早期離職層の90.9%が『事前に知っていれば、自分に合う会社か判断できた』と答えています。足りなかったのは期待ではなく、判断するための材料でした。
なお、これは中小企業に限った調査ではありません。ただ、面接の回数が少なく、会う人が限られる中小企業ほど効き方は大きいと考えています。
では何を知りたかったのか。同じ調査で挙がっているのは、上司のマネジメントスタイルが15.7%、暗黙のルールが14.8%、仕事の判断基準が14.2%でした。
並べてみると、どれも求人票の様式に欄がないものです。給与や休日のように書ける項目ではなく、しかも入ってみれば毎日効いてくる。
ここが埋まらないまま入社すると、ギャップは必ず出ます。本人も会社も悪意がないのに、三か月目に『思っていたのと違う』が来る。
そして厄介なのは、その情報を社長が説明できないことです。
暗黙のルールは、たいてい社長が作ったものです。作った本人には当たり前すぎて、ルールとして見えません。『うちは風通しがいい』『任せる文化がある』と説明して、現場の実感とずれます。
判断基準も同じです。社長の中では一貫していても、言葉になっていない基準は、外から見ると気分に見えます。
言葉にできるのは、そのルールに毎日合わせている側です。つまり現場の社員です。だから面接の設計で変えるべきなのは、質問の内容ではなく誰が会うかになります。
この方法には、失敗の型が二つあります。
一つ目は、現場に合否を背負わせることです。採用の責任は会社が負うものなので、現場の社員が『自分が通した人だ』と感じる構造にしてはいけません。入った後の関係が歪みます。
二つ目は、入れる人を固定しないことです。毎回違う社員が出ると、説明の内容がばらつきます。最初は一人か二人に絞り、同じ人が続けて出る。慣れると、説明は目に見えて上手くなります。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。採用の面接は、いまも自分たちでやっています。
現場を入れてみて意外だったのは、辞退が増えたことでした。大変なことを先に話すので、合わない人は面接の段階で降ります。短期的には採用数が減ります。
ただ、減ったのは入社後三か月で辞める人の数も同じでした。先に降りてもらうのと、入社してから辞めるのでは、かかっている手間が違います。辞退は損失ではなく、前に出た選別だと考えるようになりました。
もう一つ。効き目は採用の外にも出ました。説明役をやった社員が、自社の仕事を言葉にできるようになる。候補者に説明するために一度整理するので、そのまま新しく入った人への説明にも使えます。面接に出すのは、育成の機会でもありました。
次の面接で試すなら、変えるのは一つで足ります。後半の15分を、現場の社員と候補者だけにする。質問票を作り直す前に、ここが動きます。
PACK(BEYOND PLAYBOOK)は、採用手法を外から当てはめるのではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、説明役に出す社員の選定 → 話してもらう大変なことの整理 → 社長が外れる15分の設計 → 聞かれた質問の募集要項への反映までを、貴社の組織の形に合わせて一緒に組みます。
まずは無料の組織体力診断で、いま組織のどこに負荷が溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、次の面接に出す一人を一緒に決めましょう。
※調査の記述は、株式会社No Companyが2026年9月29日に公表した『定着・活躍を実現する採用コミュニケーション調査2026』を参照しています。同調査の対象は2023年1月以降に中途入社した30歳から40歳のビジネスパーソン871名で、入社1年未満で離職した層を早期離職層、継続して勤務している層を定着層として比較したものです。中小企業に限定した調査ではありません。本文中の手順は一般的な整理であり、成果を保証するものではありません。