従業員28名、業務用の機械を仕入れて売っている会社です。品揃えも納期も悪くない。それでも商談の最後は、いつも同じ話になります。
『他社はいくらでした』。扱っている機械は同じものなので、比べる軸が値段しか残りません。
社長は新しい商品の仕入れを探していました。何か違うものを扱えば、比べられなくなるはずだと考えていた。
転機は、電話の記録を数えたことでした。
納品した機械について、設定が分からない、前の機械と動きが違う、思ったものが出てこない。こういう電話が月に四十件ほど入っていました。
対応していたのは営業の二人です。一件あたり十五分から三十分。合計すると、月に二十時間を超えていました。
この二十時間は、売上にはまったく乗っていません。それでも断っていませんでした。断れば次が来なくなるからです。
ここで社長が気づいたのは、他社が売っているのは機械だけで、自社は機械と使い方を売っていたということです。ただし片方は無料だったので、客にも自社にも見えていませんでした。
やったことは、新しいサービスの開発ではありません。すでにやっていることに名前と値段を付けただけです。
名前は立ち上げ支援としました。中身は、納品時の設定、操作の説明、最初の一か月の電話対応。今までと同じ作業です。
ここで迷ったのは、定額にするかどうかでした。結論としては後回しにしました。定額や月額にするかは課金の形の話で、先に決めるべきは何を売るかです。順番を間違えると、中身が決まる前に料金表を作ることになります。
全部を有料にすると、相談そのものが来なくなります。相談が来なくなれば、次の商談も来ません。
だから無料のまま残す枠を、はっきり決めます。この会社が残したのは二つでした。買う前の相談と、納品直後の一週間。
この二つは、売るための活動として無料に置いたということです。無料をなくすのではなく、無料の範囲を決める。ここを曖昧にしておくと、結局また全部無料に戻ります。
半年後、商談の内容が変わりました。機械の値段を聞かれたあとに、どこまでやってもらえるのかという質問が入るようになった。
この質問が入ると、比較の軸が一つ増えます。機械が同じでも、含まれる範囲は会社ごとに違うからです。
金額として大きかったのは、立ち上げ支援の売上そのものではありませんでした。機械本体の値引き幅が小さくなったことです。値引きを求められたときに、引く代わりに範囲で調整できるようになりました。
私たちBEYONDは、外から助言するコンサルではなく、中小企業同士が連合して複数の実業を自分たちで回している当事者です。新しい柱を作る話は社内でも何度もやってきました。
分かったのは、ゼロから作った新規事業より、すでにやっていたことを商品にしたほうが立ち上がりが速いということです。理由は三つあって、やり方を知っている人が社内にいる、客がすでに欲しがっている、設備も人も増やさなくていい。
逆に難しいのは、社内の抵抗です。今まで無料でやっていたことに値段を付けるのは、現場から見ると『サービスが悪くなる』と映ります。ここは説明の順番が要ります。値段を付けるのは断るためではなく、続けるためだと伝える。月に二十時間を無償で出し続けるほうが、先に限界が来ます。
探すなら、まず一つだけ挙げてみてください。いま無料でやっていて、やめたら客が困ること。それが、いちばん近い種です。
SEED(BEYOND PLAYBOOK)は、新規事業の企画を外から持ち込むのではありません。BEYOND Holdings 自身が実業を回す当事者として、無料でやっている作業の洗い出し → 時間の計測 → 含まれない範囲の線引き → 新規から既存への適用順までを、貴社の商売の形に合わせて一緒に組みます。
まずは無料の新規事業の種・診断で、自社の中に何が残っているかを確かめてみてください。結果を見ながら、最初に値段を付ける一つを一緒に選びましょう。
※本記事の事例は、中小企業で起こりうる場面を想定して構成したものです。特定の企業の実例ではなく、記載の件数・時間・金額はすべて説明のための仮の数値です。既存の契約内容を変更する場合や新たに料金を設定する場合は、契約書および取引条件の見直しが必要になることがあり、個別の取扱いは顧問の専門家にご確認ください。
新規事業の種・診断は60秒・登録不要。その場で結果が出ます。相談するかどうかは、結果を見てから決めてください。
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