先に冷静な数字を見ておきます。40.4%が、採用方法によって定着に大差はないと答えています。紹介で採れば辞めない、という単純な話ではありません。
それでも差が出ている部分はあります。差があると答えた企業の中では紹介が最も高い18.5%。そして新卒の定着については、大企業26.5%に対して中小企業は9.1%と三倍近い開きがありました。
この二つを並べると、中小企業にとっての意味は一つです。新卒の定着で大企業と同じ結果は出にくく、紹介のほうが相対的に勝ち目がある。
紹介を増やそうとすると、まず頼み方の工夫に向かいます。声をかける、報奨金を出す、朝礼で言う。
ところが実際に紹介が止まるのは、頼んでいないからではありません。一度紹介して、嫌な思いをした人がいるからです。
気まずくなる場面は決まっています。紹介した人が見送られたとき。そして入った人が辞めたとき。
この二つの後始末が設計されていないと、紹介は一巡で止まります。社内の紹介は人数が限られているので、一人が気まずくなると情報はすぐ回ります。
もう一つの気まずい場面です。紹介で入った人が早く辞めると、紹介者が責任を感じます。
ここでやることは一つで、紹介者に何も負わせないと明言することです。辞めた理由の説明も求めない。慰留を頼まない。
逆に効くのは、辞めた後も紹介者との関係を変えないこと。扱いが変わると、周りが見ています。次に紹介するかどうかは、その様子を見て決められます。
全部を紹介で埋めようとすると別の問題が出ます。似た人ばかりになることです。
同じ地域、同じ経歴、同じ考え方。居心地は良くなりますが、違う視点が入らなくなります。
だから線を引きます。現場の増員は紹介を使い、新しいことを始める人は外から採る。この分け方にしておくと、紹介の利点だけを取れます。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。紹介での採用は何度もやってきました。
いちばん痛い失敗は、紹介された人を見送ったときに、本人へ先に連絡したことでした。紹介した社員は、本人から聞いて知りました。その後、その人からの紹介は一度もありません。
学んだのは、紹介の運用で設計すべきなのは入口ではなく出口だということです。頼み方は工夫しなくても、必要なら社員は紹介してくれます。止まるのは断り方を間違えたときだけでした。
もう一つ。紹介が増えると、自社の説明が社員の口から出る頻度が上がります。紹介のために社員が会社を説明する。その説明が自分でも腑に落ちていないと、紹介は起きません。紹介の件数は、社内に説明が行き渡っているかの目安にもなりました。
いま決めるなら一つで足ります。次に見送るとき、紹介者へ先に伝える。順番を変えるだけで、紹介は続きます。
PACK(BEYOND PLAYBOOK)は、採用手法を外から当てはめるのではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、頼むときの一言 → 見送るときの連絡順 → 伝える理由の言い方 → 報酬の置き方と対象の線引きまでを、貴社の組織の形に合わせて一緒に組みます。
まずは無料の組織体力診断で、いま組織のどこに負荷が溜まっているかを確かめてみてください。結果を見ながら、紹介の出口の決めごとを一緒に作りましょう。
※調査の記述は、東京商工リサーチが2026年6月に実施・公表した企業の『採用』に関するアンケート調査(6,475社回答)の報道内容を参照しています。公表日について報道間で記載の相違があるため、本文では月までの記載としています。紹介に対する報酬の支給、募集条件の明示、職業安定法上の取扱いなどには関係法令にもとづく定めがあり、制度として設ける場合は社会保険労務士および顧問の専門家に必ずご確認ください。